ツール・ド・フランス2020は最終日前日の頂上ゴールTTを制したポガチャルがマイヨ・ジョーヌ獲得!

第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、9月19日にリュールから標高1035mでカテゴリー1のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ頂上までの36.2kmで、個人タイムトライアルの第20ステージを競い、マイヨ・ブランを着たスロベニアTTチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が圧勝した。

ツール・ド・フランス2020

頂上ゴールの個人TTで圧勝し、総合逆転を成し遂げたポガチャル(©Bettiniphoto)

総合首位のプリモシュ・ログリッチ(チームユンボ・ビスマ/スロベニア)は、57秒差で総合2位だったポガチャルよりも、1分56秒遅いタイムでゴール。彼は最終日前日に総合成績を逆転され、マイヨ・ジョーヌは21歳で初参加のポガチャルが手中に収めた。

ツール・ド・フランス2020

最終日前日の個人TTで総合逆転を成し遂げた21歳のポガチャル


マイヨ・ジョーヌを奪う魔の山

ツール・ド・フランス2020

●第20ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

今年のツールで唯一の個人タイムトライアルだった第20ステージは146選手が出走。スタートのリュールはティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)の生まれ故郷で、コースには彼の名前があちらこちらにペイントされていた。

全長36.2kmの個人タイムトライアルは、最後の5.9kmでラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユを上るレイアウトで、そのふもとでTT用バイクをノーマルバイクに交換するかどうかが焦点になった。

レースが開始されて間もなくすると、公式テキストライブにはラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユがこれまで4回ゴールになった過去のデータが紹介され、2012年に初めてゴールになって以来、この頂上では総合首位が入れ替わり、マイヨ・ジョーヌの選手が変わっているという不吉な情報が記されていた。そしてそのジンクスは、現実のものとなった。

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赤ゼッケンを付けたフランスTTチャンピオンのカヴァニャが長らく暫定1位を守った

序盤にトップタイムを叩き出したのは、30番目にスタートしたフランスTTチャンピオンのレミ・カヴァニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ)だっだ。彼は前日に100km以上単独で逃げて敢闘賞を獲得し、この日は赤いゼッケンを付けていた。その疲れを感じさせない走りを見せたカヴァニャは、57分54秒で暫定トップに立ち、終盤に今大会絶好調のウァウト・ヴァンアールト(チームユンボ・ビスマ)が28秒上回るまでホットシートに座り続けた。

ヴァンアールトの記録はすぐにチームメートのトム・デュムラン(チームユンボ・ビスマ)が塗替えたが、その頃コース上では、スロベニアロードチャンピオンとスロベニアTTチャンピオンの激しい闘いが続いていた。

スロベニアTTチャンピオンのポガチャルは、2分前にスタートしていたミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)を、レース中盤に追い越し、ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユのふもとにあった第2計測ポイントでデュムランのタイムに1秒及ばなかったが、スロベニアロードチャンピオンのログリッチには、すでに36秒勝っていた。

ポガチャルは残り5.7kmのふもとで自転車を交換し、全力でラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユを駆け上がった。ログリッチも同様に自転車を交換してゴールを目指したが、すぐに赤信号が灯り始めた。中腹の第3計測ポイントでポガチャルはトップタイムを計測していたが、ログリッチはすでに1分22秒遅れていた。

ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの頂上で、ポガチャルはデュムランよりも1分21秒早いタイムでゴールし、第9ステージ、第15ステージに続いて今大会3度目の区間優勝を勝ち取った。最終走者のログリッチは、1分56秒遅いタイムでゴール。その瞬間、彼とチームユンボ・ビスマは、11日間守り続けたマイヨ・ジョーヌを失ってしまった。

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最終日前日にマイヨ・ジョーヌを失ったログリッチ(©Bettiniphoto)

東欧の小国スロベニアに、初めてマイヨ・ジョーヌを持ち帰る闘いの影で、デュムランと同タイムの区間3位でゴールしたオーストラリアのリッチー・ポート(トレック・セガフレード)は、このタイムトライアルで6分17秒を失ってしまったロペスを抜いて総合3位になり、パリの表彰台へ初めて上がる栄誉を得た。

カテゴリー1の頂上ゴールで10ポイントを獲得したポガチャルは、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)からマイヨ・アポワも奪い返し、今大会で3つの賞を獲得する事になった。

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ポガチャルが小国スロベニアに初めてマイヨ・ジョーヌを持ち帰ることになった

 

いよいよパリへゴール

最終日前日に繰り広げられた逆転劇の熱が冷めやらないツールは、いよいよパリにゴールする。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行の第2波で、フランスでは連日1万人を超える新規感染者が出ていて、首都パリは強い警戒が必要とされるレッドゾーンになっているが、コースに変更はない。しかし、シャンゼリゼ大通りの周回コースは、観客のアクセスが5000人に限定される予定だ。

ツール・ド・フランス2020

●第21ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

■信じられないような逆転劇をやってのけたポガチャルのコメント
「夢を見ているんだと思う。頭が爆発しているように感じる。全くクレイジーだ。2位で満足していたのに、今ボクはここにマイヨ・ジョーヌで居る。何て言えばいいのか分からない。信じられないよ。本当にチームを誇りに思っている。彼らは3週間ずっと、こんなにも大きな努力をしてくれた。

ログリッチには申し訳ないと感じている。彼はここまでとても良いツールをしていて、ツール全体を通して優れていて、彼のチームは素晴らしい仕事をしたが、今日、彼はバッドデーだった。

ボクにとっては、最終日にマイヨ・ジョーヌを着るのは、ただただ夢で、大きな成果だ。今日レースをしたのはボクだけではない。皆でコースを下見したその日からの、チームワークの賜物だ。ボクは全てのカーブを知っていて、どこで加速すれば良いのか知っていた。チームスタッフとチームメートが素晴らしい仕事をしてくれた後で、ボクはただ、ペダルを踏むだけだった。脚は本当に良かった。

平坦区間では無線でタイムを聞いていたけど、上り始めたらファンがうるさすぎて何も聞こえなかった。上りをよく知っていたから、ただエンジン全開で走った。このレースの後で最初にしたかったのは、ガールフレンドに電話する事だった。実際には、ボクの夢はツールで勝つことではなく、ただツールに参加する事だった。

(昨年)ブエルタ・ア・エスパーニャで総合3位になった後でさえ、自分がグランツールで勝てるとは思わなかった。ただ、自分が最高の選手たちと競える事がわかっていただけだった。一週間後、もしくは一カ月後に聞かれても、自分がツールで優勝したなんて、まだ信じられないでいるだろうね」

■マイヨ・ジョーヌを失ったログリッチのコメント
「今日は速く走る脚を持っていなかった。ただ、もっと強く漕ぐ事ができなかった。勝つために必要なワット数で走れなかった。ベストを尽くし、全力を出し尽くしたが、ポガチャルはまさに強すぎた。彼がどれ位のタイムで走っているのかは知っていたが、結局はそれは意味がなかった。ボクの脚は、それに対抗するのに十分良くはなかったからだ。

しかし、失望にも関わらず、我々はチームとして非常に強いツールを走ったと思う。この3週間、チームがやってくれた事の全てに感謝したい。我々がチームとしてどんなレースをしたかを誇りに思う。我々は将来のために、そこからポジティプを取り除く必要がある」

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ポガチャルは山岳賞のマイヨ・アポワも獲得した

 

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21歳のポガチャルは新人賞のマイユ・アポワも獲得した

 

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アイルランド人のサム・ベネットは念願のマイヨ・ベールを着てパリを走る

■第20ステージ結果[9月19日/リュール~ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ / 36.2km]
1. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 55′ 55”
2. TOM DUMOULIN (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 01′ 21”
3. RICHIE PORTE (TREK – SEGAFREDO / AUS) + 01′ 21”
4. WOUT VAN AERT (TEAM JUMBO – VISMA / BEL) + 01′ 31”
5. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) + 01′ 56”
6. RÉMI CAVAGNA (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA) + 01′ 59”
7. DAMIANO CARUSO (BAHRAIN – MCLAREN / ITA) + 02′ 29”
8. DAVID DE LA CRUZ (UAE TEAM EMIRATES / ESP) + 02′ 40”
9. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 02′ 45”
10. RIGOBERTO URAN (EF PRO CYCLING / COL) + 02′ 54”
14. MIKEL LANDA (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) + 03’ 27’’
45. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 06′ 17’’

■第20ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)P 84h 26’ 33’’
2. RIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) + 59’’
3. RICHIE PORTE (TREK – SEGAFREDO / AUS) + 03’ 30’’
4. MIKEL LANDA (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) + 05’ 58’’
5. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 06’ 07’’
6. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 06’ 47’’
7. TOM DUMOULIN (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 07’ 48’’
8. RIGOBERTO URAN (EF PRO CYCLING / COL) + 08’ 02’’
9. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR) + 09’ 25’’
10. DAMIANO CARUSO (BAHRAIN – MCLAREN / ITA) + 14’ 03’’

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第21ステージはRICHARD CARAPAZ (INEOS GRENADIERS / ECU)が着用)
■新人賞(マイヨ・ブラン):TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第21ステージはENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP)が着用)
■チーム成績:MOVISTAR TEAM (ESP)
■敢闘賞: –

ツール・ド・フランス2020

 

 

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