ツール・ド・フランス2022 第19ステージはフランスのラポルトが区間初優勝

2022.07.23
レース

photo A.S.O./Pauline BALLET/Charly Lopez / ©SprintCycling

フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス（ＵＣＩワールドツアー）は、７月22日にカステルノー・マニョアックからカオールまでの188.5 kmで、平坦区間の第19ステージを競い、クリストフ・ラポルト（ユンボ・ヴィスマ）が、残り500mからのロングスパートを決めて区間初優勝し、地元フランスに今年最初の勝利をもたらした。

■29歳のラポルトが区間初優勝し、開催国フランスに今年最初の勝利をもたらした (©SprintCycling)

区間２位は1秒遅れでベルギーのヤスペル・フィリプセン（アルペシン・ドゥクーニンク）、３位はイタリアのアルベルト・ダイネーゼ（チームＤＳＭ）だった。総合首位はデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー（ユンボ・ヴィスマ）が守り、マイヨ・ジョーヌ着用日数は９日になった。

■ツール区間初優勝をヴィンゲゴーと喜ぶラポルト (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

マスが新型コロナで不出走

第19ステージは139選手が出走。スペインのエンリク・マス（モビスターチーム）が、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の検査で陽性になり、スタートできなかった。彼は前日までの総合成績で、24分8秒遅れの総合11位だった。

4km地点でミゲル・ホノレ（クイックステップ・アルファヴィニルチーム）、タコ・ファンデルホールン（アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー）、クイン・シモンズ（トレック・セガフレード）が集団から逃げ出し、マテイ・モホリッチ（バーレーン・ヴィクトリアス）とニルス・ポリッツ（ボーラ・ハンスグローエ）が合流し、先頭は５人になった。

■ひまわり畑の中を逃げる５選手 (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

今年３回目の抗議活動でレースが一時中断した時、５人の逃げは1分20秒差を付けていた。38.4kmの中間スプリントはシモンズが先頭で通過。集団はフィリプセンが先頭で1分30秒遅れだった。ゴールスプリントに持ち込みたい集団は大差を許さず、逃げは53km地点でたった6秒差になって吸収されかけたが、ホノレが再びアタックし、ファンデルホールン、シモンズ、モホリッチも挑戦を続けた。

ゴールまで残り90kmで、逃げのタイム差は再び1分に開いたが、アルペシン・ドゥクーニンクが集団の先頭を引き、差は縮まっていった。残り52.6kmのカテゴリー４の丘はモホリッチが先頭で通過し、シモンズが続いた。ここでシモンズがアタックして独走を開始した。

集団は２つに分断し、ファビオ・ヤコブセン（クイックステップ・アルファヴィニルチーム）やマス・ピーダスン（トレック・セガフレード）が後方の集団に入っていた。ゴールまで残り42.6kmで、マイヨ・ブランのタデイ・ポガチャル（ＵＡＥチーム・エミレーツ）がパンクに見舞われて遅れたが、チームメート３人が待ち、すぐ集団に復帰できた。

先頭を逃げ続けたシモンズは、35.7km地点のカテゴリー４の丘を先頭で越えた後、メイン集団に吸収された。現在21歳で、今年のツールで最年少のシモンズは、この日の敢闘賞を獲得できた。シモンズが吸収されて1kmも進まないうちに、今度はアレクシー・グジャール（Ｂ＆Ｂホテルズ・ＫＴＭ）が集団からアタックし、さらにポガチャルも逃げを試みたが、マイヨ・ベールのウァウト・ヴァンアールト（ユンボ・ヴィスマ）に鎮圧された。

ゴールまで残り30kmでグジャールにヤスペル・ストゥイベン（トレック・セガフレード）とフレッド・ライト（バーレーン・ヴィクトリアス）が追いつき、先頭は３人になった。彼らは10数秒差を守って逃げ続けたが、残り2kmで集団は間近に迫っていた。

カオールのゴールは、残り1kmがゆるやかな上り坂になっていた。ゴールまで残り1.3kmで、集団から飛び出したラポルトが先頭の3人に追いついた。残り1kmのフラム・ルージュを通過した後、ライト、ストゥイベン、ラポルトは集団にわずかな差を付けて先頭を走り続け、最後は残り500mでスパートしたラポルトが、圧倒的な差を付けてフィニッシュラインを通過した。

現在29歳のラポルトは、昨年まで地元フランスのコフィディスに所属していたが、今季オランダのユンボ・ヴィスマに移籍した途端、パリ～ニースの初日ステージで優勝し、ＵＣＩワールドツアー初優勝を果たしていた。彼の勝利で開催国フランスは、区間優勝なしという不名誉な記録を作らずに済んだ。過去には1926年と1999年に、フランスは区間優勝できない年があった。

■29歳でツール区間初優勝を勝ち取ったラポルトのコメント
「実感するのは難しいが、とても嬉しい。今日チームはボクを信頼してくれた。ヴァンアールトが「今日はキミの日だ」と言ってくれた。彼が前回そう言ったのはパリ〜ニースでだった。我々は最初に、ヴィンゲゴーを残り3km地点にまで無事に連れて行くという目標を達成した。

ボクはカーブでスピードを上げて、後ろに少し差が付いたのを見た。それから先行している選手たちに追いつく仕事をした。（区間優勝は）ただの報酬ではなく、大きなものだ！　自分自身の成績がなくても、このツール・ド・フランスは既にとても満足していた。今、チームは区間優勝を取りに行くチャンスを与えてくれた。過去に２回、２位になった後で、勝つのは格別だ。

ヴァンアールトが代わりに彼のために走ることも可能だった。フランスの勝利を得る事は重要だった。それが群衆とボクの家族を幸せにするのなら、ボクも幸せさ」

■ヴィンゲゴーのマイヨ・ジョーヌ着用日数は９日になり、ミカエル・ラスムセンの記録に並んだ (photo : A.S.O./Charly Lopez)

■第19ステージ結果
［７月22日／カステルノー・マニョアック～カオール／188.5 km］
1. CHRISTOPHE LAPORTE (JUMBO – VISMA / FRA) 3h 52’ 04’’
2. JASPER PHILIPSEN (ALPECIN – DECEUNINCK / BEL) + 00’ 01’’
3. ALBERTO DAINESE　(TEAM DSM / ITA) + 00’ 01’’
4. FLORIAN SENECHAL (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / FRA) + 00’ 01’’
5. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 00’ 01’’
6. AMAURY CAPIOT (TEAM ARKEA – SAMSIC / BEL) + 00’ 01’’
7. DYLAN GROENEWEGEN (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / NED) + 00’ 01’’
8. HUGO HOFSTETTER (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 00’ 01’’
9. LUKA MEZGEC (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / SLO) + 00’ 01’’
10. CALEB EWAN (LOTTO SOUDAL / AUS) + 00’ 01’’
13. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 00’ 01’’

■第19ステージまでの総合成績（マイヨ・ジョーヌ）
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 75h 45’ 39’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 03’ 26’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 08’ 00’’
4. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 11’ 05’’
5. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 13’ 35’’
6. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 13’ 43’’
7. ALEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS) + 14’ 10’’
8. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 16’ 11’’
9. ALEXEY LUTSENKO (ASTANA – QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 20’ 29’’
10. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 20’ 37’’

［各賞］
■ポイント賞：WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN)
■新人賞：TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績：INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : QUINN SIMMONS (TREK – SEGAFREDO / USA)