ビゴーレ・山と旅の自転車プラス 京の老舗が創り出した万能ツーリング車

目次

ウエア協力:ウエイブワン、ダイアテック

ビゴーレ

ビゴーレ・山と旅の自転車プラス

スチールの魅力を誰もが実感できる

90年の歴史を誇る京都の老舗工房・ショップがビゴーレ。3代目となるビルダーの片岡聖登氏は、かつて日本初のフルサス・ダウンヒルバイクを作るなどシリアスな競技シーンとともに自転車を作り続けてきたが、近年は「遊び」を重視した自転車作りにシフト。その象徴であり進化の現在形が「山と旅の自転車プラス」だ。

ベーシックFRというビゴーレ独自のリジッドMTBからスタートした「山と旅の自転車」だが、ここ7年間で時代に合わせてバージョンアップ。Vブレーキからディスクへ、MTB用のメカからロード用へ、そしてスルーアクスルの採用など三度フレーム設計を見直して誕生したのが「プラス」である。

乗ってみると、素直にスチール(クロモリ)というフレーム素材のよさが伝わる。やや重いことを除けば、振動吸収性やペダリング時に感じる弾性、長く使える耐久性など、いずれも理想的な特性だ。フォークまでスチールというモデルは今や珍しいが、「道具としての自転車」を追求した結果である。短いヘッドチューブや低いトップチューブは、多くの日本人にとって取りまわしがよいだろう。工房・ショップの近くに北山と呼ばれる峠とトレイルの宝庫があり、そこで実走を重ねてきたサイクリストたちの声が反映された結果でもある。日本人による日本人のための万能ツーリング車だ。

ビゴーレ

ユニクラウンの伝統的なベンドフォークを採用。約980gと重いが、強力な油圧ディスクブレーキに負けないだけのしっかりした剛性感と確かな振動吸収性がある。

ビゴーレ

700Cは38mm、650Bなら53mm幅のタイヤに対応するワイドなクリアランス。ダウンチューブにホースを内蔵するなど各部の工作は現代的。

ビゴーレ

スリットが入った特徴的なエンドに2対のアイレットがあり、キャリアとフェンダーの同時取り付けに対応。試乗車のメカはGRXだが、ユーザーの希望で組み替えも可能。

ビゴーレ

オンロードの比率が高いなら、オーダー時に700Cホイールを指定するのもおすすめ。ハンドルやステムの寸法も選べるので、最初から満足度の高い一台が手に入る。

インプレッション

オフロード:MTB譲りの確かな走破性

ビゴーレ

サイズ表記より小さく感じるコンパクトなフレームであり、急な切り返しや停止を要する細道も落ち着いて対応できる。このあたりの取りまわしのよさは出自がMTBであることを実感させる。剛性のあるスチールのフォークは独特の安心感があり、タイヤと自転車任せで荒れたダートにも余裕で進むことができる。

オンロード:焦る走りは似合わない

ビゴーレ

競うための自転車ではないので、長距離での快適性や積載時の安定性を重視しており、スピードや加速性は求めていない。試乗車は650Bだったので、舗装路適性が高い700Cを選べばまた印象も変わるだろう。パーツアッセンブルが自由なセミオーダー車なので、いかようにも自分の好みに近づけることができる。

SPEC

価格:シマノ・クラリス完成車価格/175000円~(税抜)、シマノ・105完成車価格/245000円~(税抜)、シマノ・GRX600完成車価格/248000円~(税抜)、シマノ・GRX810完成車価格/281000円~(税抜)
フレーム:
クロモリダブルバテッド
フレームサイズ:450510540565mm
フォーク:
クロモリバテッド
カラー:
オーダー(試乗車はイエローパール)
メインコンポーネントシマノ・GRX810
クランクセットシマノ・GRX810 40T
カセットシマノ・CS-M7000-11 11-42T
ブレーキシマノ・GRX810
ホイールシマノ・WH-RX570
タイヤ パナレーサー・グラベルキングSK 27.5×1.75インチ
ハンドルトムソン・アロイドロップバー
ステムトムソン・エリートX4
サドルブルックス・カンビウムC17
シートポストトムソン・エリート
試乗車実測重量:10.3kg(ペダルなし)