元世界チャンピオン、ルイ・コスタが勝利 2023ジャパンカップ

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2023ジャパンカップスタート

10月15日(日)に宇都宮市森林公園周回コースで、30回目となるジャパンカップロードレースが開催された。109人の選手が出走。天気予報通り、朝から冷たい雨が降り続いたレース当日。朝からワールドチームの監督とチーフコミッセールがレースの距離について協議を行い、10.3kmのコースを16周することが予定されていたレースは13周に短縮され、総距離133.9kmで行われた。

今年もいきなりドーン!

2023ジャパンカップ

1周目の古賀志林道の上りをハイペースで行く集団

昨年のジャパンカップは、セオリーが崩れた大会だった。そして、今年も。1周目から激しいセレクションがかかる展開に警戒心を強めたチームは、スタートの整列で前側を陣取った。そして、そのスタート位置が一つ勝負の明暗を分けるポイントになった。

前方に位置取りしたワールドチームが、スタート直後にある古賀志林道の上りを強烈なペースで上っていく。あっと今に上りで集団が縦に伸びて、後方では早くも分断が始まっていた。

2023ジャパンカップ_ジュリアン・アラフィリップ

そして、今大会で一番大きな注目を集めていたジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)が、2周目で集団から飛び出したことをきっかけに、それに反応したマキシム・ヴァンヒルス(ロット・デスティニー)、アクセル・ジングレ(コフィディス)、パスカル・エーンクホールン(ロット・デスティニー)の4人の小集団が出来上がった。そこからさらにアラフィリップが抜け出して、3周目に設定された山岳賞ポイントを先頭通過。

2023ジャパンカップ

アラフィリップが一人で逃げ続ける後方では、追走集団のメンバーが分裂と合流を繰り返す目まぐるしい展開となった

2023ジャパンカップ_岡本隼

序盤のペースアップで、ただ一人先頭集団に残った日本人選手は岡本隼(愛三工業レーシング)

雨は降り続いた。逃げ続けていたアラフィリップが8周目に捕まると、すぐに次の展開が発生。ゲオルク・ツィンマーマン(アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ)、ジングレ、ジェイムズ・ノックス(スーダル・クイックステップ)、ライリー・シーハン(イスラエル・プルミエテック)らが抜け出しをはかり、先頭のメンバーが入れ替わる。

2023ジャパンカップ

9周目に設定されていた山岳賞ポイントはノックスが先頭通過

レース終盤11周目に、田野町交差点からコントロールラインにかけてのアップダウン区間でルイ・コスタ(アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ)がアタック。これに反応したのはギヨーム・マルタン(コフィディス)、フェリックス・エンゲルハート(ジェイコ・アルウラー)。

2023ジャパンカップ_最終周の先頭

勝負はこの3人に絞られた。その中から、スプリントで勝ったのは世界選手権の優勝経験もあるルイ・コスタだった。 

日本人の最高位は15位の岡本隼。

2023ジャパンカップ_ルイ・コスタ優勝

3人のスプリント勝負を制したルイ・コスタが優勝

とてもタフなレースだった(コスタ)

2023ジャパンカップ_表彰台

優勝したルイ・コスタ:ジャパンカップは初参戦。ホテル到着の時からファンが多くて驚いた。レース中も多くの応援をもらって、素晴らしいレースだった。
レース自体は厳しいものだった。テンポも速いし、雨、寒さによってより厳しくなった。各チームが先頭を取ろうとしていたなかで、脚をどう残すのか。また先頭集団にチームから必ず誰かが残るようにするのが大切だった。このレースはいい成績を狙っていた。そこで優勝できたことで、うれしい気持ちを持って日本を後にすることができる。

・終盤、先頭で一人になったときには後ろを待ったのか? どんな作戦だった?
残り2周だったので、待ったわけじゃない。一番大切なのは集団となるべくタイム差を作りたいと思っていた。2人に追われているので難しかった。最終的には3人で行ったほうがフィニッシュまで行きやすいと思った。

・雨の下りは難しかった?
試走のときはドライだった。濡れた状態で走ったのは日曜日が初めて。最初の1、2周でグリップ感を感じるようにしていた。リスクを感じるときはなかった。

シーズンを優勝で〆ることができるのは、次のシーズンへのモチベーションになった。
 

2位フェリックス・エンゲルハート:雨で、ベストコンディションじゃかなったけど、いいレースだった。スーパーハード。下りが難しい。ただ、レース中は、いいポジションにいることができた。早い段階でグループが分かれた。いいグループに入ることができて走りきれた。悪天候の中、来てくれたファンにお礼を言いたい

・自身をどんな選手だと?
まだ自分の強味はわかりかねている。スプリント、短い上りが得意。この数年で自分の強みを極めて行きたいと思っている。

 

3位ギヨーム・マルタン:難しくなることはわかっていた。天気が悪かったし。シンプルなコース、ゆえに難しかった。

・上りで仕掛けなかったけど、スプリント狙い?
ちがう、かなり疲れていた 下りがあって、ストレートがあった。上りで逃げてもつかまっただろう。
最後の2kmで仕掛けようと思っていたけど、脚が残っていなかった

 

 

2023ジャパンカップリザルト

総合成績

1位 ルイ・コスタ(POR)アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ 3:28’22”
2位 フェリックス・エンゲルハート (GER)チーム・ジェイコ・アルウラー +0’00” 
3位 ギヨーム・マルタン(FRA) コフィディス +0’02”

山岳賞

2023ジャパンカップ_山岳賞

3周目 ジュリアン・アラフィリップ (FRA)スーダル・クイックステップ
6周目 ジュリアン・アラフィリップ (FRA)スーダル・クイックステップ
9周目 ジェームス・ノックス (GBR) スーダル・クイックステップ
12周目 ルイ・コスタ(POR)アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ

アジア最優秀選手賞

2023ジャパンカップ_アジア最優秀選手_岡本隼

岡本 隼(JPN)愛三工業レーシング 

「2周目の上りで割れて、下りにはいってジャンプアップできた。前の20人に入れたのが大きかった。ワールドツアーの選手相手にどこまで自分が耐えられるかというレースだった。

最後はバーレーンの選手と3人でローテーションをまわした。ぎりぎりアジア最高位をとれてよかった」

U23最優秀選手賞

エドアルド・ザンバニーニ (ITA) バーレーン ヴィクトリアス