ツール・ド・フランス2021のコース発表

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アモリー・スポール・オルガニザシオン(ASO)は11月1日に、来年6月26日にフランス北西部ブルターニュ地方で開幕する第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)のコースを発表した。

 

ツール・ド・フランス2021

ツール・ド・フランス2021のコースマップ(MAP : ASO)

 
ツールのコース発表会は10月29日にパリのパレ・デ・コングレで開催される予定だったが、深刻な新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の再流行で中止になった。そのため、コース発表は11月1日の夜にフランステレビジョンのスポーツ番組『スタッド2』の中で行われた。

第108回大会は東京オリンピック(7月23日開幕)の影響で例年より1週間早くスタートし、6月26日から7月18日の3週間で開催される。全21ステージの総距離は3383kmで、内訳は平坦区間が8区間、丘越え区間が5区間、山岳区間が6区間(そのうち頂上ゴールは3区間)、個人タイムトライアルが2区間となっている。来年もチームタイムトライアルは行われない。

当初、2021年のツールは北欧デンマークのコペンハーゲンがグランデパール(開幕地)になるはずだったが、新型コロナウイルスの影響で延期になったサッカーのユーロ大会との調整がつかず、ASOはブルターニュ地方を代替地とし、コペンハーゲンのグランデパールを1年延期した。

フランスで最も自転車競技が盛んなブルターニュ地方では4ステージが行われ、初日は港町のブレストからスタートする。ブレストが初日のスタート地になるのは1952年、1974年、2008年に続いて4回目になる。

初日のゴールはランデルノーのフォス・オー・ルーの丘の上で、全長3kmで平均勾配5.7%(最大14%)のアップヒルゴールになり、最初のマイヨ・ジョーヌはスプリンターではなく、パンチャーが獲得する事になるだろう。しかも、翌日の第2ステージはミュール・ド・ブルターニュのアップヒルゴールで、来年のツールは開幕から目が離せない展開になりそうだ。

ツール・ド・フランス2021

新型コロナウイルスの影響で2021年のグランデパールはコペンハーゲン(デンマーク)からブルターニュ地方に変更した

モン・ヴァントゥを2回越える山岳ステージ

北西部のブルターニュ地方で4ステージか行われた後は、そのまま南東部へと進路を取り、第1週目の週末にはアルプス山岳区間が2ステージ行われ、最初の休養日の前日には標高2113mのティニュ山頂上ゴールの第8ステージが設定されている。

アルプスから南西部のピレネーへと移動する2週目には、『プロヴァンスの巨人』と呼ばれるモン・ヴァントゥを初めて1日で2回通過する第11ステージがあり、第108回大会の目玉になっている。モン・ヴァントゥは頂上ゴールではないが、2つの異なったルートで上る趣向で、1回目は全長24.3kmで平均勾配が5%、2回目は全長15.7kmと短いが平均勾配は8.8%になっている。

ツール・ド・フランス2021

●第11ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

2週目の週末からはピレネー山岳区間がスタート。日曜日にはアンドラ公国がゴールの山岳ステージが行われ、標高2408mで2021年大会最高峰(アンリ・デグランジュ賞)のエンバリーラ峠越えが含まれている。アンドラで2度目の休養日を過ごした後、最終週には頂上ゴールの山岳区間が2ステージ設定されている。

最後の山岳ステージは第18ステージで、距離は130kmと短いが、標高2115mのツールマレー峠を越えた後、標高1715mのリュス・アルディデン山頂上にゴールする。

2度の個人タイムトライアルの総距離は58km。最初は第5ステージで27km、2回目は最終日前日の第20ステージで31km。今年のツールでは、最終日前日に行われたラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ頂上がゴールの個人タイムトライアルで総合逆転劇が行われたが、来年の最終日前日の個人タイムトライアルは平坦コースでTTスペシャリスト向きだ。

カテゴリー2以上の上り坂は27カ所で、2020年よりも2カ所少なく、2019年と同数だ。しかし、来年のツールは頂上ゴールの山岳区間が3ステージしかなく、クライマーよりもオールラウンダー向きのコースになっている。賞金総額は230万ユーロで、そのうちの50万ユーロが個人総合優勝賞金となる。

■今年、最終日前日の個人タイムトライアルで劇的な逆転劇を演じ、総合初優勝を果たしたスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)のコメント
「興味深いコースだ。過去数年間よりも古典的なツール・ド・フランスのコースだ。ブルターニュでの最初の週は、横風と悪天候になる可能性があり、エキサイティングな展開になるに違いない。その後のタイムトライアルは、自分に向いていることを願う。その後向かうアルプスは非常に厳しいステージ。モン・ヴァントゥが1日に2回は、伝説的なステージになるだろう。

何日かは登坂が4500m以上でとても厳しい。ピレネーの区間もボクに向いているし、ルートは去年のブエルタ・ア・エスパーニャで知っている。頂上ゴールは3回しかない。理想としてはもう少し多い方が好みだけど、それでもツールにはいつものようなエキサイティングなレースを期待しているよ」

ツール・ド・フランス2021

今年のツールで総合初優勝したポガチャルは来年のコースについて「頂上ゴールがもう少し多い方が好きだ」とコメントしている

第108回ツール・ド・フランス全日程

6月26日(土)□第1ステージ[ブレスト〜ランデルノー]187 km (丘越え)
6月27日(日)□第2ステージ[ペロス・ギレック〜ミュール・ド・ブルターニュ/ゲルレダン]182 km (丘越え)
6月28日(月)□第3ステージ[ロリアン〜ポンティビー]182 km (平坦)
6月29日(火)□第4ステージ[ルドン〜フジェール]152 km (平坦)
6月30日(水)□第5ステージ[シャンジェ〜ラヴァル(エスパス・マイエンヌ)]27 km (個人TT)
7月1日(木)□第6ステージ[トゥール〜シャトールー]144 km (平坦)
7月2日(金)□第7ステージ[ヴィエルゾン〜ル・クルゾ]248 km (丘越え)
7月3日(土)□第8ステージ[オヨナ〜ル・グラン・ボルナン]151 km (山岳)
7月4日(日)□第9ステージ[クルーズ〜ティニュ]145 km (山岳/頂上ゴール)
7月5日(月)□休養日(ティニュ)
7月6日(火)□第10ステージ[アルベールヴィル〜ヴァランス]186 km (平坦)
7月7日(水)□第11ステージ[ソルグ〜マロセーヌ]199 km (山岳/※モン・ヴァントゥ区間)
7月8日(木)□第12ステージ[サン・ポール・トロワ・シャトー〜ニーム]161 km (平坦)
7月9日(金)□第13ステージ[ニーム〜カルカソンヌ]220 km (平坦)
7月10日(土)□第14ステージ[カルカソンヌ〜キヨン]184 km (丘越え)
7月11日(日)□第15ステージ[セレ〜アンドラ・ラ・ヴィエイユ(アンドラ)]192 km (山岳)
7月12日(月)□休養日(アンドラ)
7月13日(火)□第16ステージ[パ・ド・ラ・カーズ(アンドラ)〜サン・ゴダンス]169 km (丘越え)
7月14日(水)□第17ステージ[ミュレ〜サン・ラリー・スラン(コル・デュ・ポルテ)]178 km (山岳/頂上ゴール)
7月15日(木)□第18ステージ[ポー〜リュス・アルディデン]130 km (山岳/頂上ゴール)
7月16日(金)□第19ステージ[ムランクス〜リブールヌ]203 km (平坦)
7月17日(土)□第20ステージ[リブールヌ〜サン・テミリオン]31 km (個人TT)
7月18日(日)□第21ステージ[シャトゥ〜パリ〜シャンゼリゼ]112 km (平坦)
[総距離 : 3383km]

ツール・ド・フランス2021

●第8ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

ツール・ド・フランス2021

●第9ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

ツール・ド・フランス2021

●第15ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

ツール・ド・フランス2021

●第17ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

ツール・ド・フランス公式サイト