新幹線に特大荷物を持ち込む際の新制度とは?

目次

新幹線の大型荷物

協力:JR東海

2020年5月20日より3辺の合計が160〜250㎝の荷物を持って東海道・山陽・九州新幹線に乗る場合、「特大荷物スペースつき座席」の事前予約が必要となった。自転車は変わらず予約不要で持ち込めるものの、特大荷物スペースを利用する場合は事前予約をしなければならない。この制度の概要と利用方法について解説しよう。

東京五輪&パラを見据えて

鉄道に持ち込んだ輪行袋は、どこに置けばいいのか? 弊社刊行の『「輪行」がよくわかる本』(p46)にも記載のとおり、新幹線を含む特急車両では最後部座席後ろのスペースを推奨してきた。ただしこのスペースは、棚に載せられない大型のスーツケース等の置き場にも用いられ、既に先客により占用されていることも多かった。結果、早い者勝ちゆえ利用者同士でトラブルが発生することや、最後部座席の利用者から「荷物が当たって座席をリクライニングできない」といった苦情が寄せられることもあった。特に2020年夏に開催が予定されていた東京オリンピック・パラリンピックでは外国人旅行者の急増も見込まれ、鉄道各社には何らかの対応が求められていた。

そこでJR東海・JR西日本・JR九州の3社は昨年8月、3辺の合計が160〜250cmとなる荷物を持ち込む場合(以前から250cm〜、重量30kg〜の荷物は持ち込み不可)、東海道・山陽・九州新幹線の同スペースと最後部指定席をセットにした「特大荷物スペースつき座席」の事前予約を求めることを発表。予約なく持ち込んだ場合、手数料として1000円(税込)徴収することも併せて示された。

これに対しサイクリストから「行きはともかく、(走行に要する時間が確定できないため)帰りの事前予約は困難」とか「自由席を利用する場合はどうなるのか?」といった意見や疑問が出されたが、今年3月の発表では開始日を5月20日とするとともに、自転車を含むスポーツ用品や楽器、ベビーカー等の事前予約は不要と明記され、ホッと胸をなでおろした人もいたはずだ。

もちろん不要とはいえ、事前予約をしておけば座席も愛車を置くスペースも追加料金を払わずとも確保されるわけだから、可能な限り「特大荷物スペースつき座席」を予約した方がいいことは言うまでもない。その予約はインターネット(エクスプレス予約、スマートEX、e5489、JR九州インターネット列車予約)だけでなく、駅の券売機や窓口でも可能だ。一方でJR東海ツアーズの旅行商品となる東京〜新大阪間のこだま号の指定席を割引料金で利用できる「ぷらっとこだま」は、残念ながら「特大荷物スペースつき座席」の予約はできない。ちなみに北海道・東北・上越・北陸の各新幹線については、「同様の規定を導入する予定はない」との回答を得ている。

特大荷物スペースの概要

指定席車両の最後部座席後ろ側のスペースが特大荷物スペースと名付けられ、事前予約が必要となった(一部に設定のない車両もあり)。各列車の設定数や底面サイズは表を参照してほしい。

新幹線の大型荷物

普通車(2列席)の特大荷物スペースは、底面サイズが490×970mmとなる

新幹線の大型荷物

グリーン車の場合、進行方向左側は2列分となる

スマートEXでの予約方法

※エクスプレス予約もほぼ同様

新幹線の大型荷物

①乗車日、出発時刻(または到着時刻)、乗車駅と降車駅、利用人数を指定して「特大荷物スペース利用」にチェックを入れ、「OK予約を続ける」をタップ

新幹線の大型荷物

②表示された候補から希望の列車の「この候補を選択」をタップ

新幹線の大型荷物

③利用したい商品の設備にチェックを入れ、「座席表を見る」をタップ。座席を指定しない場合は「OK予約を続ける」をタップ

新幹線の大型荷物

④最後部座席から希望の座席を選択後、「OK予約を続ける」をタップ

新幹線の大型荷物

⑤「特大荷物スペース」の表示があることを確認のうえ、予約内容に問題がなければ「OK予約する(購入)」をタップ

新幹線の大型荷物

⑥予約が完了するとこの画面が表示され、登録のメールアドレスに予約内容が送信される

指定席券売機での予約方法

新幹線の大型荷物

①条件に合った列車の一覧から、希望の列車を選択する

新幹線の大型荷物

②希望の車両を選ぶ画面で、「特大荷物スペースつき座席」を選択

新幹線の大型荷物

③座席表に示される最後部座席の中から、希望の座席を選択する

教えて! JR東海さん

「特大荷物スペースつき座席」にまつわる疑問点について、東海道新幹線を運行するJR東海に聞いてみた。自転車をスムーズに持ち込むことができるよう、読者の皆さんも周りへの心配りを忘れずにね。

新幹線の大型荷物

Q1:事前予約をした人同士で競合した場合は、どうすればいいの?
A1:特大荷物スペースは、最後部5席(グリーン車は4席)の乗客で共用することになります。事前予約したにもかかわらず他の荷物があって置けない場合、まずは乗務員に声を掛けてください。別の置場を指定するなどの対応をします。

Q2:3辺の合計が160cmに満たない場合も、事前予約をすれば特大荷物スペースを利用できるの?
A2:できる限り他の座席を予約するようにお願いしていますが、それぞれ事情もありますから、特大荷物でなくとも、予約していただいた方々でスペースを譲り合って利用してもらえるよう案内しています。荷物を置く場所がないなど困ったことがあれば、乗務員までお声掛けください。

Q3:「特大荷物スペースつき座席」はどの号車にあるの? 1列車に何席設定されてるの?
A3:表(「特大荷物スペースつき座席」のある号車と座席数)を参照してください。

「特大荷物スペースつき座席」のある号車と座席数
列車名   号車 席数
のぞみ 普通車 4~7・12~13 各号車5席(計30席)
グリーン車 8~10 各号車4席(計12席)
ひかり 普通車 6・7・12・13 各号車5席(計20席)
グリーン車 8~10 各号車4席(計12席)
こだま 普通車 7・12 各号車5席(計10席)
グリーン車 8~10 各号車4席(計12席)


Q4
:特大荷物スペースには、どれくらいのサイズの荷物が置けるの?

A4:表(特大荷物スペースに置ける荷物の底面サイズ)を参照してください。

特大荷物スペースに置ける荷物の底面サイズ
種類 サイズ
グリーン車(2列席) N700/N700A 410×1200mm
N700S 500×1200mm
普通車(2列席) N700/N700A/N700S 490×970mm
普通車(3列席) N700/N700A/N700S 490×1470mm


Q5
:自由席の最後部座席後ろのスペースや乗降口近くのデッキに輪行袋に入れた自転車を置いてもいいの?

A5:自由席の最後部座席後ろのスペースに置くことはできますが、「荷物があってリクライニングできない」との意見もあることから、その直前の座席に座ったお客様が、荷物に目が届く範囲でご利用いただくよう協力をお願いします。また、デッキに置くことは他のお客様への迷惑となるため、やむを得ない場合を除いてご遠慮ください。

Q6:「特大荷物スペースつき座席」は、在来線の特急や普通車にも広がっていくの?
A6:現時点では在来線において導入する計画はありません。なお、特急では一部車両内の客室端部にスペースをご用意しており、こちらを案内しています。事前予約は不要で、このスペースが利用できない場合は乗務員に相談してもらえれば、車内の空きスペースを案内するなどしています。

Q7:2023年に導入される「荷物コーナー」も、必要となるのは事前予約のみで追加料金は発生しないの?
A7:「特大荷物スペースつき座席」と同様、「荷物コーナー」についても追加料金なしで利用できます。