世界のトレンドはシンプルなバイクに回帰!? メリダの新型バイク、ダートとは

欧州を中心としてスポーツサイクルの販売の中心となったeバイクのトレンドは、多機能、高性能、大トルクを更に突き詰めて、各社がラインナップの拡大に邁進している。ロードバイクの世界でも、さらなる空力と軽量化を極めつつ、ストレージにワイドタイヤと多機能化が進められているが、そもそもサイクリングの楽しさって何だろう?という原点に戻ったバイク、「DIRT(ダート)」がメリダから新しく登場した。

ダート

ダートのコンセプトは明快。シンプルなバイクでシンプルで奥深いライディングを楽しもうというバイクだ。BMXのような見た目のフレームにフロントサスペンションと26インチタイヤが装着されたバイクで、自転車のカテゴリーとしてはBMXとMTBが融合したMTBMXと呼ばれるカテゴリーのバイク。その名の通り、ダートジャンプを楽しむこともできるし、パンプトラックやBMXパークで遊ぶことも出来る。フロントサスペンションが装着されているので、山頂までトランポすればピュアなMTBとして下りを楽しむこともできるが、このバイクを開発したメリダヨーロッパR&Dセンターのステファン・セイツ曰く、単にそれだけではないという。

「私も含めて、世界の若いサイクリストはここの所のインフレで生活は大変です。そこでメリダで考えたのは、シンプルに遊べる安くて強いバイク。ダートにはディレーラーを装備していません。装備していないから壊れることもありませんし、メンテナンスも必要ありません。MTBのようだけどBMXのようなこのバイクは、パークで遊ぶのはもちろんですが、毎日の生活に使って欲しいと思っています。日用品の買い物に行くのにも平らな場所のライディングならバイクは軽いので気楽ですし、フレームは頑丈で、パーツもシンプルなので駐輪時も色々な意味で安心です。日本だと、駅への移動にも使えます。そうした日常の中でライディングの中にちょっとした遊びを入れていくことで、日々の生活、サイクリングが楽しくなると思っています。

週末は仲間と集まってパンプトラックやパークに遊びに行ったときには、テクニックの見せどころです。ステムやハンドルといったパーツはメリダ独自開発のものを採用しており、メリダのオフロード系のバイクの中で最も厳しいテストに耐える耐久性を持っているバーツがアッセンブルされています。ブレーキホースは長く設計しているのでハンドルバーを回転させることも出来ます。

家族で複数台持てば、通学にも使えますし、週末は親子でパークで遊んだりも出来るのでコミュニケーションにつながると思っています。シンプルで単純なバイクですが、シンプルだからこそ乗れば乗るほどにテクニックは磨かれますし、サイクリングの楽しさを気軽に楽しめます。

既にMTBやロードバイクに乗っている人はダートに乗ることで、荷重や抜重を深く学べますし、体幹もペダリング技術も鍛えられます。一方で、初めてのサイクリングにダートを選ぶと、まず走る楽しさと技術が磨かれ、その先にある色々なサイクリングの世界への入口となるでしょう。つまり、若い人だけでなくあらゆる年代にオススメ出来る新製品です」。

ダート

ダートの技術的な要素は極めてシンプルで、フレームはボックス形状のアルミチューブを採用したもので、ヘッド周りの溶接や、チューブの肉厚はかなりしっかりしたもので、耐久性はもちろん剛性も極めて高い。フロントフォークはマニトウの100mmトラベルのエアサスペンションが装着される。ディレーラーは前述の通り装着されず、ハンドル、ステム、サドル、シートポストなどの主要パーツはメリダブランドのもので統一。クランクにもメリダブランドのものが採用されている。前後ディスクブレーキはシマノのMT-200を搭載。

ホイールは26インチで、純正タイヤでも簡単な砂利道なら走れるが、MTB用タイヤに履き替えればオフロード走行も可能。

ダートのフレーム ヘッドチューブまわり リヤエンド ハンドル サドル クランク

ダートの発表イベントにゲスト参加していた元MTB XCO世界チャンピオンでメリダ アンバサダーのホセ・ヘルミダ曰く、

「パンプトラックは欧州では遊びのひとつの形態として色々な街で広まっています。ダートが一台あればパンプトラックで楽しくライディングスキルを学ぶことができますし、サイズは身長に対するフレキシビリティが大きいので大人も子供も1台のバイクで一緒に遊べるのも大きな特徴です。ディレーラーが無いことの大きなメリットのひとつに収納スペースがコンパクトになるという事もあります。都会のアパートメントで部屋にバイクを持って入る時はこれは便利ですし、特に車載時はこのコンパクトで積み重ねられるバイクは便利でしょう。

自転車で強くなる、自転車を上手くなるコツは、毎日、自転車で移動可能な時に出来るだけ自転車に乗ることだと思っています。気楽に置けて、気楽に乗れるダートは、上達への近道だと思います。大人も子供もダートに乗れば上手くなる。気楽にサイクリングを楽しめるというのは新しいトレンドだと思います」。

ホセ・ヘルミダ

自転車価格が高騰している昨今だが、ダートは16万4890円とヘルメットがあれば始められる。新しいサイクリングの楽しさを気軽に始めてみるのはいかがだろうか?