ロードバイク乗り向け 体力維持のためのインドアトレーニング術
目次
新型コロナウイルスの感染拡大で不要不急の外出自粛が求められる中でも、健康維持のための適度な運動は推奨されている。サイクリングもお勧めの運動の一つに挙げられるが、事故や感染のリスクを考えると、今までと同じような方法でロードバイクに思い切り乗るのは難しい。イベントが再開される日まで体力を維持するため、Zwift(ズイフト)とサイクルトレーナーを使ったバーチャルサイクリング、自転車に乗らなくてもできるトレーニングなど、今こそインドアトレーニングをうまく取り入れよう。
今こそインドアでできることに取り組もう
サイクリングのベストシーズンだというのに、我々サイクリストにはつらい日々が続いている。新型コロナウイルス感染拡大でレースやイベントが延期・中止に追い込まれているからだ。不要不急の外出の自粛が求められる一方、専門家も健康維持のための運動は推奨している。サイクリングが適度な運動の一つとして注目を集めているほか、国土交通省も公共交通機関による通勤を減らすため自転車通勤推進を企業や団体に求めている。
とはいえ、我々サイクリストが今までと同じように過ごしていいわけではない。単独で走り、寄り道をせず、安全に注意し、あまりハードに走らないようにし、感染リスクを少しでも減らす必要がある。
※参考:コロナウイルス禍におけるサイクリストの行動
https://www.cyclesports.jp/news/others/20513/?all#start
さまざまなリスクを考えるとインドアトレーナーに乗ったり、インドアでできる簡単な筋トレなどに励むのも賢明な判断だ。新型コロナウイルス感染症対策で有効とされる#stayhome(家にとどまる)#ridesolo(単独で走る)を実現できるからだ。
「パーソナル&サイクルスタジオi」の代表・伊藤透さんは次のように話す。
「インドアトレーニングでは外出しないので他人との濃厚接触がありませんし、けがのリスクが実走より圧倒的に少ないです。たとえけがの治療であっても医療機関を受診することは感染リスクを高め、医療現場にも負担を掛けることになることは肝に銘じた方がいいでしょう。だから今はインドアトレーニングをお勧めします」。
ここで素朴な疑問。サイクルトレーナーを使ったインドアトレーニングは実走の代わりになるのだろうか?
「空力に優れたフォームづくりや勾配変化に伴う重心移動など、実走でしかできないことも中にはありますが、体力維持やパフォーマンス向上はインドアでも十分可能だと思います。ただ、サイクルトレーナーはタイプによって得意不得意があるので、特性を理解することが重要です。例えば、タイヤドライブ方式やダイレクトドライブ方式などいわゆる固定ローラーは、負荷を掛けてフィジカルを鍛えるには向いていますが、ダンシングなど実走で生かせるスキルは磨きにくいです。一方、3本ローラーは実走に近いのでスキル強化に生かしやすいですが、高い負荷を掛けるトレーニングにはどちらかというと不向きです」。
インドアトレーニングはサイクルトレーナーに乗るだけではない。筋トレやストレッチなどもサイクリストに取って重要なトレーニングだ。
インドアトレーニングで体力を維持することの意味は?
今インドアトレーニングに取り組む意味は、心身の健康を保ち、免疫力を高めて新型コロナウイルス感染を防ぐことだけではない。延期や中止になった大会やイベントが再開されるときにスムーズに復帰できるよう体力を維持することにもつながるからだ。
ところで、体力を維持するとはどういうことなのか。伊藤さんによると2つの観点があるという。
「一つは筋力の低下、もうひとつは心肺機能の低下です。筋力の低下は比較的スピードが緩やかですが、心肺機能は1週間まったく身体を動かさないだけでも大きく低下します。しかも、既存のフィットネスレベルが高い人ほど落ち込みのレベルも激しいです。できればサイクルトレーナーと筋トレ・ストレッチをうまく組み合わせるのが理想です」
インドアトレーニングの流れとしては、
ストレッチ→筋トレ→サイクルトレーナー
という順番が良いそうだ。
インドアトレーニングで気をつけるべきポイントは?
インドアトレーニングも行い方によっては感染リスクを高めることもあり得るという。どういう点に気をつければいいのか、ポイントを教えていただいた。
ハードに追い込みすぎない
「ハードに練習した直後は免疫力が下がるので感染のリスクが高まります。しばらくレースもイベントも再開されないことが予想されるので、今はフィットネスレベルを維持する(=体力を維持する)ことに主眼を置いた方がいいでしょう」。
長時間練習しすぎない
「そこそこの強度でも、長時間続けることでより身体に負担をかけることになり、免疫力の低下を招きます。練習のボリュームもそこそこに抑えた方がいいでしょう」。
練習時間を選べるなら終業後、夕飯前がベスト
「練習直後は免疫が下がった状態になるので、できるだけ家族以外の人と接触することは避けるのが賢明です。可能であれば練習は仕事が終わってから行い、練習後に食事をしてしっかり睡眠を取れれば理想です」。
今は必要以上の減量を控える
「競技志向の強いサイクリストは、パフォーマンス向上のために日頃から節制し、減量に励んでいる方も多いですが、必要以上の減量は免疫力を下げることにつながります。しばらくレースやイベントも再開されないことが予想されるので、今は過度な減量は避けるのが賢明です」。
睡眠時間を削ってまで練習しない
「休息をおろそかにしてトレーニングの時間に充てるのは本当にナンセンスです。トレーニングは身体を傷める行為で、休養や食事によって身体を回復させることで効果的にフィットネスレベルが高まるからです。睡眠時間を削って練習すると、体力や免疫力が十分回復できませんから、感染のリスクが高まることになります」。
運動中、運動直後に栄養補給を
トレーニングのエネルギー源として、またトレーニングでダメージを受けた身体を回復するために欠かせないのが栄養補給。インドアトレーニングでも栄養補給は重要だ。
トレーニング中は、エネルギー源となる炭水化物を補おう。伊藤さんによると、1時間でだいたい30〜50gの炭水化物を補給する必要があるという。これはおにぎり1個分に含まれる炭水化物の量とほぼ同じだそうだ。
運動後の免疫力が低下した状態からの回復を早めるにも、速やかな栄養補給が重要だと伊藤さんは指摘する。
「特にたんぱく質と炭水化物をしっかりとることで、コルチゾールが過剰に分泌されて免疫力が低下するのを防ぎます」。
1日分のタンパク質の必要量の目安は、体重1kgあたり3g。体重50kgの人なら150gが目安だ。これを一度に摂るのではなく、3度の食事と運動後の補給でこまめに補うことが重要だ。必要であればプロテインやサプリメントも活用しよう。
具体的にはどんなトレーニングがお勧め?
インドアトレーニングを進めるに当たっては、「トレーニングの目的は何か?」「自分の環境で何ができるか?」の両面から考える必要がある。伊藤さんは「体力維持が目的か、パフォーマンス向上が目的か」「サイクルトレーナー(いわゆるローラー台)の有無や使用可否」でそれぞれ大まかなプランが分かれると話す。
●サイクルトレーナーを持っていない人や使えない人
=筋トレやボディケア
●サイクルトレーナーを持っている人のトレーニング/体力維持メインの場合
=1時間以内の中強度トレーニングを週2〜3回+筋トレ
・パワートレーニングのL3テンポ(FTPの76〜90%)中心。高くともL4FTP(FTP91 ~105%)以下
・ パワーメーターがない場合は「息が上がるが会話はできる」ぐらいの強度が目安
●サイクルトレーナーを持っている人向けのトレーニング/パフォーマンス向上を目指す場合
=インターバルトレーニングを週2回以内+中強度のトレーニング+筋トレ
・パワートレーニングのVO2max(FTPの106〜120%)より高強度なゾーンに刺激を入れる
・免疫力を下げすぎないように1時間以内にとどめる
・高強度の翌日は中強度または筋トレにする
〜自転車に乗らずにできるストレッチ&基礎トレーニング法15
まずは、サイクルトレーナーを持っていない or 使えない人、あるいはサイクルトレーナーを使える場合でトレーニング前にやっておくと良い、自転車に乗らないで行えるストレッチ&基礎トレーニング法を紹介しよう。回数などの目安は示すが、自分の実力と相談して行ってみてほしい。
ストレッチ系
デスクワークでは長時間パソコンの前で同じ姿勢を保つ機会が多いが、外出自粛生活ではこれに運動不足も加わって筋肉が凝り固まりがち。ストレッチは日常的な身体のメンテナンスにも、インドアトレーニング後の身体のケアにも有効だ。
腰痛予防に
①お尻まわりのストレッチ
(効果)
ペダリング中に酷使しがちな腿の裏側からお尻にかけての筋肉を伸ばす。腰痛防止にも効果あり。
(方法)
1. 椅子に浅く腰掛け片方の足首を反対側の膝の上に乗せる。
2. 背筋を伸ばしたまま骨盤を前に倒すようにして身体を前傾させる。このときへそをのぞき込むようなイメージをするとよい。
3. 上にした方の脚のお尻回りやももの裏側の筋肉が伸びていることを感じながら30秒ほどキープ。
4. 反対側も同じようにする。
前腿のこりをほぐす
②前腿のストレッチ
(効果)
腿の前側の筋肉を伸ばす。
(方法)
1. 直立した状態で片足がお尻の後ろ側に来るように曲げ、手で足を持つ。
2. へそをのぞき込むようにしてももの前側の筋肉が伸びていることを感じながら、その姿勢を30秒ほどキープ。
3. 反対側も同じようにする。
股関節・胸・背中まわりをほぐす
③全身のダイナミックストレッチ
(効果)
ペダリング時に脚を引き上げるのに使う腸腰筋を伸ばすと同時に、脇腹の筋肉も伸ばす。
(方法)
1. 直立した状態で片腕を真上に上げると同時に、反対側の脚を背骨が反るぐらいまで大きく後ろ側にスイングする。このとき反対側の腕で壁や椅子などに手をついてもよい。
2. 挙げた手と後ろ側にスイングした脚を同時に身体の前方にスイングし、上半身を前屈させるようにしながら腰の高さあたりで爪先に手をタッチする。
3. これを10〜20秒間繰り返す。
4. 終わったら反対側も同じように行う。
ハムストリングス・胸まわりの筋肉を伸ばす
④お辞儀ストレッチ
(効果)
腿の裏側や背中、胸など幅広い部位を伸ばす
(方法)
1. 椅子や机など、腰ぐらいの高さの安定したものに手をついて1mほど離れたところに立つ。
2. 頭からかかとまでまっすぐ保ち、前傾した状態を手で支える状態にする。
3. 腰を後ろに引いて深くお辞儀するような姿勢をとる。このときできるだけ膝をまっすぐ伸ばしてお尻やももの筋肉が伸びていることを意識。さらに胸を地面にグッと押し出すようにして背中を反らせる。この姿勢を10秒ほどキープ。
4. ゆっくりと2.の姿勢に戻る。
5. 3.と4.を合計3セットほど行う。
胸・肩・肩甲骨まわりを伸ばす
⑤棒やタオルを使ったストレッチ
(効果)
肩まわり(特に肩甲骨周辺)の筋肉を伸ばす。胸の筋肉を伸ばす
(方法)
1. 肩幅の倍ぐらいの幅の棒を頭の上で持つ。棒がなければタオルで代用してもよい。
2. 棒を後頭部の後ろを通しながら方の方に下げていく。このとき両方の肩甲骨を寄せるように意識する。
3. 再び棒を頭の上に挙げる。
4. 2.と3.を5回ほど繰り返す。
ストレッチ系の一連のやり方を動画でもチェック!
筋力強化&全身の筋肉を連動させるトレーニング系
お尻回りや腿の裏側を中心とした筋肉群の強化は、サイクリストのパフォーマンス向上に非常に重要。また、個別の筋肉を鍛えるだけでなく、全身の筋肉を連動させるトレーニングを行うことで、脚腰まわりの筋力だけに頼るのではなく、全身の筋力を連動させる力強いペダリングが可能になる。
臀部を鍛え、正確に使えるようにする
⑥スクワット
(効果)
お尻回りや腿の裏側など、ペダリングに必要な筋肉を鍛える。
(方法)
1. 足を肩幅ぐらいに開いて立つ
2. 背中をまっすぐ伸ばしたまま3つ数えながらゆっくり腰を下ろしていく。このとき膝が爪先より前に出ないようにする。
3. できるだけ深く曲げたら、1つ数えながら脚を伸ばす。
4. 2.〜3.を10〜20回1セットとして3〜5セット行う。
※筋力アップが目的の場合は腰を下げるときに4〜5つ数えながらさらにゆっくり腰を下ろす。
お尻の横側(中殿筋)を鍛える
⑦サイドランジ
(効果)
ペダルを踏み込む際にしっかりトルクを伝えるのに重要なお尻の横側の筋肉(中臀筋)を強化する。
(方法)
1. 両脚を肩幅の1.5倍ぐらいに開いて立つ。
2. スクワットと同じ要領で背筋を伸ばしてお尻を後ろに引きながら、右脚側に体重を掛ける。これを10〜20回繰り返す。
3. 片足が終わったら反対側も同様に10〜20回繰り返す。
臀部の筋肉を適切に使えているか確認
⑧リバースランジ
(効果)
お尻や腿の裏側の筋力強化。お尻の筋肉を左右均等に使えているかを確認できる。
(方法)
1. 肩幅より少し狭めのスタンスで立ち、腕を水平に前に出す。
2. 片足を後ろに引いて、膝が付くまで腰を沈めていく。このとき前から見たときに膝の軌道がぶれないように注意すること。前側のすねが地面と垂直になるようにして膝が爪先より前に出ないようにすることと、地面についた膝から頭までが一直線になるように背筋を伸ばすのもポイント。
3. ゆっくりと1.の姿勢に戻す。
4. 反対側も同じように行う。左右1回ずつを1セットとして10〜20セット行う。
股関節の伸展を適切に行えるようにする
⑨キックバック
(効果)
お尻の筋肉の強化。ペダリングの踏み込み局面で重要なお尻を使って股関節を伸展させる動作の意識づけ。
(方法)
1. 頭からお尻までが一直線になるように意識して四つんばいになる。
2. 片足を真上に突き上げるように小刻みに20〜30回挙げる。このとき背中をまっすぐに保つことと、足を後ろに突き出さないように注意する。
3. 反対側も同じように20〜30回行う。左右交互に2〜3セット行う。
スタビリティの向上
⑩プランク
(効果)
お腹とお尻の筋力で姿勢を保てるようにし、ハンドル荷重を解消する。
(方法)
1. うつ伏せの状態から肘を直角に曲げて膝と胴体を地面から浮かせる。このとき頭からかかとまでを一直線にするようイメージする(お尻を挙げたり腰を反ったりしない)。
2. この姿勢を30〜60秒保つ。これを2〜3セット行う。
スタビリティを向上させつつ上半身の筋力アップ
⑪プッシュアップ
(効果)
腹部のスタビリティ向上。上半身の筋力アップにより、ペダリング時に下半身の踏み込みの力を受け止めることでよりしっかりトルクを掛けられるようにする。ダンシング時に肩まわりの動きを全身の動きとシンクロさせるのにも役立つ。
(方法)
1. 両手を肩幅より少し広めに開いて腕と爪先で身体を支える。このとき頭からかかとまで一直線になるようイメージする。
2. 反動を付けず、左右の肩甲骨を寄せるイメージでゆっくりと腕を曲げていく。肘を90度になるまで曲げる。
3. 腕を伸ばすときも腕の筋力だけでなく肩甲骨を開くイメージで伸ばす。ここまでを1回として20〜30回を2〜3セット行う。
発展トレーニング
プッシュアップ with ショルダータッチ
プッシュアップの腕を曲げる前に片手を地面から離し、反対側の方にタッチして3カウント数えて戻る動作を左右1回ずつ入れる上級編。腕の力に頼らず上半身のバランスを取るため、体幹の筋力強化が期待できる。
ハンドルの押し引きの動作を鍛える
⑫ワンハンドドローイング
(効果)
ハンドルを押し引きする際に使う肩甲骨回りの筋力強化
(方法)
1. ペットボトルに水を入れたウエイト(1リットルが目安)を片手で持ち、同じ側の足を後ろに引いて上半身を前傾させる。
2. 肩甲骨まわりの筋肉をダイナミックに動かしてペットボトルを持った方の手を引き上げる。このとき上半身はねじらず、へそを床に向けることを意識。
3. 片腕10〜20回ずつ、左右で1セットとして3〜5セット行う。
心肺機能を高めつつ全身の筋連動を向上
⑬バービージャンプ
(効果)
全身をダイナミックに使うことで、全身の筋肉を連動できるようにする。
(方法)
1. 直立。
2. 素早くしゃがんで足元に両手を着く。
3. 手を着いたまま両脚をそろえて後ろに蹴り出す。
4. 両脚をできるだけ遠くに着地する。
5. 素早く両脚を前方に蹴り出す。
6. 2.の姿勢に戻る。
7. 両腕を真上に挙げながら、その場で真上に高くジャンプする。
8. 2.の姿勢に戻り、3.以降を繰り返す。30秒間でなるべく多くできるようにする。
心肺機能を高めつつ全身の筋連動を向上
⑭スプリットジャンプ
(効果)
全身の筋肉を連動できるようにする。下半身の筋力強化。
(方法)
1. ランジの腰が沈んだ状態の姿勢でスタート。
2. その場で真上にジャンプし、空中で前後の脚を入れ替える。
3. 1.と反対の脚を前にした状態で着地。
4. 2.以降を繰り返す。これを10回程度繰り返す。
ダッシュ力・アタック力の向上
⑮シザーズジャンプ
(効果)
全身の筋肉を素早く連動できるようにする。ダッシュ力やスプリント力の強化も期待できる。
(方法)
1.ランジの腰を沈めた状態でスタート。
2. その場で真上にジャンプし、空中で脚を前後入れ替えてまた元に戻す。
3. 1.と同じ姿勢で着地。これを5〜10回程度繰り返す。
4. 脚を前後入れ替えて同じように行う。
筋力強化&基本的動作向上系の一連のやり方を動画でもチェック!
ズイフトとサイクルトレーナーを使ったトレーニング
ワークアウトやレースに挑戦しよう
サイクルトレーナーを使える環境にあるなら、オンラインでサイクリングを楽しめるズイフトに登録するとインドアトレーニングがさらにはかどる。レースやグループライドに参加したり、ワークアウトに取り組むこともできるからだ。
レースやグループライドは毎日随時開催されていて、ほぼフラットなコースからラルプデュエズを思わせる山岳コースまでさまざまなコース・距離で繰り広げられる。世界中のライダーと一緒に走れるだけでなく、最近はワールドツアーの選手も出没したりする。
ワークアウトはベースづくりに最適なものからFTPを高める中強度のトレーニング、高強度のインターバルまで、目的に応じたものを選べるようになっている。また、自分でオリジナルのワークアウトを作成することも可能だ。
なお、先ほど紹介したストレッチ&基礎トレーニング法をこの前にやっておくと、サイクルトレーナーでのトレーニング効果が高まる。ただし、自分の実力と時間的余裕を考慮して、行うメニューや回数は調整してほしい。
ターゲットパワーをさまざまなケイデンスで出せるようになろう
伊藤さんはズイフトでワークアウトに取り組むなら、一定のパワー(運動強度)を異なるケイデンスで出せるようにするトレーニングに取り組んでほしいという。
「パワートレーニングでは特定のワットで一定時間走るというのが基本ですが、特に指定がなければ自分の得意なケイデンスで走るはず。しかし、実走では勾配の変化などで常に一定のケイデンスで走れるわけではありませんから、ターゲットとなるパワーを高ケイデンスでも低ケイデンスでも出せるようになると、走りの幅が広がってあらゆる場面に対応できるようになりますよ」。
【ケイデンスを変化させながら一定のパワーを出す練習の一例】
FTPで10分走を3本
1本目は走りやすいケイデンスで
2本目は低ケイデンスで
3本目は高ケイデンスで
ミートアップ機能で仲間と走ろう!
ズイフトでは仲間と呼びかけて行うミートアップという機能もある。これは仲間を誘って一緒に走ったりワークアウトに取り組んだりできるもので、孤独になりがちなインドアトレーニングを仲間と楽しめるところに意味がある。実走では単独で走る#ridesoloが推奨されているが、バーチャルサイクリングならいつもの自転車仲間とも一緒に走ることができるし、離れて住む遠方の仲間ともサイクリングが楽しめる。
ミートアップで仲間と走る感覚をリアルに楽しむなら、ズイフトをしながらZOOMなどのWEB会議サービスを併用するのもお勧めだ。
「アバターではなく、リアルなサイクリストが頑張っている姿が見えるので、頑張ろうというモチベーションが高まるはず」と伊藤さん。ズイフトを楽しむデバイスのスペックによってはズイフトの動作に影響が出る恐れがあるので、パソコンやタブレットとスマホをうまく併用するなどして快適なオンラインサイクリング環境を構築しよう。
インドアトレーニングは汗対策も不可欠。定期的なメンテも忘れずに
サイクルトレーナーを使ったインドアトレーニングでは、屋外を走るときのように走行中の風で体温を下げることができず、夏以外のシーズンでも大量の汗をかきやすい。トレーニング中の汗がバイクに直接掛かるのを防ぐため、タオルや専用のスウェットカバーを活用しよう。もっと十分な対策をしたい人はマックオフの「スウェットプロテクト」のような防錆スプレーも活用しよう。
さらに忘れてはいけないのがバイクのメンテナンスだ。屋外を走らないのでチェーンまわりが砂ぼこりで汚れることはないが、ギヤやチェーンはペダリングすれば少しずつ摩耗して汚れてくる。また、汗対策を十分にしてもバイクやサイクルトレーナーが汗にさらされることを完全に避けることはできない。駆動系を中心に定期的にメンテナンスすることで、気持ち良くトレーニングできるようになるはずだ。