180万円の価値はあるか? ビアンキ・スペシャリッシマRC試乗

目次

Presented by CYCLEUROPE JAPAN

現在、ビアンキのコンペティティブなロードバイクは、エアロロードのオルトレと、軽量オールラウンダーのスペシャリッシマが二枚看板となっている。今回試乗したのは、2024年に第3世代へと進化したスペシャリッシマのハイエンドモデル「RC」だ。3シーズン目を迎えてなおトップに君臨するパフォーマンスの高さを、あらためて検証することにした。

 

ビアンキ・スペシャリッシマRCとは

ビアンキ・スペシャリッシマRC ●価格:179万3000円(2025年モデルは2026年5月1日より本価格に改定) ●試乗車サイズ:53 ●試乗車カラー:MR-カーボン/CKメタリック/CK16

現在、UCIワールドチームのバーレーン ヴィクトリアスとパートナーシップ契約を締結しているビアンキ。同社の記念すべき創業130周年となる2015年に発表されたのが、軽量クライミングバイクの「スペシャリッシマ」だ。2021年にはディスクブレーキや内装ケーブルルーティングを採用した第2世代へと移行。そして2023年の秋に華々しくデビューしたのが現行の第3世代である。

リムブレーキの初代、そしてディスクブレーキを初採用した第2世代は比較的シンプルなチュービングだったのに対し、第3世代ではドラスティックにスタイリングを変えてきた。これは軽量クライミングバイクから軽量オールラウンダーへと軸足を移したからで、エアロロードのオルトレで培われたエアロダイナミクスが盛り込まれた結果、外観が大きく変化したのだ。

昨今、グランツールの大半の日程で各チームはエアロロードをメインに使用している。クイーンステージのようなよほど獲得標高が多い日でない限り、軽量クライミングバイクが投入される場面が激減した。そんな中でも活躍しているスペシャリッシマは、第2世代では上り勾配が8.8%以上であればオルトレよりも有利とされていたが、第3世代はこれを6%にまで引き下げることに成功。それだけ現行モデルは空気抵抗が低減されたのだ。

ラインナップは、ハイエンドのRC、ビアンキ独自の振動除去テクノロジー「カウンターヴェイル」を搭載するプロ、そしてエントリーグレードのコンプという3グレードとなっている。今回試乗したのは「RC」で、完成車重量はUCI規定を下回る6.6kg(55サイズ)を公称。コンポはシマノ・デュラエースで、フォーアイのパワーメーターやレパルトコルサのカーボンホイール&一体型コックピットを標準装備する。今年の3月に価格が198万円から179万3000円に引き下げられたのは朗報だろう。

シンプルな造型のダウンチューブは左右でロゴが異なる点に注目を。ボトルケージのボルトはロゴ入りのチェレステカラーで、こうした所有欲を満たす演出が随所に見られる

ディスクブレーキ仕様となった先代から内装ケーブルルーティングに。第3世代ではフォーククラウンよりもヘッドチューブが前方に張り出す形状となり、空気抵抗を削減することに成功

現行の第3世代で初めてドロップドシートステーを採用し、エアロダイナミクスを追求。BBはプレスフィット(86.5×41mm)だ。クランクセットはデュラエースで、フォーアイのプレシジョン3+パワーメーター(両足計測タイプ)が標準装備される

アクロスICRシステムに対応するレパルトコルサの一体型コックピット。リーチ:80mm、ドロップ:125mmで、試乗車の53サイズにはハンドル幅:400mm/ステム長:110mmが装着されていた。ブラックのバーテープはグリップ力が高く、まるで吸い付くように手のひらにフィットする

標準装着されるホイールはレパルトコルセ・RC 33Rセラミックだ。リムハイトは33mmで、ホイールセットでの価格は31万1300円。リム内幅21mmは昨今のトレンドに照らし合わせると狭めではあるが、前後で1370g±5%(フロント:635g、リヤ:735g)という軽さは魅力だろう。タイヤはピレリ・PゼロレースSLで、TLR仕様だが試乗車はチューブド運用だった

ハブ本体は6082アルミで、シールドベアリングのボールにセラミックを使用。スポークは片側がストレートプル、もう一方をJベンドとした特殊な仕様で、ニップルはアルミ製だ

フルカーボンのエアロシートポストを採用。オフセットは20mmだ。フレームサイズにより280mm、300mm、350mmという3種類の長さを使い分ける。サドルはビアンキのRC139で、公称重量は145gと非常に軽量だ

 

ビアンキ・スペシャリッシマRC スペック

●価格:179万3000円
※2025年モデルは2026年5月1日より本価格に改定

●フレーム&フォーク素材:カーボン

●メインコンポーネント:シマノ・デュラエースDi2

●ホイール:レパルトコルセ・RCカーボン

●タイヤ:ピレリ・Pゼロ レース SL TLR 700×28C

●ハンドルステム:レパルトコルセ・インテグレーテッドハンドルバー

●サドル:ビアンキ・RC139 カーボン

●シートポスト:専用カーボンシートポスト

●パワーメーター:フォーアイ・プレシジョン 3 +デュアルサイド パワーメーター

●サイズ:47、50、53、55 、57、59

●カラー:MR-カーボン/CKメタリック/CK16、B1-カーボンUD/CK16 マーブル – CK16 [フルグロッシー]

 

ビアンキ・スペシャリッシマRCを試乗〜芯を食うペダリングに快感が伴う

インプレッションライダー:自転車ジャーナリスト・大屋雄一 モーターサイクルにも造詣が深いフリーランスライター。ロードレース、ヒルクライム、エンデューロ、ブルベ、シクロクロス、MTBレース、ママチャリ耐久、仮装レース、バイクパッキングなど、自転車遊びを一通り経験して現在に至る。

今年で3シーズン目を迎える第3世代のスペシャリッシマRC。内に秘めるポテンシャルの高さが体躯の美しさに表れているようなたたずまいで、眺めているだけでもまったく飽きることがない。加えて、アンダー7kgの車体は驚くほどに軽く、試乗前に何度も持ち上げては顔がほころんでしまった。

走り始めてまず感じるのは、非常にクリアなペダリングフィールだ。古くからのゴルフ経験者なら分かると思うが、まるでパーシモンのドライバーで芯を食ったときのような、澄み切った脚当たりなのである。それでいて、スイートスポットはメタルドライバーのように広大で、どんな踏み方をも許容する。スタートして1kmも走らないうちに、「スーパーなハイエンドモデルはこんなにも進むのか」と感心しきりで、リムハイトが低めのホイールでありながら平坦路での巡航スピードも維持しやすかった。

スペシャリッシマRCが本領を発揮するのはやはり登坂路だ。シッティングではペダルが11時のあたりからでもスイスイと進むような印象で、ダンシングなら常にイメージの半歩先にバイクがいる。これは単に車体が軽いからだけでなく、ライダーの踏力を推進力へ変換する技術が優秀なのだろう。フレーム全体の剛性感は“適度”であり、ダンシングでリズムが取りやすいのも上りの楽しさにつながっている。

ハンドリングは、軽量な車体でありながら不安なく倒し込むことができ、コーナリング中の安定性も良好だ。試乗車はTLRタイヤにチューブを入れた状態だったので、硬さを排除するために空気圧を下げ気味とした。これが本来のTLR運用であれば、さらに接地感が増しただろう。なお、この第3世代のスペシャリッシマRCでは、振動除去テクノロジーのカウンターヴェイルが省略されたが(セカンドグレードのプロのみ採用)、乗り心地について特に不快には感じなかった。

それと、ハイエンドクラスのスタンダードコンポとなっているデュラエースは、当然ながら変速性能もブレーキフィールも優秀だ。アルテグラや105 Di2でも要件は十分に満たしているが、シフトアップ/ダウン時のショックの少なさや、高速域から減速する際の緻密なコントロール性などはデュラエースが一枚上手であり、プロユースに応える耐久性の高さはもちろんのこと、この上質な操作性にも大きな価値がある。スペシャリッシマRCは、デュラエースのハードな制動力にも根を上げることがなく、最高峰コンポの高性能を余すところなく享受できるのだ。

UCIワールドツアーのアベレージスピードが時速50kmに迫る昨今、一瞬でもそんな速度を出せないホビーレーサーにハイエンドモデルは不要という風潮がある。だが、スペシャリッシマRCはトッププロの要求に応えつつも、河川敷のサイクリングロードを流すペースですら上質さを味わうことができ、そこに大きな魅力がある。もちろん、ヒルクライムのガチ勢なら飛び道具として投入するも良し。約180万円という価格が示すとおり、誰もが手に入れられるバイクではないが、ビアンキファンにとって憧れの座にいるからこそ、その存在が輝いているように思う。

 

Brand Info〜Bianchi(ビアンキ)について

1885年、エドアルド・ビアンキ氏がイタリア・ミラノのニローネ通りに1号店をオープンしたことで、ビアンキの歴史がスタートした。1940年にロードレースチームを結成。ファウスト・コッピやマルコ・パンターニといった名選手たちを輩出している。これまでにジロ・デ・イタリアで12回、ツール・ド・フランスで3回、そしてブエルタ・ア・エスパーニャで2回の総合優勝を記録。イタリアで天空を意味するチェレステカラーがトレードマークだ。