正直、日本でまだ知られてないのが不思議なロードバイク マージ・エヴォルツィオーネを試乗
目次
長い歴史を持つイタリアンブランド、マージのエアロロード「エヴォルツィオーネ」を紹介しよう。UCI認証フレームは、エアロダイナミクスとパワーの伝達性を高次元でバランスさせただけでなく、エレガントなスタイリングをも追求。50mmハイトのカーボンホイールと105 Di2コンポを採用しながら、価格は70万円台前半に抑えられている点にも注目だ。

マージ・エヴォルツィオーネとは

マージ・エヴォルツィオーネ ●価格:72万6000円(税込) ●試乗車サイズ:500m /M ●試乗車カラー:グロスシルバー/ブラック
かつてはチネリと双璧をなすフレームビルダーとして名を馳せたイタリアのファリエロ・マージ。ファウスト・コッピやエディ・メルクスといった名選手たちが顧客リストに名を連ねていたと聞けば、マージ氏の手腕がいかに素晴らしかったかが分かるだろう。
アメリカ進出後、マージブランドは時代ごとに変化するニーズに合わせてさまざまなモデルを手がけるようになり、日本ではスチールフレーム車が人気を博すようになる。その一方で、コンペティティブなカーボンロードもかなり以前からラインナップしており、ここに紹介する「エヴォルツィオーネ」はその代表的なモデルだ。
エヴォルツィオーネという名称は、マージブランドにおけるアイコン的な存在だ。その最新モデルは、エアロダイナミクスを追求したチューブ形状やドロップドシートステー、内装ケーブルルーティングなど、昨今のエアロロードのトレンドを余すところなく盛り込んでいる。その上で、マージ全盛時代へのオマージュとして、イタリアンブランドらしい美しさをも兼ね備えているのだ。
フレーム&フォークの素材であるマージMC-5カーボンは、弾性率の異なる炭素繊維をいくつか独自に組み合わせたもので、軽さと剛性、そして快適性を高次元でバランスさせることに成功。BBはスレッド式、ケーブル内装システムはFSAのACRなど、汎用性の高い規格が使われているのもうれしい要素だ。
コンポはシマノ・105 Di2で、フレーム全サイズでクランク長は165mmを採用。チェーンリングは50×34T、カセットスプロケットは11-36Tという低めの歯数設定からも分かるように、ホビーレースはもちろん山岳グランフォンドも楽しめる1台となっている。
マージ・エヴォルツィオーネ スペック
●価格:72万6000円(税込)
●フレーム&フォーク素材:カーボン
●メインコンポーネント:シマノ・105 Di2
●ホイール:ブレブM
●タイヤ:ケンダ・4ティチュード 700×28C
●ハンドル:ブレブM
●ステム:FSA・SMR II
●サドル:マージ オリジナル
●シートポスト:専用カーボンシートポスト
●サイズ:480mm/S、500mm/M、520mm/L
●カラー:グロスホワイト/ブラック、グロスシルバー/ブラック、マットブラック/ブラック
マージ・エヴォルツィオーネ試乗インプレッション〜所有欲を満たす美しい造型に価値あり

インプレッションライダー/自転車ジャーナリスト・大屋雄一 モーターサイクルにも造詣が深いフリーランスライター。ロードレース、ヒルクライム、エンデューロ、ブルベ、シクロクロス、MTBレース、ママチャリ耐久、仮装レース、バイクパッキングなど、自転車遊びを一通り経験して現在に至る
1964年に開催された東京オリンピックの際、ジオメトリーなどを参照するためイタリアから日本に持ち込まれたのがチネリとマージだったという。創業者のファリエロ・マージ氏は1931年と1932年のジロ・デ・イタリアに選手として出場。いずれも途中で棄権しているが、彼の製作したフレームはのちにデローザやコルナゴにも影響を与えたというから、まさにイタリアンビルダーの第一人者であることは間違いない。
そんな輝かしい歴史を持つマージブランドの最新エアロロードが、このエヴォルツィオーネだ。コンポはシマノ・105 Di2で、公称重量はMサイズで8.7kg。持ち上げたときに感じる手応えもほぼそれぐらいであり、立ち位置としては他ブランドのミドルグレードに属する。
やや幅の広いハンドルに手を添えてスタートする。ホイールの重量による影響か、加速方向においてキレや俊敏さはあまり感じないものの、巡航状態に入ってしまえばスピードが落ちにくく、坦々と走り続けることができる。これには50mmというリムハイトを含めたバイク全体のエアロダイナミクスも貢献しているようだ。フレームの肉厚を感じさせつつも力強く進むさまは、このバイクの持ち味と言ってもいいだろう。
BBエリアの造型はボリューミーだが、フレーム全体の剛性としては決して高すぎず、強く踏み込んだときの足当たりは心地良い。加えて、路面からの衝撃もほどよくいなしてくれるので、乗り心地も良好と言えるレベルにある。
ハンドリングは、クイックすぎずダルすぎずのニュートラルな味付けで、高い速度域からでも狙ったラインをトレースしやすい。コーナリング中の優れた接地感は、ケンダ製のしなやかなクリンチャータイヤと、剛性の高すぎないカーボンホイールによるところも大きいようで、パッケージとして非常にうまくまとめられている。
このエヴォルツィオーネ、UCI認証フレームなので公認レースにも出場することができるが、エンデューロやロングライドといった、ロードバイクによるさまざまな遊び方に対応できる懐の広さが最大の美点だろう。私が手に入れたなら、とりあえず幅の広いハンドルをステム一体型に交換するぐらいで満足するはず。なかなかにレベルの高いオールラウンダーであり、何よりこの美しいスタイリングは一見の価値ありだ。
Brand Info〜MASI(マージ)について
イタリア屈指のフレームビルダーであるファリエロ・マージ氏。1949年、ミラノにある自転車競技場のビゴレッリ内に工房を構えて以来、ファウスト・コッピやエディ・メルクスといった偉大な選手たちのためにフレームを製作した。アメリカ進出後は、過去の伝統に根ざしながらも未来を見据えたさまざまなチャレンジを実施。自転車は情熱を奮い立たせる乗り物であると定義し、レースで勝つためだけでなく、隣町に買い物へ行く際にも最高の体験ができるようにと開発に取り組んでいる。なお、現在の総輸入代理店はクロモだ。

















