ツール・ド・フランス2023 超級頂上ゴールの第13ステージはクフィアトコフスキーが区間優勝

  • photo A.S.O. /Pauline BALLET / ©SprintCycling

第110回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、革命記念日の7月14日に、シャティヨン・シュル・シャラロンヌからカテゴリー超級のグラン・コロンビエール頂上までの137.8kmで第13ステージを競い、ポーランドのミハウ・クフィアトコフスキー(イネオス・グレナディアズ)が独走で逃げ切って区間優勝した。
 

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■超級頂上ゴールを独走で逃げ勝ったクフィアトコフスキー (©SprintCycling)

 
区間2位には47秒遅れでベルギーのマキシム・ヴァンヒルス(ロット・デスティニー)が入った。メイン集団は残り400mでマイヨ・ブランを着たスロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)がアタックし、50秒遅れの区間3位でゴールして4秒のボーナスタイムを獲得した。

第9ステージのピュイ・ド・ドームと同じように、ポガチャルのゴール前アタックに付いていけなかったマイヨ・ジョーヌのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ/デンマーク)は、54秒遅れの区間4位でゴール。ポガチャルに総合でのタイムを8秒縮められてしまった。
 

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■ポガチャルのゴール前アタックにマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーは付いていけなかった (©SprintCycling)


革命記念日の超級頂上ゴール

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(photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 

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● 第13ステージのコースプロフィール (MAP : ASO)

 
距離が短かった(137.8km)第13ステージは167選手が出走。スタートからアタックと吸収が続いた後、地元フランスのカンタン・パシェ(グルパマ・FDJ)がアタックし、26km地点で19人の大きな集団が逃げ出した。そこにクフィアトコフスキーも加わっていた。集団はUAEチーム・エミレーツがコントロールし、ゴールまで残り60kmでタイム差は2分25秒だった。

ゴールまで残り50.5kmの中間スプリントはマイク・トゥニセン(アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ)が先頭で通過し、17人に減った逃げ集団とメイン集団とのタイム差は2分15秒だった。後方では、オーストラリアのケイレプ・ユアン(ロット・デスティニー)がレースを棄権した。

ゴールまで残り17.4kmで、ジュラ山脈のグラン・コロンビエール登坂が始まった時、逃げ集団はメイン集団に4分近いタイム差を付けていた。1km先で最初にアタックしたのはこの日の逃げを作ったパシェだった。母国フランスに革命記念日の区間優勝をもたらすために、彼は単独で坂を上がり続けたが、残り12.8kmでヴァンヒルス、ジェイムズ・ショー(EFエデュケーション・イージーポスト)、ハロルド・テハダ(アスタナ・カザクスタン チーム)に追いつかれてしまった。

ヴァンヒルスが先頭を引き続け、パシェはすぐに遅れてしまった。しかし、3人の先頭グループが1kmも上らない間に、後方から追い上げてきたクフィアトコフスキーが追いつき、そのまま追い越して先頭に立った。ゴールまで残り10kmで、クフィアトコフスキーは追走グループに30秒差を付けていた。
 

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■観客の声援を受けながらグラン・コロンビエールを上るクフィアトコフスキー (©SprintCycling)

 
メイン集団はUAEチーム・エミレーツが列車を組んでペースを上げ、次第に小さくなっていった。前日に逃げて総合トップ10に入ったフランスのティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)も遅れてしまった。ゴールまで残り3kmでアダム・イェーツ(UAEチーム・エミレーツ)がアタックし、マイヨ・ジョーヌ集団は1列で観客の波をかき分けてゴールを目指した。

先頭のクフィアトコフスキーはそのまま逃げ切り、2020年に続いて2度目の区間優勝を果たした。彼がフィニッシュラインを通過したと同時に、後方では残り400mでマイヨ・ブランのポガチャルがアタック。マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーが反応したが、すぐに差を付けられてしまった。ポガチャルは前を逃げていた選手たちを次々と追い越し、区間3位でゴールし、4秒のボーナスタイムも獲得した。ヴィンゲゴーはアルプス前日に、ポガチャルとのタイム差が10秒を切ってしまった。

■独走で逃げ勝ったクフィアトコフスキーのコメント
「1人ではなかった。逃げには18人の友達がいた。我々は最後の上りの前に素晴らしいアドパンテージを持っていた。クレイジーな経験のゴールだった。逃げはその上りのふもとまでの無料切符だったが、UAEが後方で激しく引いていたので、我々がゴールまで行けるとは思っていなかった。

UAEは前に多くの選手を出しすぎていたが、ボクは人生で最高の脚を持っている事に気が付いていた。それが可能だとは思っていなかったが、ここにいるよ! グラン・コロンビエールの頂上で勝つこと…ここにはベルナルの悪い思い出があり、レースを止めようかとすら考えた。一方で、カラパスと一緒だったラ・ロッシュの(区間初優勝した)ステージはエンジン全開で、我々は最後の15kmを楽しんだ。

今日について言えば、最後の上りはとても長かった。自分の人生で最も過酷な労苦だった。ファンがいなければ、この勝利は可能ではなかっただろう。後方にクルマがいなかったから、タイム差を聞く事はできなかった。ファンがゴールまでの道をずっと助けてくれたよ」
 

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■ヴィンゲゴーはマイヨ・ジョーヌを守ったが、総合2位のポガチャルとのタイム差は9秒になってしまった (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)


■第13ステージ結果

[7月14日/シャティヨン・シュル・シャラロンヌ~グラン・コロンビエール/137.8 km]
1. M. KWIATKOWSKI (INEOS GRENADIERS / POL) 03h 17′ 33”
2. M. VAN GILS (LOTTO DSTNY / BEL) + 00′ 47”
3. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 00′ 50”
4. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) + 00′ 54”
5. T. PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 01′ 03”
6. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 01′ 05”
7. J. SHAW (EF EDUCATION – EASYPOST / GBR) + 01′ 05”
8. H. TEJADA CANACUE (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / COL) + 01′ 05”
9. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 01′ 14”
10. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 01′ 18”

■第13ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) 53h 48′ 50”
2. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 00′ 09”
3. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 02′ 51”
4. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 04′ 48”
5. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 05′ 03”
6. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 05′ 04”
7. P. BILBAO LOPEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 05′ 25”
8. T. PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 05′ 35”
9. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 06′ 52”
10. S. KUSS (JUMBO-VISMA / USA) + 07′ 11”

[各賞]
■ポイント賞:J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : N. POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA)
■新人賞 :T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績:BAHRAIN VICTORIOUS (BHR)
■敢闘賞 : M. KWIATKOWSKI (INEOS GRENADIERS / POL)
 

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■ 区間優勝したクフィアトコフスキーが敢闘賞も受賞した (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
第14ステージはアルプス山岳区間

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● 第14ステージのコースプロフィール (MAP : ASO)

 
7月15日はアヌマスからモルズィヌ・レ・ポルテ・デュ・ソレイユまでの151.8kmで、アルプス山岳区間の第14ステージが行われる。コースはカテゴリー3の峠を1カ所、カテゴリー1の峠を3カ所越えた後、最後は標高1691mでカテゴリー超級のジュー・プラーヌ峠を越える。ゴールのモルズィヌはダウンヒルの先にある。
 

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■区間5位でゴールしたピドコックと抱き合って喜ぶクフィアトコフスキー (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 

ツール・ド・フランス公式サイト

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