キャニオン・エアロードCF SLXをインプレッション

目次

エアロードCF SLX8に乗る吉本さん

2020年秋、6年ぶりにフルモデルチェンジしたキャニオンのエアロロード「エアロードCF」シリーズ。旗艦機の“CFR”以下、“SLX” “SL”のグレードをそろえるが、中でも抜群のコスパを誇っているのがSLXシリーズである。

今回試乗をするモデルは、アルテグラDi2のコンポとDT製のカーボンエアロホイールを搭載して、ストック状態でも高いレーシング性能が期待できる『エアロードCF SLX8ディスクDi2』の2021モデルだ。

2022モデルについてはこちらの動画をチェック

 

プロチームにも投入される実質のトップグレード

本誌では既にCFRを試乗・紹介しているが、このグレードはキャニオンの技術の粋を注ぎ込んだ、いわば“エボリューション的”モデル。SLXは位置付けこそ2番目だが、アルペシン・フェニックスなどのプロチームにも主に供給されるということなので、実質的なトップグレードと言っても過言ではない。

よりエアロ感を増してマッシブとなったフレーム、高さと幅を調節可能な新設計のエアロハンドル「CP0018エアロコックピット」のコンビネーションによって7.4W向上した空力性能。それと同時にねじれ側で14%増したフレーム剛性など、SLXには新型エアロードの独創的な設計、基本コンセプトの全てが詰め込まれている。

CFRとは使用するカーボン素材(構成比)が異なるため重量は及ばず、またキャニオンジャパンのスタッフによれば「ペダリングフィーリングなどにも違いがあるでしょう」と説明する。

 

CANYON AEROAD CF SLX 8 DISC Di2(2021)

キャニオン・エアロードCF SLX8ディスクDi2(2021モデル)
シマノ・アルテグラDi2完成車価格/62万9000円
※配送/梱包料金、VAT(付加価値税)、関税は含まない

SPEC
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
メインコンポ:シマノ・アルテグラDi2 R8070
ホイール:DTスイス・ARC1400ダイカット
タイヤ:コンチネンタル・ グランプリ5000 700×25C/28C
ハンドル&ステム :キャニオン・CP0018エアロコックピット
サドル: セライタリア・SLRブーストスーパーフローSマンガネーゼ
シートポスト:キャニオン・SP0046VCLS CF
サイズ:2XS、XS、S、M、L、XL、2XL
カラー:プロホワイト、ステルス、ペースブルー
試乗車重量:7.66kg(ペダルなし)

 

IMPRESSION 気分はマテュー・ファンデルプール

エアロードCF SLX8

キャニオン・エアロードCF SLX8ディスクDi2。これは2022モデル

 

前作ではダウンチューブに剛性の逃がしがあって幾分のしなりを感じられるペダリングフィールだったが、新型は全体的に各部がボリュームアップした外観に違わないソリッドな剛性感を持つ。ねじれ剛性が14%アップしたというのも納得だ。また独特な構造を持つハンドルまわりは、剛性に不安がないどころかしっかりしているので、これもまた一体感のあるフレーム剛性に貢献している。

それ故に動きは低速から俊敏だが、このバイクが最高に輝く場面は高負荷・高速域の走り。前乗りでガツンガツンと蹴り出すようなペダリングをしてもフレームはパワーをしっかりと受け止め、後輪はしっかりトルクを生んでバイクが力強く前に押し出される。今時の選手の走り方にマッチしたフレームだ。それなりに“踏める脚”を持つ方が満喫できるフレーム特性だと思うが、速さを求めるライダーであれば脚当たりは十二分に許容できるレベルだろう。自分が出す実際の速度はともあれ、加速している間はマテューの気分になれるすがすがしいレーシングバイクである。

そんなプロスペックの仕様と性能のフレームに“電アルテ”のコンポを搭載して60万円程という価格は、マテューのアタックばりに破壊力の高いコストパフォーマンスである。

 

RIDER 吉本司

本誌前編集長。現在はフリーの自転車ライター。国内販売以前からのキャニオンユーザーで通算5台購入。日本で最もキャニオンに乗っている男と自負する。

 

DETAILS

エアロードCF SLX8のハンドル

アップバーの裏側にあるボルト2本(片側)を緩めると、ご覧のようにハンドル部を分解できる。バイクケース等を使った飛行機輪行も容易だ。バーの幅も390mm、410mm、430mmの3段階に調整可能

エアロードCF SLX8のコラムスペーサー

クイル型のステム内部にあるボルトを専用工具で緩めるとステムの固定が解除され、ハンドル高さは15mmの範囲で調整できる。5mm厚のコラムスペーサーは、左右分割構造により簡単に着脱が可能だ

エアロードCF SLX8のシートポスト

2段構造の専用シートポスト。全長の長い前部を、シートチューブに内蔵された押し子が押すことで固定できる。フレームのシート部に固定構造を持たないためフレームへのダメージも低減される

エアロードCF SLX8のBB

チェーンステーからBBシェルまでを一体で成型したような、TTバイクさながらのBBまわり。前作から継承される造形だが、全体的にボリュームアップした印象で、このエリアの剛性感にも富んでいる

エアロードCF SLX8のシートステー

シートチューブに対して接合位置を下げたシートステーは前作同様の設計。しかしながら、よりブレード感を増したチューブ形状とすることで、空力向上と共にバックステーのねじれ剛性も高められている

エアロードCF SLX8のフロントタイヤ

フロントタイヤは空力を低減するために25mm幅

エアロードCF SLX8のリヤタイヤ

リヤは乗り心地とトラクション性能を重視して28mm幅のタイヤを履く。前後で異なるタイヤ幅を装着することを前提にジオメトリーも設計されているという

 

 

GEOMETRY

エアロードCF SLX8のジオメトリ図

SIZE

エアロードCF SLX8のサイズ表

 

2021→2022モデルでのアップデート点

エアロードCF SLX8ディスクDi2の2022モデルでは、以下のアップデートが行われている。

新型アルテグラDi2搭載

コンポーネントに新型アルテグラDi2を採用し、リヤ11速から12速になった。

エアロードCF SLX8のレバー

4iiiiのパワーメーター搭載

2021モデルにはなかったパワーメーターが、2022モデルでは搭載される。4iiii(フォーアイ)製のキャニオン専用のもので、市販品とはセンサー位置が異なる。市販品はクリアランスが取れないので後付けできない。

エアロードCF SLX8のパワーメーター

タイヤがチューブレスレディに

コンチネンタルのチューブレスレディタイヤ「グランプリ5000S TR」を新たに採用。フロント25mm、リヤ28mmという前後で異なるタイヤ幅は変わらない。チューブ入りのクリンチャー仕様で出荷されるので、別売りのチューブレスバルブ、シーラントを使えばチューブレスにできる。

エアロードCF SLX8のリヤタイヤ

フレームサイズごとにホイールのリムハイトを変更

体重の軽いライダーが横風を受けたときのハンドリングを向上するため、小さいフレームサイズでは装備されるホイールのリムハイトが異なる。2022モデルのSサイズ以下ではフロント50mm、リヤ62mmとなった。Mサイズ以上は2021モデルと同じく前後とも62mmだ。

エアロードCF SLX8のフロントタイヤ

 

エアロードCF SLXにお薦めのアクセサリー

エアロードCF SLXに合わせたいキャニオンオリジナルの安全装備も用意されている。3つのアクセサリーを紹介しよう。

アクセサリーを装備したエアロードCF SLX8

ガーミンマウント+ライトセット

ガーミンまたはワフーのサイクルコンピューターマウントと最大800ルーメンの充電式ライトの「キャニオンフラッシュ800フロントライトセット」を使えば、ハンドルまわりの見た目がすっきりする。ライトはマウントの下側に磁気で取り付ける仕組みで、しっかりと固定されるように機械的なロック機能もついている。 ライトの使用時間は200ルーメンで4.5時間、400ルーメンで2.3時間、800ルーメンで1.5時間。ライトの角度は0〜30度の範囲で調節できる。

キャニオンフラッシュ800フロントライトセット

Canyon FLASH 800 Frontlight Setキャニオンの製品ページ
価格:1万1100円

リヤライト

「キャニオンフラッシュリヤライト」は、キャニオンのにデザインに合い、かつ、キャニオンの全てのシートポストに装着できるように設計されている。12時間の5ルーメンフラッシュモード、8時間の2ルーメン定常モード、最大24時間の2ルーメンフラッシュモードに点灯、点滅を切り替えられる。

キャニオンフラッシュリヤライト

Canyon FLASH Rear Lightキャニオンの製品ページ
価格:3400円

バーエンドベル

「キャニオンリングバーエンドベル」は、ドロップハンドルのバーエンドに工具なしで取り付けることができる。ドロップハンドルとシームレスになるデザインで、装着しても目立たない。 

キャニオンリングバーエンドベル

Canyon RING Bar End Bellキャニオンの製品ページ
価格:2300円