元オリンピアン竹谷氏の「スペシャライズド 幕張」が7/1にオープン

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2021年7月1日(木)に千葉県にオープンするストア「スペシャライズド 幕張」。そのオーナーは、元MTB日本チャンピオンでアテネ五輪に出場した竹谷賢二さんだ。「自転車屋さんはやりたくない」竹谷さんの同ストアがどのようなものになるのか話を聞いた。

竹谷賢二さん

竹谷賢二さん

立地の理由

まずは、ストアの場所として幕張を選んだ理由について次のように話した。

「MTBの選手だったので、MTBができる場所にアクセスできるところにしたいなっていうのがこのロケーションを決める大きなポイントの1つです」。

幕張海浜公園には無料のMTBコースがある。また、他の車種についても乗りやすい環境であることを理由に挙げた。

「スペシャライズドって何って言うと、例えばターマックな人もいるし、ルーベな人もいるし、eバイクな人もいるけどMTBな人もいる。頭に連想されるものってみんな違うと思うんです。でもそれらを全て内包したのがブランドという形になりますので、それらを全て体験してもらう方がブランドのメッセージを伝えることにもなりますよね。そうすると、MTBが乗れる、ロードも気持ちよく乗れる、トライアスロンもできる、ロングライドで房総の方にも行ける、シティライドもできる、(花見川)サイクリングロードでポタリングもできる。そういう全てができる環境を考えたときに、私のやりたいことと場所がフィットしました」。

スペシャライズド幕張

スペシャライズド 幕張が目指すもの

竹谷さんとスペシャライズドとの関わりは1998年からと長い。

「スペシャライズドに関わって生きてる時間の方が長いフェーズに入ってきたわけですね。そのなかで紆余曲折もちろんありますけど、ずすばらしい方向に向かってるなっていうのは四半世紀やってきて思うところです。今だけ見ればどう思うとか、昔はこうだったとかあるかもしれませんけど、大きな流れのなかで捉えればすごくいい方向に伸びているブランドだなっていうのは私が一番実感しているんじゃないかなって思ってます」。

そんななかで、スペシャライズドのブランドストアをオープンさせることについてはこう話す。

「物をいっぱい並べて、あっちがいいよこっちがいいよ、うちは腕がいいよとか、クラブが頑張ってるよっていう。その流れには乗りたくなかったと。つまり、自転車屋さんをやるっていう流れは自分の選択肢にはなかったんですよね。それは何でかっていうと、人付き合いでやっていくと、人の気持ちは移ろいやすいですし、人についちゃうとブランドストアじゃなくなっちゃうんですよね。ですので、その辺をしっかりと整理して、ブランドストアだったらやりたいっていうのがありました。私もプロをやったりとかアドバイザーだったりブランドを売る仕事をしているから、それが今まではポリシーとかイメージを売っていたけど、今度は具体的なハードを売る形に少しステップを変えたというのが私の捉え方になっています」。

そして、その人自身に合った1台を提案したいと語った。

「ブランドのメッセージを伝えるという意味で、これからスペシャライズドを知る人がターゲットになっていきます。初心者だったら安いからこれでいいよじゃなくて、(竹谷さんのSワークスエートスを指さして)これに乗っても私はいいと思うんですよ。その人にとっての最初の1台はその人が決めるものだと私は思っているので。初心者には早いとかじゃなくて。私はお酒をよく飲むんですけれども、バカラのグラスを割っても惜しくない人はバカラのグラスを買うべきですよね。使わないのに買うのはもったいないですけども、バカラ(でお酒)をガンガン飲むんだったらバカラでいいですよねっていう話なんですよ。みんながたたき上げの選手になるわけじゃなくライフスタイルなんだから。過不足がないものを選んでもらえればいいので、お客様が困らない限りは問題はないわけですよ。それをこちらで四の五の言うから四の五の気になっちゃう。お客様に過不足ないっていうのはこちらの責任において提供すればいいだけの話。いらぬ情報がいっぱいいくと、自転車で楽しみたかったはずなのに、いつのまにか自転車に詳しくなることが目的になって、スペックで比較されることに嫌気を覚えるとか。そんなの自分の好きなものに乗ればいいじゃないですか。それを堂々とやれるような空気にしたいっていうのはやっぱりありますよね」。

また、自転車の販売と合わせてその楽しみ方も広げていく。

「なるべく多くの接触の機会を持って、お困りごとをまず減らしてあげること、楽しい提案を繰り返ししていくことが大事だと思いますので、それは今までエンデュアライフとして自転車を売らないでやっていたなかでも相通じるもの。ソフトの部分としては今後も展開していきますので、ソフトとハードを一緒にパッケージにしてやっていこうと考えています」。

スペシャライズド幕張

自転車を楽しむ方法

自転車の楽しみ方を具体的にどう広げていくかの前に、竹谷さんは安心と安全の重要性を説いた。

「まず安心と安全がすごく大事。やっぱり自分の身を守るのは自分だと思うので、自分自身が安心、安全を作れるように乗りこなしてほしいというのは強く打ち出していくところです。ちょっと行くと花見川があって、そこに交通公園ってあるんですよ。自治体に今後働きかけて、子供用の場所だけど大人の自転車教室やりたいなとか。あとは、ロードに乗ってる人にもグラベル、ダート、要は滑りやすい場所で乗ってもらう。日常的に体験できない難しさを体験したうえで日常のライドに戻ってもらって、自分のができること、できないことを知るのが大前提としてすごく重要になります。何となくいい自転車を買って、何となく頑張ってたらスピード出せるようになって、それで俺うまいとか俺速いとかじゃなくて、これは危ないからやる、やらないと分かった人が安心、安全だと思っています。特別な高い能力を身につけろじゃなくて、身の程を知ってわきまえた乗り方をするのが一番の安心、安全だと思いますので、それを体験してもらうことはいくつも用意します。何で止まれないスピードを出せるかって言うと、止まれないっていうことを知らないからですよ。止まれないと分かっていれば誰もやらない。ひものついていないバンジージャンプは飛ばないですよね」。

そして、自転車の楽しみ方には2種類あるという。

「楽しさっていうとどんなことでも始めたばっかりって楽しいんですけども、繰り返してくとやっぱりマンネリになっちゃったりとか慣れちゃったりとかして、そうなってくると、自転車で言うとより長くとかより速くとかっていうベクトルにどうしてもなってっちゃうと思って。それはもちろんそのとおりなんですけれども、他の自転車に乗れば手っ取り早く変化があって楽しいじゃないですか。例えば50万円のロードを買って、それを30万円のホイールでアップグレードして、より軽くなってよりエアロになって。そのホイールを買えばヨーロッパで勝てるとかであればまた話は別ですけど、誤差だよねその変化の差って。けどその30万円でMTBに乗ったらもっと全く違う体験ができるからそっちの30万の方がいいんじゃないのかな。またそこからロードに戻ると、1粒で噛んでて味わえなかった味わいがどんどん増えてくわけですよ。寿司が好きだからってずっと食べてたらおいしいと思わなくなりますもんね。なので、それちょっと変えてあげるだけでどんどん楽しみっていうのは広がっていきます。もう1つ向上の縦の変化っていうのはすごく大事だと思うんですね。よりうまくなってより体力がついた結果スピードが出るっていうのはとても望ましいことだと思いますし、スピードが出れば同じ時間を使って距離が伸びますよね。その縦方向の自分の向上としての変化っていうのは切っては切り離せないわけでどんどん伸びていってほしいんですよ。その人にとって良くなっていってほしいわけですね。ですので変化の幅も持たせるし、変化の向上の伸びしろも持ってもらいたいというのがお客様に提供できる楽しさという意味になってくると思います」。

スペシャライズド幕張には、オンラインショップのように、お薦めと売れ筋の自転車が並べられる。スペースに限りがあるためラインナップの全ては見られないが、変化の幅については、例えば、Sワークスエートスやeバイクなどお薦めするモデルの試乗車が用意される。ストア近くの幕張海浜公園沿いは、4kmほど周回で走ることができ、初心者でも親しみやすい。また、前述のように全ての車種を試せる環境もある。

竹谷さんとスペシャライズド幕張のスタッフ

スペシャライズド 幕張
住所:〒261-0021 千葉県千葉市美浜区ひび野1-4-3
電話番号:043-307-8840
HP:https://endurelife.co.jp
メール:info@endurelife.co.jp
営業時間:平日12:00~20:00、土日11:00~19:00