チーム ソリューションテック・ヴィーニファンティーニのツアー・オブ・ジャパン2025【いなべステージ】
ツアー・オブ・ジャパン第3ステージ・いなべは、三岐鉄道北勢線の阿下喜駅をパレードスタートして、いなべ市の梅林公園周回コースへと向かうステージ。周回コース手前の田園地帯でリアルスタートし、周回に突入していく。14.8kmのコースを8周するが、山岳賞手前にイナベルグと名付けられたコンクリ舗装の激坂区間があり、そもそも1周ごとに200m近い標高差を上るため、ステージレース全体の展開を左右しかねない好コースだ。
チーム ソリューションテック・ヴィーニファンティーニはドゥシャン・ラヨヴィッチを失ったが(ラヨヴィッチに骨折はなかったが怪我がひどく、レースを離脱して東京経由でヨーロッパに戻るそうだ)、しっかりと区間狙いでレースを運び、その結果としての総合アップを図るという。

パレードスタート直後、アタックがかかる集団ではユキヤがしっかり前に入る
レースはパレードスタート直後から山岳賞ジャージを着るニッコロ・ガリッポ(JCLチーム右京)らが積極的にアタックを繰り返した。周回コースは山岳賞の2km弱手前にコントロールラインが設けられ、最終周回にはここがフィニッシュラインとなる。このコースはかつて何度か、逃げが逃げ切ったことがある危険なコースだ。
レースは3周目にガリッポ、アレッサンドロ・ファンチェル(いずれもJCLチーム右京)、ツール・ド・熊野総合2位のマティアス・ブレンホイ(トレンガヌ)、リーダージャージの岡篤志(宇都宮ブリッツェン)らが上りで抜け出し、6人の先頭集団を形成した。「本当に強い選手が逃げたので、強い追走集団を作るべきだと判断した」と話すユキヤが先頭に立つ。1分15秒と伝えられたタイム差が早々に41秒になり、4周目に入って逃げを捉えた。

6人の逃げ。JCLチーム右京が先頭を固める

3周目、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニは補給地点に2人が立ち、前方が水、後方がマルト・デキストリン系のドリンクを渡す手はずになっていた

5周目、お父さんが見守るイナベルグの上りを走るユキヤ
40人ほどの先頭集団からさらにJCLチーム右京の攻撃が続いたが、7周目に入って3人の逃げが成立。ファンチェル、ブレンホイ、ミゲル・ハイデマン(レンベ・ラド・ネット)が集団から抜け出したのだ。メイン集団は13秒差でファイナルラップに突入。ここにはソリューションテック・ヴィーニファンティーニが3人の選手を残していた。果たして、この集団は前の3人に追いつくのか?
結果は……、ファンチェルとブレンホイが逃げ切り、集団とは20秒以上の差を開いてフィニッシュした。ソリューションテック・ヴィーニファンティーニのトップはマーク・スチュワート、それでも先頭のファンチェルから26秒差だ。ボーナスタイムを含めた総合では、スチュワートは44秒差の6位となった。
前の5人はJCLチーム右京が3人、そして宇都宮ブリッツェン、トレンガヌ。レースをコントロールする必要がない点では、明日以降のレースは案外、チームに向いているかもしれない。

先頭集団でもほとんどのライダーがインナー×ローを使うイナベルグの上り

アレッサンドロ・ファンチェルが区間勝利を果たし、リーダージャージを獲得した
レースが終わってからも忙しいのがスタッフだ。まずフィニッシュ地点の梅林公園から岐阜県関市のホテルまでクルマを飛ばし、オーガナイザーによってあらかじめ運ばれた選手たちのスーツケースやマッサージベッドをホテルの部屋に運び込む。
ホテルのフロントは手馴れたもので、チームごとに束にしたルームキーを渡し、それ以降は大会に随行するツアーデスクの方が対応してくれる。明日の朝ご飯は5時45分から可能とのこと、タイヘンだ!
さらにメカニックは今日使ったバイクの洗車とチェック、マッサーはボトルの準備、そして選手が到着するとマッサージ開始だ。ホテルにはコインランドリーがあるが、海外チームがすべて同じホテルに泊まっているようで、なかなか順番が回ってくる気配がないのだ。
ユキヤは長年マッサージをお願いしている穴田悠悟マッサーが揉んでいた。やるべきことをやり、明日の美濃ステージのことを話すユキヤ。ユキヤが美濃で2位になった(負けた)のは18年前だと思い出すと、もうそれはツアー・オブ・ジャパンの歴史そのもののようにさえ思えるのだ。

ナショナルチームで働く早川さんがチームのメカニックをサポートしている

ホテルの駐車場に用意されたピットでレース後の作業を進めるメカとマッサー

エキップアサダ時代からユキヤの体を知る穴田悠悟マッサーがソリューションテック・ヴィーニファンティーニに加わり施術している
ツアー・オブ・ジャパン 2025
第3ステージ・いなべ
5月21日(火)9:30〜
阿下喜駅前→下野尻交差点→いなべ市梅林公園周回コース
<パレード 3.1km> + <8.6km + 14.8km × 8周>
走行距離=127.0km、獲得標高= 1,650m
いなべステージ結果
1. アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京)2:59:32
2. マティアス・ブレンホイ(トレンガヌ サイクリング チーム)+0:04
3. ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京)+0:22
4. マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+0:26
9. ヴァレリオ・コンティ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+0:29
22. ダヴィデ・バルダッチーニ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+0:29
51. ジョルジェ・ジュリッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+11:40
74. 新城 幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+11:40
個人総合時間賞
アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチームUKYO)5:41:09
ポイント賞
アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチームUKYO)
山岳賞
ニコロ・ガリッボ(JCL TEAM UKYO)
新人賞
マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ)
団体総合時間賞
JCLチームUKYO
ツアー・オブ・ジャパン公式サイト
https://toj.co.jp/2025/
ツアー・オブ・ジャパン公式YouTubeチャンネル「BPAJ ch」
https://www.youtube.com/@BPAJch