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ジロ・デ・イタリア2019コース発表

ほぼイタリア本土だけを巡る『本物のイタリア式ジロ』は、個人タイムトライアルで始まり、個人タイムトライアルで終わる3週間だが、後半戦にはジロらしく厳しい山岳ステージが集中し、完璧なチャンピオンだけが勝つことを許されるレイアウトになっている(photo : LaPresse/Fabio Ferrari)

ボローニャのヒルトップ・タイムトライアルで開幕

コース発表会の模様は公式サイト上でライブ中継された  
コース発表会の模様は公式サイト上でライブ中継された  
 
来年5月に開催されるジロ・デ・イタリア2019(UCIワールドツアー)のコース発表会が、10月31日にイタリア北部のミラノで行われた。

コース発表会には、今年総合初優勝した英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)と、ポイント賞のマリア・チクラミーノを獲得したイタリアチャンピオンのエリア・ヴィヴィアーニ(クイックステップフロアーズ)が招待され、その模様は公式サイト上でライブ中継された。

第102回大会となる来年のジロは、5月11日にイタリア北部エミリア・ロマーニャの州都ボローニャで開幕し、6月2日にヴェネト州のヴェローナで閉幕する。来年は『本物のイタリア式ジロ』と称されるように、イタリア半島の中東部にあるサンマリノ共和国を訪れる以外は、イタリア本土だけを巡るレイアウトになっている。シチリア島やサルデーニャ島には渡らず、イタリア半島南部も訪れない。

最大のポイントは、個人タイムトライアルが3ステージあることだ。初日からボローニャ郊外の丘の上にある有名なサン・ルーカ聖堂にゴールする8.2kmのヒルトップ・タイムトライアルが競われ、最初の週を締めくくる第9ステージは、標高648mのサンマリノ共和国にゴールする34.7kmのヒルクライム・タイムトライアルが設定された。そして最終日は美しいヴェローナ旧市街のアレーナがゴールになる15.6kmの個人タイムトライアルで閉幕する。
 
第1ステージの個人TTコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第1ステージの個人TTコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第9ステージの個人TTコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第9ステージの個人TTコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

頂上ゴールは5ステージ、チマ・コッピは標高2618mのガビア峠

第13ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第13ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第14ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第14ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第16ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第16ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
しかし、タイムトライアルのスペシャリストだけが喜ぶようなコースレイアウトにはしないのがジロ主催者だ。全21ステージ中、難易度が中級のステージは7つ、難易度の高い山岳ステージは5つあり、そのうち頂上ゴールは5ステージで、レース後半戦に集中している。スプリンターが活躍できそうな平坦区間は6ステージしかない。

第1週目は北部のボローニャから南下してイタリア半島の足首の辺りで折り返し、サンマリノまで北上する。ラヴェンナで最初の休養日を過ごした後、2週目はイタリア北西部のピエモンテ州とロンバルディア州が舞台になり、厳しい山岳ステージが始まる。そして最終週は北東部のアルプスが戦いの場となり、ヴェローナで最後の個人タイムトライアルが行われる。


総距離は3518.5kmで、獲得標高は4万6500m。頂上ゴールは第13ステージのチェレゾーレ・レアーレ(標高2247m)、第14ステージのクールマイユール(標高1293m)、第17ステージのアンテルセルバ(標高1635m)、第19ステージのサン・マルティーノ・ディ・カストロッツァ(標高1478m)、そして最終日前日(第20ステージ)のクローチェ・ダウーネ・モンテ・アヴェーナ(標高1225m)になる。

チマ・コッピ(最高峰)は第16ステージの中盤に越える標高2618mのガビア峠で、続けて上らなければならない標高1854mのモルティローロ峠が、102回大会の “モンターニャ・パンターニ” になる。

 
第17ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第17ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第19ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第19ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
第20ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)                
第20ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)                
主催であるRCSスポルトとラ・ガゼッタ・デッロ・スポルトは、第102回大会にも様々な物語を織り込んでいる。来年は1919年に生まれたファウスト・コッピの生誕100年となるため、彼の故郷ピエモンテ州のノヴィ・リーグレにゴールする第11ステージと、翌日のクネオ~ピネローロ間を走る第12ステージが、伝説のチャンピオンに敬意を表する2日間になる。

さらに来年はレオナルド・ダヴィンチ没後500年となるため、第3ステージはトスカーナ地方の、彼の生まれたヴィンチ村がスタート地点になる。そして、10年前の2009年4月6日に大地震で大きな被害を受けたラクイラが、第7ステージのゴールになっている。


■クリストファー・フルームのコメント
「ジロでの勝利は、残りの自分の人生でずっと心の中にあるだろう。なぜならボクは、あんな象徴的なやり方で勝ったことはなかったからだ。そして、この国中のティフォーズィ(ファン)から信じられないほど大きな愛情を感じた。

このジロのエディションはとても好きだ。完璧な選手だけが勝てるだろう。山岳とタイムトライアルのバランスが取れたコースだ。非常に組織化されたチームも必要になるだろう。ガビア峠とモルティローロ峠があるステージはまるでケモノだね! 休養日明けにあって、その日、真のチャンピオンは集団から際立つことになるだろう」
 
 
左からヴィヴィアーニ、RCSメディアグループのウルバーノ・カイロ会長、フルーム、コースディレクターのマウロ・ベンニ 
左からヴィヴィアーニ、RCSメディアグループのウルバーノ・カイロ会長、フルーム、コースディレクターのマウロ・ベンニ 

第102回ジロ・デ・イタリア 全日程

5月11日(土)  第1ステージ  ボローニャ〜ボローニャ(サン・ルーカ聖堂)  8.2 km(個人TT)  ★★★
5月12日(日)  第2ステージ  ボローニャ〜フチェッキオ  200 km    ★★★
5月13日(月)  第3ステージ  ヴィンチ〜オルベテッロ  219 km    ★★
5月14日(火)  第4ステージ  オルベテッロ〜フラスカーティ  228 km    ★★
5月15日(水)  第5ステージ  フラスカーティ〜テッラチーナ  140 km    ★
5月16日(木)  第6ステージ  カッシーノ〜サン・ジョバンニ・ロトンド  233 km    ★★★
5月17日(金)  第7ステージ  ヴァスト〜ラクイラ  180 km    ★★
5月18日(土)  第8ステージ  トルトレット・リード〜ペーザロ  235 km    ★★★
5月19日(日)  第9ステージ  リッチョーネ〜サンマリノ  34.7 km(個人TT)  ★★★★
5月20日(月)  休養日        
5月21日(火)  第10ステージ  ラヴェンナ〜モデナ  147 km    ★
5月22日(水)  第11ステージ  カルピ〜ノヴィ・リーグレ  206 km    ★
5月23日(木)  第12ステージ  クネオ〜ピネローロ  146 km    ★★★
5月24日(金)  第13ステージ  ピネローロ〜チェレゾーレ・レアーレ(セッル湖)  188 km(頂上ゴール)  ★★★★
5月25日(土)  第14ステージ  サン・ヴァンサン〜クールマイユール(スカイウエイ・モンテ・ビアンコ)  131 km(頂上ゴール)  ★★★★★
5月26日(日)  第15ステージ  イブレア〜コモ  237 km    ★★★★
5月27日(月)  休養日        
5月28日(火)  第16ステージ  ローベレ〜ポンテ・ディ・レンニョ  226 km    ★★★★★
5月29日(水)  第17ステージ  コンメッザドゥーラ(ヴァル・ディ・ソーレ)〜アンテルセルバ/アントルツ  180 km    ★★★
5月30日(木)  第18ステージ  ヴァルダオーラ/オーラング〜サンタ・マリーア・ディ・サーラ  220 km    ★
5月31日(金)  第19ステージ  トレヴィーゾ〜サン・マルティーノ・ディ・カストロッツァ  151 km(頂上ゴール)  ★★★
6月1日(土)  第20ステージ  フェルトレ〜クローチェ・ダウーネ モンテ・アヴェーナ  193 km(頂上ゴール)  ★★★★★
6月2日(日)  第21ステージ  ヴェローナ(フィエラ)〜ヴェローナ(アレーナ)  15.6 km(個人TT)★★★
 
MAP : RCS Sport
MAP : RCS Sport
 
MAP : RCS Sport
MAP : RCS Sport

■コース・ディレクターのマウロ・ベンニのコメント
「全体の獲得標高が4万6500m以上で、能力が試される3つの個人タイムトライアルがあり、これは近年で最も厳しいジロの1つになるだろう。技術面で非常に能力が試され、最初のステージから落とし穴があり、ボローニャからサン・ルーカ聖堂のタイムトライアルと、サン・マリノでのより長いタイムトライアルで、おそらくより大きなタイム差が生まれるレースだ。

それから、アルプスとドロミテでは、このスポーツの歴史を築いた登坂とゴールを持った山岳ステージがある。多くの解決策を受け入れるジロになり、それゆえに異なった特性を持った多くの選手に門戸が開かれたジロになるだろう。ヴェローナでの最後の個人タイトライアルは、総合順位を変える可能性もあり、勝負を決する瞬間になるかもしれない。

イスラエルからの歴史的な出発という2018年の経験の後で、今年はサンマリノ共和国でゴールするたった1ステージを除いては、実質的に「全てイタリアの」物語になる。我々の素晴らしい国を巡るこの旅では、スポーツの挑戦だけでなく、イタリアの文化と観光の遺産も見せたい。レオナルド・ダヴィンチ、ヴェローナのアレーナ、アルプスからドロミテの山々の唯一無二の風景、そして大地震から10年経ったラクイラのゴール。それらはすべて、このジロ・デ・イタリアには不可欠なものだ」

 
 
 
ジロ公式サイト