2023全日本選手権ロード・男子エリートは山本大喜が初優勝

2023.06.25
レース

text 大前仁
photo 大前仁

2023全日本自転車競技選手権大会３日目は2023年6月25日（日）、男子エリートのロードレースが行われ、２周目から最後まで逃げ切った山本大喜（JCLチームUKYO）が初優勝を果たした。

2023全日本選手権ロード・男子エリート

男子エリート

2023年の全日本自転車競技選手権ロードレース最終日は、マスターズの各クラスと男子エリート、大きく分けて2レースが開催された。

男子エリートは8km×20周＝160kmのレースだ。131人がスタートラインに並び、定刻11時にスタートした。

昨年の1位から10位の選手を最前列に並べて男子エリートがスタート

5時間先のフィニッシュを見据えてゆっくり行くのかと思いきや、2周目前半には8人の逃げが形成される。メンバーは岡篤志と山本大喜（JCL Team UKYO）、石上優大と渡邊翔太郎（愛三工業レーシング）、橋川丈（EFエデュケーションNIPPO）、山本元喜（キナンレーシングチーム）、石井祥平（アーティファクトレーシングチーム）、井上文成（シマノレーシング）だ。

逃げは7人で形成しかかったが、兄の山本元が乗ったのを見て最終便で山本大が飛びついた。「岡だけが逃げに乗るプランだったが兄が乗ったので逃げ切る可能性が高まったと思った」という山本大。メイン集団とのタイム差は1分から2分程度だったが、6周目には5分を超えてしまう。

3周目、逃げから数人が脱落し8人となる

4周目、ブラックボードモトが逃げ集団にタイム差を伝える。手元計測で2分

逃げ集団とのタイム差で思い出すのは2018年の全日本だ。30人以上の逃げが7分の差を作り、後続が追走を諦めた。このときの逃げにも岡や山本元が乗っており、優勝したのは山本だった。

5分15秒というブラックボードモトからの情報を見て動いたのはやはり新城幸也（バーレーン・ヴィクトリアス）だ。1周で1分ほど差を縮めたが、逃げの8人に対して単騎では詰まっていかない。逃げに乗せていない有力チーム、特に宇都宮ブリッツェンがメイン集団を牽引するが、その差は3分台にとどまった。

7周目、山頂ポイントへの上りでペースアップを試みる幸也

8周目、小野寺玲（宇都宮ブリッツェン）が後続集団の先頭を牽引する

11周目に入るところ、行程の半分を消化したところで幸也はサコッシュでの補給を取った

160kmの距離で獲得標高は4000mを超え、しかもその標高差は峠ではなく長くても1km程度の上りを積み重ねるという、強烈なアップダウンコース。日差しは容赦なく選手を痛めつけ、予想通りのサバイバルレースとなっていく。

メイン集団も数を減らしたが、逃げからも数人が脱落。先頭は山本元と山本大の兄弟、岡、石上の4人となった。4人は協調してペースを保ち、後続が差を詰めてくるのを警戒した。13周目のタイム差は2分20秒だ。

後続集団では牽引に力を注いだブリッツェン勢が谷順成一人を残して力尽き、上りでは金子宗平（群馬グリフィン）がペースを上げて前を詰めようとする。EFエデュケーションNIPPOの留目夕陽と門田祐輔も力を残しているように見える。しかし誰もが見ているのは幸也だ。幸也を置いていかないと勝ち目はない。お見合い状態が続けば、前との差が縮まるわけはなかった。