リエージュ~バストーニュ~リエージュ2025 はポガチャルが連覇

現存する最古のプロレースでラ・ドワイヨンヌ(長老の意味)の愛称を持ち、モニュメントと呼ばれる5大クラシックの1つである第111回リエージュ~バストーニュ~リエージュ(UCIワールドツアー)が、4月27日にベルギー南部ワロン地方で開催され、世界チャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG/スロベニア)が独走で連覇し、3度目の勝利を収めた。
 

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アルカンシエルを着て3度目の勝利を果たしたポガチャル (©SprintCycling)

 
1分3秒遅れで追走していた2人はゴールスプリントを競い、イタリアのジューリオ・チッコーネ(リドル・トレック)が2位、アイルランドのベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が3位になった。
 

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左から2位のチッコーネ、優勝したポガチャル、3位のヒーリー (©SprintCycling)


ルドゥトの丘でアタック

第111回大会は25チームの174選手がスタート。コースにはアルデンヌ地方の11カ所の丘が含まれていた。昨年は途中雪も降ったが、今年は快晴で気温は20℃にまで上がった。序盤の逃げはゴールまで残り60kmで全員吸収され、いくつもの丘を越えた集団はすでに90人ほどに減っていた。

今大会は開催前から世界チャンピオンのポガチャルと地元ベルギーのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)の激闘が期待されていた。今大会は2021年と2024年にポガチャル、2022年と2023年はエヴェネプールが優勝していた。

しかし、ゴールまで残り35kmでルドゥトの丘が始まった時、アルカンシエルを着たポガチャルはチームメイトたちと一緒に集団の前方を走っていたが、エヴェネプールの姿はそこになかった。ポガチャルは昨年と同じようにここでアタックし、すぐに差を広げた。その後方では、1.6km続く上り坂の中腹でチッコーネが集団から抜け出し、ジュリアン・アラフィリップ(チューダー プロサイクリングチーム)が合流した。

ポガチャルは集団に10秒差を付けてルドゥトの丘を越え、独走を開始した。集団はトム・ピドコック(Q36.5 プロサイクリングチーム)とヒーリーが先頭で丘を越えた。ゴールまで残り24kmでチッコーネとアラフィリップが合流し、追走グループは4人になったが、先頭を走るポガチャルとのタイム差は47秒にまで広がっていた。
 

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昨年同様ルドゥトの丘でアタックし、独走を決めたポガチャル (©SprintCycling)

 
ゴールまで残り15kmの最後のロシュ・オー・フォコンの丘で、追走グループはチッコーネとヒーリーになったが、ポガチャルとのタイム差はすでに1分半にまで開いていた。ポガチャルはそのままリエージュのケ・デ・アルデンヌにゴールし、3度目のタイトルを獲得した。ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)の現チャンピオンで、世界チャンピオンでもある選手がリエージュ~バストーニュ~リエージュを制したのは、1972年のエディ・メルクス(ベルギー)に続いて2人目だった。

ポガチャルは4日前にフレーシュ・ワロンヌ(UCIワールドツアー)でも優勝し、2つのアルデンヌ・クラシックを制したが、1週間前に開催されたアムステル・ゴールド・レース(UCIワールドツアー)はゴールスプリントで惜敗して2位になったため、春のクラシック後半戦3大会制覇は成し遂げる事ができなかった。

 
春のモニュメント・クラシック全てで表彰台

ベルギーのリエージュ~バストーニュ~リエージュで2025年シーズンの春のクラシックは全て終了した。イタリアのミラノ~サンレモとフランスのパリ~ルーベはオランダのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)が制し、ベルギーのロンド・ヴァン・ヴラーンデレン(ツール・デ・フランドル)とリエージュ~バストーニュ~リエージュをポガチャルが優勝し、春に開催された4つのモニュメント・クラシックは2人で分け合う形になった。

ポガチャルはこの4つのモニュメント・クラシック全てに参加し、ミラノ~サンレモは3位、パリ~ルーベは2位になった。同じ年にこの4レース全てで表彰台に上がったのは、メルクス(1969年と1975年)とアイルランドのショーン・ケリー(1984年)以来の快挙だった。
 

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ポガチャルは26歳で春のモニュメント・クラシック全てで表彰台に上がった史上3人目の選手になった (©SprintCycling)

 
■3度目の優勝を果たしたポガチャルのコメント
「シーズン前半をこんな風に終えられるのは素晴らしい気分だ。ここまで全てが完璧だった。ルドゥトでは、アタックは本当に計画していなかった。そこまでのペースは本当に厳しく、チームメイトがもう居ないライバルもいた。だから自分の脚を試して、頂上でどれ位差が付くかを見てそのまま行くかどうか判断しようと決めた。ルドゥトの後でも上りで調子が良かったから、ゴールまで走り続ける事ができた。

序盤はスーダル・クイックステップがレースをコントロールしていた。彼らは1日中前で働いていた。しかしある時点で、彼らは先頭から姿を消した。何故なのか分からなかった。彼らはルドゥトのためにエネルギーを節約しているのだろうと思った。でもそこで周りを見た時、もう誰も居なかった。それもそこでアタックする良いモチベーションになった。

(記録に関しては)ボクは本を書くためにここに居る訳ではない。ただ自転車レースを楽しんでいるんだ。それがこんなにもうまくいくと幸せになれるし、謙虚にもなれる。確かに勝つのが最高だが、ルーベでの経験は、自分にできるなんて決して想像できなかったものだった。この春は素晴らしい思い出を沢山作る事ができた。完璧なクラシック・キャンペーンで、とても満足している。我々が成し遂げた事を誇りに思うよ」
 

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(©SprintCycling)

 
■第111回リエージュ~バストーニュ~リエージュ 結果

[4月27日/ベルギー/UCIワールドツアー/252km]
1. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 06h 00′ 09”
2. GIULIO CICCONE (LIDL-TREK / ITA) + 01′ 03”
3. BEN HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 01′ 03”
4. SIMONE VELASCO (XDS ASTANA TEAM / ITA) + 01′ 10”
5. THIBAU NYS (LIDL-TREK / BEL) + 01′ 10”
6. ANDREA BAGIOLI (LIDL-TREK / ITA) + 01′ 10”
7. DANIEL FELIPE MARTINEZ POVEDA (RED BULL – BORA – HANSGROHE / COL) + 01′ 10”
8. AXEL LAURANCE (INEOS GRENADIERS / FRA) + 01′ 10”
9. TOM PIDCOCK (Q36.5 PRO CYCLING TEAM / GBR) + 01′ 10”
10. NEILSON POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA) + 01′ 10”
59. REMCO EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 03′ 11”
 

リエージュ~バストーニュ~リエージュ公式サイト

J SPORTS「リエージュ~バストーニュ~リエージュ2025(4月27日)」詳細

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