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CYCLE SPORTS.jpが選ぶ 2018年10大ニュース・サイクルロードレース編

2018年シーズンを振り返る10大ニュース・サイクルロードレース編。今季は3大ツアーすべてで英国出身の選手が総合優勝し、アルカンシエルのサガンがパリ〜ルーベを初制覇。そして38歳のバルベルデが、遂に世界王者に輝いた。

サルブタモール事件でフルームが無罪を勝ち取った


2018年シーズンの前半は、英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)が、前の年のブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)で、サルブタモールの『違反が疑われる分析報告(AAF)』を通知されたドーピング事件で揺れに揺れた。

喘息の治療などに用いられる気管支拡張剤のサルブタモールは、検査サンプル中に存在しても、暫定的な資格停止処分が課されることはないとUCIアンチ・ドーピング規則で定められているため、事態はさらに複雑になった。

事件発覚後、アンチ・ドーピング団体のMPCC(信頼できる自転車競技のための活動)は、チームスカイに対して自主的にフルームを暫定的な活動停止処分にするように要請したが、この団体に加盟していないチームスカイはそれを聞き入れず、フルームは今シーズン開幕からレースに参加し続けたのだ。

渦中のフルームは、5月に中東のイスラエルで開幕した第101回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)で総合初優勝し、3大ツアーすべてを制覇した選手になった。同時に彼は、昨年のツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャと続いて3大ツアー3大会連続優勝も達成した。

そしてサルブタモール事件が解決しないまま、今年のツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)開幕が近づき、主催者であるアモリー・スポール・オルガニザシオン(ASO)は、ドーピング問題の手続きが継続中であることを理由に、フルームのツールへの参加を禁じるとチームスカイに通達した。

その翌日に国際自転車競技連合(UCI)は、フルームのアンチ・ドーピング懲戒手続きが終了したと発表。10ヶ月近く続いていたサルブタモール事件は、フルーム側の提出した証拠が認められ、彼の無罪が認められる形で決着した。

こうしてフルームは、晴れてツール出場を認められたのだが、懲戒手続きの詳細が公表されなかったこともあり、ツール期間中は心ない観客からブーイングを受け続けることになってしまった。結局彼は総合3位でレースを終え、念願だったツール5勝目は上げられなかった。
 

世界チャンピオンのサガンがパリ〜ルーベ初制覇

(©Bettiniphoto)
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春のクラシックレースでは、世界チャンピオンのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ/スロバキア)が、クラシックの女王と呼ばれる第116回パリ~ルーベ(UCIワールドツアー)で初優勝した。アルカンシエルを着た世界チャンピオンがパリ~ルーベで優勝したのは、1981年のベルナール・イノー(フランス)以来、37年ぶりの出来事だった。

サガンは2016年にロンド・バン・ブラーンデレン(ツール・デ・フランドル/UCIワールドツアー)でも優勝していて、これでモニュメントと呼ばれる5大クラシックレースの2つを制覇した。彼は来シーズン、アムステル・ゴールドレースだけでなくリエージュ~バストーニュ~リエージュも走ると表明している。もちろん、ミラノ〜サンレモもターゲットの1つだ。

今年はツール・ド・フランスでも区間3勝したサガンは、ポイント賞(マイヨ・ベール)を獲得し、ドイツのエリック・ツァーベル(1996~2001年)が持つ6回の最多受賞回数に並んだ。来シーズンは前人未到の記録に挑戦するだろう。

 
(©Bettiniphoto)
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イタリアのクネゴが現役を引退 

 
2004年のジロ・デ・イタリアで総合優勝したイタリアのダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が、6月末に開催されたイタリア選手権を最後に現役を引退した。22歳でジロを制したクネゴも、今年で37歳になっていた。

当初クネゴは、ジロ・デ・イタリアを最後のレースにしたいと望んでいたが、主催者のRCSスポルトは、彼が所属するNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニを主催者招待してはくれず、彼の夢は叶わなかった。

公式レースはイタリア選手権が最後になったが、クネゴは10月に栃木県宇都宮市で開催されたジャパンカップで来日し、クリテリウムに参加して日本のファンに最後の走りを見せてくれた。

現役引退後、クネゴは大学に通ってパーソナル・トレーナーの資格を取得。12月には、第2の人生のスタートを日本で切るために来日し、都内で屋内トレーニングイベントを開催した。
 
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BMCがUCIワールドチームのタイトルスポンサーを終了

(©Bettiniphoto)
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スイス人オーナーのアンディ・リース氏が4月に他界した自転車メーカーのBMC社は、UCIワールドチームのタイトルスポンサーを終了することになり、今シーズンでBMCの赤と黒のジャージは集団から姿を消すことになった。

米国のBMCレーシングチームは、ポーランドのシューズとバックの会社であるCCCが新しいタイトルスポンサーになり、来シーズンからはポーランド登録のCCCチームに生まれかわる。チームジャージもオレンジ色になり、所属選手も半数が移籍し、新たな選手が加わる。
 
CCCチームのエースは、2016年リオ・オリンピック金メダリストのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)が務める予定だ。彼は今年のツールでマイヨ・ジョーヌを8日間着用した。
 
(©Bettiniphoto)
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ウエールズ出身のトーマスがツール初制覇

(©Bettiniphoto)
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フルームが5度目の総合優勝を目指していた7月のツール・ド・フランスは、彼のチームメートである英国のゲラント・トーマス(チームスカイ)が初優勝した。初日から落車で51秒のタイムを失っていたフルームは、今年は一度もマイヨ・ジョーヌを着用できなかった。

32歳のトーマスは2007年にツールへ初出場し、9回目の参加で総合優勝という大金星を獲得した。彼よりも優勝までの参加回数が多いのは、オランダのヨープ・ズートメルクだけで、1980年に10回目の挑戦で優勝している。

トーマスは英国のウエールズ出身者として初めてツールを制した選手になり、パリの表彰台ではユニオンジャックではなく、赤いドラゴンが描かれたウエールズ旗をまとっていた。英国のチームスカイにとっては、6回目のツール制覇だった。

 
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ブエルタでサイモン・イエーツが初優勝し、今季は3大ツアーすべてで英国人が優勝

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ディフェンディングチャンピオンのフルームが欠場した第73回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、英国のサイモン・イエーツ(ミッチェルトン・スコット)が、グランツール初制覇となる総合初優勝を果たした。

イエーツは今季ジロでも区間3勝し、第18ステージまではマリア・ローザを守っていたが、第19ステージで英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)に逆転され、最終的に総合21位でレースを終えていた。

今季はジロでフルーム、ツールでトーマスが優勝したため、3大ツアーすべてを英国出身の選手が制した。さらにさかのぼれば、3大ツアーでの英国の支配は、昨年のツール・ド・フランスから続いている。オーストラリアのミッチェルトン・スコットにとっては、チーム史上初のグランツール優勝となった。
 
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ロードデビューで活躍したヴァンアールトが所属チームとの契約を破棄

(©Bettiniphoto)
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今季春のクラシックレースに初挑戦したシクロクロス世界チャンピオンのウァウト・ヴァンアールト(ヴェランダスウィレムス・クレラン/ベルギー)は、イタリアのストラーデ・ビアンケで3位に入り、UCIワールドツアーのレースで表彰台に上がる活躍を見せた。彼はロンド・バン・ブラーンデレン(UCIワールドツアー)でも9位に入った。

しかし、所属していたベルギーのUCIプロコンチネンタルチーム、ヴェランダスウィレムス・クレランの運営サイドとの関係が悪くなり、ヴァンアールトは9月中旬に所属チームとの契約を一方的に破棄してしまった。チームとの契約は来季まで残っていた。

すでにシクロクロスのシーズンは始まっていたため、ヴァンアールトはチームとの契約がない個人登録選手として活動を続けているが、ビッグレースでの勝ち星がない状態が続いている。

12月に入り、オランダのチームロットNL・ユンボ(来季はチームユンボ・ビスマになる)は、ヴァンアールトが来年3月からチームに加入すると発表した。しかし、彼の契約破棄問題の訴訟はまだ解決していない。
 

UCIロード世界選手権で38歳のバルベルデが悲願の初優勝

 
オーストリアのインスブルック・チロルで9月に開催されたUCIロード世界選手権は、38歳のアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)が4選手でのゴールスプリントを制し、悲願の初優勝を果たした。

スペインがロード世界選を制したのは2004年のオスカル・フレイレ以来、14年ぶりだった。ロード世界選の最年長優勝者は38歳272日のヨープ・ズートメルク(オランダ)で、38歳158日のバルベルデはわずかに及ばなかったが、歴代2位になった。
 
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英国のスカイが来シーズンでスポンサーを終了 

(©Bettiniphoto)
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2019年シーズン開幕が近づいた12月に、2008年から自転車競技のスポンサーを続けていた英国の衛星放送事業者スカイが、来年いっぱいでチームスカイ(UCIワールドチーム)のスポンサーを終了すると発表した。

スター選手が揃っているチームスカイは、新たなスポンサーを獲得して再来年以降も活動を続けることになるだろうが、スカイの名前で活動するのは2019年が最後になる。同チームは、来季が活動10年目になり、11月末に新しいデザインのチームジャージも発表していた。
 

UCIが2020年に向けてのロードレース改革を発表

©UCI
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国際自転車競技連合(UCI)は、オーストリアのインスブルック・チロルで開催したロード世界選手権の期間中に、チーム、選手、レース主催者の代表で構成されているプロ・サイクリング・カウンシル(PCC)と協議し、19年から導入し、20年までに完了する男子プロロードレースの改革を発表した。

この改革により、2020年からは現行のUCIワールドツアーシリーズと各大陸のレースシリーズの間に、『UCIプロシリーズ』が新設されることになった。つまり、再来年から男子ロードレースは、3つのディビジョンに分けられるのだ。

UCIワールドツアーの下に位置づけられる『UCIプロシリーズ』は、現行のHC(超級クラス)とクラス1の中で、UCIが自転車競技の発展のため、戦略的に重要だと考えるレースで構成される予定だ。

この改革のための準備として、ランキングシステムは2019年シーズンから変わる。現行のUCIワールドツアーランキングは廃止され、2016年に導入されたUCIワールドランキングが唯一の国際的なランキングになる。現在UCIワールドランキングのトップには、世界チャンピオンのバルベルデが君臨している。

UCIワールドランキングは、52週前までの結果が反映されるローリング・システムで、選手が獲得したポイントは1年間有効だ。現在は個人別と国別のランキングだけだが、2019年シーズンからはチームランキングも発行される。
 

2019年シーズンはまもなくスタート!

(©Bettiniphoto)
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2019年シーズン最初のUCIワールドツアーは、1月15日に南半球のオーストラリアで開催されるサントス・ツアー・ダウンアンダーだ。1月13日には、前哨戦となるクリテリウムのダウンアンダー・クラシックが開催され、UCIワールドチーム18チームが真新しいチームジャージを着て顔を揃える。来年はどんなドラマが生まれるのか、今から楽しみだ。
 


[2019年UCIワールドツアー日程(全38戦)]
1月15~20日 サントス・ツアー・ダウンアンダー(オーストラリア)
1月27日 カデル・エヴァンス・グレート・オーシャン・ロードレース(オーストラリア)
2月24日~3月2日 UAE・ツアー(アラブ首長国連邦)※ドバイ・ツアーとアブダビ・ツアーが統合
3月2日 オムロープ・ヘットニュースブラッド(ベルギー)
3月9日 ストラーデ・ビアンケ(イタリア)
3月10~17日 パリ~ニース(フランス)
3月13~19日 ティレーノ~アドリアーティコ(イタリア)
3月23日 ミラノ~サンレモ(イタリア)
3月25~31日  ボルタ・ア・カタルーニャ/カタルーニャ一周(スペイン)
3月27日 ドリーダーフス・ブルージュ〜ドパンヌ(ベルギー)※2019年シーズン新規加入レース
3月29日 E3・ハールビーク(ベルギー)
3月31日 へント~ヴェヴェルヘム・イン・フランダース・フィールズ(ベルギー)
4月3日 ドワールス・ドール・ブラーンデレン/フランダース横断レース(ベルギー)
4月7日 ロンド・バン・ブラーンデレン/ツール・デ・フランドル(ベルギー)
4月8~13日 イツリア・バスク・カントリー/バスク一周(スペイン)
4月14日 パリ~ルーベ(フランス)
4月16~21日 プレジデンシャル・サイクリング・ツアー・オブ・ターキー(トルコ)
4月21日 アムステル・ゴールドレース(オランダ)
4月24日 ラ・フレーシュ・ワロンヌ(ベルギー)
4月28日 リエージュ~バストーニュ~リエージュ(ベルギー)
4月30~5月5日 ツール・ド・ロマンディ(スイス)
5月1日 エシュボールン・フランクフルト(ドイツ)
5月11日~6月2日 ジロ・デ・イタリア(イタリア)
5月12~18日 アムゲン・ツアー・オブ・カリフォルニア(米国)
6月9~16日 クリテリウム・デュ・ドーフィネ(フランス)
6月15~23日 ツール・ド・スイス(スイス)
7月6~28日 ツール・ド・フランス(フランス)
8月3日 クラシカ・サンセバスティアン(スペイン)
8月3日~9日 ツール・ド・ポローニュ/ポーランド一周(ポーランド)
8月4日 プルデンシャル・ライドロンドン・サリー・クラシック(英国)
8月12~18日 ビンクバンク・ツール
8月24日~9月15日 ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)
8月25日 ユーロアイズ・サイクラシックス・ハンブルク(ドイツ)
9月1日 ブルターニュ・クラシック・ウエストフランス(フランス)
9月13日 グランプリ・ド・ケベック(カナダ)
9月15日 グランプリ・ド・モントリオール(カナダ)
10月12日 イル・ロンバルディア(イタリア)
10月15~20日 グリー・ツアー・オブ・グアンシー(中国)

UCI公式サイト