【ピナレロ】注目グラベルアイテムインプレッション

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  • text 鏑木裕
  • photo 茂田羽生/島田健次/佐藤竜太

BRAND INFO

ツール・ド・フランス総合優勝は言うに及ばず、ヨーロッパにおける幾多のロードレースでの勝利。サスペンションや新素材のいち早い採用といった、革新への継続的な挑戦が、ピナレロの栄光の歴史を作り続けている。

 

細部にまで、矛盾なきアイデンティティが搭載される

ピナレロ・グラベルインプレ

GREVIL+ グレヴィル+

均衡をもたらすための非対称設計は、ONDAフォークやシートステイなどに全てに施される。ピナレロのそんな哲学は、新しくファミリーに加わったグレヴィル/グレヴィル+にももちろん組み込まれている。グラベル&ロングライド向けの専用ジオメトリを採用しつつ、加わる力と空気抵抗が、効率的にマネージメントされることになる。

spec.
フレームセット価格/54万円(税抜)
フレーム/カーボン
フォーク/カーボン
カラー/カーボン×ペトロール、BOB、カーボンバーディゴブルー

ピナレロ・グラベルインプレ

●ブレーキキャリパーを覆うようなフォークフラップは、左右のフロントエンドに設けられる。キャリパーの保護と空気抵抗の軽減、制動時の応力分散が達成される

ピナレロ・グラベルインプレ

●機械式/電動式の両方に最適化されるThink2システムを搭載。シマノDi2で組む場合などに向けて、ダウンチューブにはジャンクション用の窓がキッチリと造作されている

ピナレロ・グラベルインプレ

●ダウンチューブの左右位置やシートステー/チェーンステーの形状など、あらゆる箇所が非対称。ペダリングパワーとブレーキ制動を均等に受け止めることを目的としている


 

LINE UP 基本設計は共通の弟分も同時に登場

ピナレロ・グラベルインプレ

●”+”が東レのT1100カーボンを使っているのに対して、グレヴィルはT700を採用して価格を抑えた弟分的存在。アルテグラ仕様の完成車も用意される


グレヴィル
フレームセット価格/ 38万円(税抜)

 

IMPRESSION 矛盾を共存させるという、ピナレロが見せる意地

ピナレロ・グラベルインプレ

リヤセンター長を含めてホイールベースをギリギリまで詰めつつ、27.5×2.1インチ幅のタイヤまで対応させる。オフロード路面での走破性や安定性と、ペダリングやハンドリングの軽快さとを両立させる。グラベルバイクが背負いがちな矛盾を、見事に解消させたのがグレヴィルである。

650Bホイールによってもたらされる絶妙な浮遊感が、プレジャーバイクとしての優れた素性を解放させる。それは絶妙なるバランスであり、硬さと柔らかさ、もしくは安定と俊敏性の共存なのだ。 

今回は、東レT1100カーボンを使った”+”グレードにまたがったが、ぜいたくな素材選択も含め、ピナレロの妥協しない姿勢には呆れを通り越して感服せざるを得ない。