フィランテSL、レイブSL、アドラー ウィリエール トリエスティーナの新作たち!

目次

フィランテSL&レイブSL試乗

今年は、いろいろなことがコロナ禍前に戻ったな、と実感している。海外でのメーカー発表会が復活したのもその一つだ。9月号でユーロバイクのレポート記事を掲載したが、筆者はその後、イタリアへ移動しウィリエール トリエスティーナ(以下ウィリエール)の新作発表会へとハシゴした。

 

総合メーカーの開発力は?

私がウィリエールの海外試乗会に行くようになったのは2013年から。当時、チェントウノエアー(懐かしい!)が発表され、初めてウィリエールに呼ばれたときだった。新型コロナ禍によるロックダウンの中断を経て、今年で7回目。毎年、イタリア北部の街を会場にして開催されている同社のミーティング。今年はアジアゴというヴェネチアから北西に120kmほど行った山間部のホテルを基点に行われた。

ウィリエールというと、ロードバイクのイメージが強い読者も多いと思う。今もアスタナ・カザクスタンチームをサポートしているし、ロードレースとの関わりは深い。しかし、最新のラインナップを見渡してみると、フルサスのからバイク、そしてグラベルバイクまでそろう総合メーカーというのが現在のウィリエールの姿だ。

発表されたのはエアロロードのフィランテSLと、マルチロードのレイブSLだ。どちらもSLRというトップグレードが既にリリースされている。それに続くセカンドグレード。歴代ウィリエールはセカンドグレードの作り方がうまい。ブランドによっては、名前こそ一緒だけれど、まるで違うシリーズのようなバイクを作ってしまうところもあるが、ウィリエールは性能をバランスよく、正比例するようにセカンドグレードに落とし込んでいる。

 

フィランテSL

フィランテSL

レイブSL

レイブSL

 

2モデルとも、上位モデルと同じフレーム形状を持っていて、使われているカーボン素材のグレードを下げて価格を抑えるという定番の手法。フィランテは、2021年モデルとして上位機種が登場して3年たつ。ホイールとフレームの間に大きなクリアランスを確保して空力性能を狙っているのが特徴。その幅広なフレームワークから、縦方向だけでなく左右方向の安定性も高い。フレーム重量は1010g、フォークは370gで、SLR比で150g重い。

 

フィランテSL

 

もう1台のレイブは、ウィリエールのカテゴリーとしてはグラベルバイクに分類されている。ヘッドチューブも短めだし、レーシーなグラベルを志向していることが分かる。タイヤのキャパシティが大きく、それによってキャラクターの振れ幅があるので、マルチロードという呼び名の方がしっくりくるなと筆者は思っている。未舗装が多そうなサイクリングルートを走るのか、はたまた舗装路をサイクリングするのか、タイヤの選択でキャラクターをある程度遊ぶことができる。

 

レイブSL

 

昨今、ソーシャルライドというジャンルがサイクリング市場をにぎわせる。レースではなく、日々のサイクリングを楽しむスタイル。そこに他者との競走はなく、ただエピックなライドを仲間と楽しむといったものだ。そういうライドには懐の深いバイクが合う。それがレイブなのかもしれない。

 

ウィリエール・フィランテSL

フィランテSLに試乗

 

こっちのほうが乗りやすいかも!?

2台ともMサイズで試乗。筆者のベストサイズはSだが、ニュアンスはお伝えできると思う。フィランテSLは、しっかりと上位機種フィランテSLRのDNAを持っているように感じる。SLRはかなりストイックなフレームで、乗り手もそれなりのレベルを求められるバイクだと感じたが、それがマイルドになっている。荒れたアスファルトの長い下りでも手の内でコントロールしやすい。左右方向のスタビリティの高さもこのフレームの特徴で、それは上位モデル譲りでちゃんと残されているのは◎。装備しているミケ製のホイールが意外といい仕事をしている。ミケのホイールと言うと、「完成車に付いてくるちょっと安物」というイメージを持っている人がいるかもしれないけれど、そのイメージは消えた。適度にしなり28Cタイヤとしっかり相性が良く、グリップ、安定感がよく感じ取れる。もちろんフィランテSLRのような、強烈な切れ味鋭い加速やハンドリングはないかもしれないけれど、SLくらいの剛性感の方が、むしろ乗りやすいと思う人もいるのではないだろうか。

 

フィランテSLのフォーク右側のエンド

フォーク右側のエンドは下側が開いており、スルーアクスルを全て抜かなくてもホイールが外せるマヴィックのスピードリリースに対応する。狭い場所でのホイール着脱時に便利

フィランテSLのシートステー

フィランテの特徴的な造型であるシートステー。左右に大きく開いてタイヤとのクリアランスが大きく取られている。太いタイヤを入れるためではなく、空気の抜けを良くするのが狙い

フィランテSLのBB

BBは定番であるプレスフィットタイプで、上位モデルと同じ。音鳴りなどのトラブルが起きにくい。最近のウィリエールは定番の規格でまとめてくる

フィランテSLのハンドル

SLRでは一体型のゼロバーが採用されていたが、SLはステムとハンドルは別々。ケーブル類はフルで内装できる点は上位グレードと同じだ

 

試乗車スペック

フレーム●カーボン
フォーク●カーボン
メインコンポ●シマノ・アルテグラDi2
ホイール●ミケ・ウィリエールオリジナル
タイヤ●ヴィットリア・ルビノ 700×28C
ハンドル●ウィリエール・バッラS
ステム●ウィリエール・ステンマS
サドル●セラサンマルコ・ショートフィット2.0
サイズ●XS、S、M、L、XLカ
ラー●シルバー、ブラック、レッド(受注発注)
完成車重量●8.0kg(シマノ・アルテグラDi2、ホイール/フルクラム・レーシング600仕様)

フレームセット価格/47万3000円(ハンドル、ステム付き)、シマノ・デュラエースDi2完成車価格/96万8000円(ホイール/フルクラム・レーシング600)、シマノ・アルテグラDi2完成車価格/78万6500円(ホイール/フルクラム・レーシング600)、シマノ・105Di2完成車価格/68万2000円(ホイール/シマノ・WH-RS171)

 

フィランテSLのジオメトリ図 フィランテSLのジオメトリ表

 

ウィリエール・レイブSL

レイブSLに試乗

 

とりあえず何でもできる一台

一台で何でも使える。サイクリング遊びをしたいけど、まだどんな方向性で(レースに出たいのか、遠乗りしたいのか)自分の自転車ライフをどう組み立てていくのか定まっていない人にはいいチョイスになる。数mm、数十gを気にする人はフィランテへ。タイヤのサイズのキャパシティが大きいので、ちょっと乱暴だがタイヤを換えれば、どうとでもなる。ロードバイクとして購入したけど、その後タイヤをグラベル用に付け替えて今度は全然違うルートに走りにいくこともできる。そうすることによって一台のバイクで長く遊ぶことができるという意味で、何とも味わい深い一台。オンロードにおいてのハンドリングはクイックなので、逆に日本の林道に出てくるような、ガレた道だと少しせわしない、または技術を必要とするバイクかもしれない予感はある。

 

レイブSLのシートチューブ

シートチューブはエアロロードのようにカットされている。空力を重視するという面もあるが、タイヤのキャパシティを大きく取れるというメリットもある

レイブSLのタイヤ

試乗車は28mm幅のタイヤが付いていたが、フレーム自体のキャパシティは最大42mmまで対応するので、グラベルタイヤも余裕

レイブSLのシートステーブリッジ

最近のバイクとしては珍しくシートステーブリッジがある。この細いチューブがあるだけで、バックの剛性が上がり、オフロードでもリヤがよれない

 

試乗車スペック

フレーム●カーボン
フォーク●カーボン
メインコンポ●シマノ・105Di2
ホイール●ミケ・ウィリエールオリジナル
タイヤ●ヴィットリア・ザフィーロプロ 700×28C
ハンドル●ウィリエール・バッラS
ステム●ウィリエール・ステンマS
サドル●セラサンマルコ・ショートフィット2.0
サイズ●XS、S、M、L、XL
カラー●ブラウン、ブラック
完成車重量●8.6kg(シマノ・105Di2、ホイール/シマノ・WH-RS770仕様)

フレームセット価格/47万3000円(ハンドル、ステム付き)、シマノ・デュラエースDi2完成車価格/96万8000円(ホイール/フルクラム・レーシング600)、シマノ・アルテグラDi2完成車価格/78万6500円(ホイール/フルクラム・レーシング600)、シマノ・105Di2完成車価格/68万2000円(ホイール/シマノ・WH-RS171)

 

レイブSLのジオメトリ図 レイブSLのジオメトリ表

 

冒険の相棒はこういうバイク

ウィリエール・アドラー

アドラー

 

グラベルバイクよりも、もっとハードでタフなスタイルのバイクが欲しいならアドラーはどうだろう。タイヤのキャパシティは最大52mm。29×2.0″のホイール&タイヤまで許容するフレームに、ハブダイナモを付けることも想定したケーブルルートが用意されたリジッドフォークが付く。これをサスペンションに交換してもいい。シートポストは27.2mm径なのでドロッパーだって付けられる。コンポーネントは機械式、電動の両方に対応。フロントはシングル仕様で、トラブルのリスクを減らして最大重量25kgまで耐えるラックも付けられる。フル装備のロングツーリングだって大丈夫だ。

ウィリエールトリエスティーナ・アドラー

コックピット周りのケーブル類は内装される。ハンドルバッグの取り付けなども楽ちん

ウィリエールトリエスティーナ・アドラー

カットアウトされたシートチューブで、太いタイヤが入るクリアランスを確保

ウィリエールトリエスティーナ・アドラー

フォークサイドにはキャリアマウントを装備

ウィリエールトリエスティーナ・アドラー

ドロヨケを装備できるクリアランスを持つフォーク。ついているタイヤは29×2.0インチ

Wilier ADLAR
フレームセット価格/44万円
サイズ/XS、 S、M、L、XL
カラー/グリーン、グレー、 マットブラック
※ラックは別売、価格未定