日本の匠が集結! ハンドメイドバイシクル展2020

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1月25日(土)〜26日(日)に、開催された「ハンドメイドバイシクル展2020」。今年は、2年ぶりに会場を東京千代田区の科学技術館に戻して開催された。国内のフレームビルダーやパーツメーカー、のべ52ブランドが一堂に会するとあって、多くの自転車ファンが訪れた。そんな会場から、気になるバイクたちをピックアップして紹介する。

 

アマンダ 戸田〝アニマル〟真人氏の新たなるチャレンジ

アマンダ

アマンダスポーツは戸田真人氏がアメリカ大陸横断で使用したトランスコンチネンタルロードを展示。還暦を迎えたアドベンチャーライド界のレジェンドである戸田氏は、2020年の新たな構想に向け、1997年に製作したCF80トンマシーンをステンレスクロスで補強。なお、設計から仕上げまで全て戸田氏が行ったというから頭が下がる。

アマンダハンドル周り

 

 

ガンウェル NJSビルダーがグラベルバイクを新たに提案

ガンウェルグラベルロード

1976年にブランドを設立。1980年にNJS認定となり、近年は競輪用のフレームを年間70本ほど生産しているガンウェル。京都オーダーフレーム工場ではロードやツーリング車も受け付けており、今回はさらに間口を広げるためにグラベルバイクを参考出品。インターナルウェルディングを駆使した美しい仕上がりが注目を集めていた。

ガンウェルグラベルロードシートステー
ガンウェルグラベルロードヘッドチューブ溶接部

 

 

ケルビム 最新モデルから往年のピストまで幅広く展示

ケルビム

1965年に創業し、今や世界的に知られるブランドとなった今野製作所のケルビム。コロンブス100周年記念チューブセットを使用した2019年限定モデルのチェントレーサーや、競輪界のレジェンド神山雄一郎選手が実際に使用したトラックレーサーなどを展示。「ジオメトリーの違いを体感できる場があればいいね」と、今野真一氏。

ケルビム神山雄一郎モデル

 

 

パナソニック KEIRINグランプリ初制覇のパナソニック

パナソニック

昨年末のKEIRINグランプリを制した佐藤慎太郎選手。彼が駆っていたのがパナソニックのトラックフレームだ。ブースでは2018年と2019年のNAHBSに出典した2台のスチールフレーム車を展示。また、土曜にはPOSに関わる金森修一さん、小泉要治さん、古谷勇輝さんによるオーダーフレームの魅力を伝えるトークショーも行われた。

パナソニック

設計が進化した、ディスクロード用オリジナルリヤエンド

パナソニック

フロントライトはクラシックな見た目だがLEDライト

 

 

東京サンエス 間もなく発売されるチタンフレームを展示

東京サンエス

チタンフレームのプロトタイプ

ビルダーの間でも評判の高いワンバイエスブランドのカーボンフォークをずらりと展示していた東京サンエス。デュアルオフセット機構を採用した製品を1→3種類へと増やすなど注力ぶりをアピール。参考出品のチタンフレームは細部を修正したのちにリリース予定で、「サンエスらしい価格で出しますよ!」という力強い言葉も。

 

 

エクイリブリウム ウラジミール氏が手腕をふるうエクイリブリウム

エクイリブリウム

2012年に東京都大田区で創業。仕上がりの美しさはもちろん、レースユーザーからも高い評価を受けているエクイリブリウム。スチールフレーム車(ブルタリスト)は、本誌でもおなじみサイクルキューブ柴山メカの愛車だ。ディスクブレーキのチタンフレーム車はアメリカとイタリアのチューブをミックスして狙い通りの乗り味に。

 

 

ウェルドワン チタン界の風雲児、シートチューブを省略!?

ウェルドワン

独創的なチタンフレームビルダーとして知られる京都のウェルドワンは、シートチューブを途中でカットしたディスクロードを展示。ダウンチューブにはDi2用のバッテリーが内蔵できたり、トップチューブには陽極酸化によるフラワーアートを施すなど、小西栄二氏の手腕が光る。このほか、チタンによる中空クランクも展示していた。

ウェルドワン

ダウンチューブにあるフタは、シマノDi2のバッテリーを内蔵するためのもの

ウェルドワン

ワンオフのチタンクランク。無垢材からの削り出しではなく、板を溶接した中空構造を持つ

 

 

スリーブランチサイクル お客さんの想いを具現化するスリーブランチ

スリーブランチ

世田谷区のバイク&ハイク内に工房を持つ、新進気鋭のフレームビルダー。「ラピエールのゼリウスってありますよね。お客さんにその画像を見せられて、こうしてほしいと言われたんです」と、スリーブランチサイクルズの三枝塁氏。東京サイクルデザイン専門学校の講師を経て独立したという経緯があり、複雑な工作も得意とする。

 

 

ラバネロ ラバネロもディスクブレーキロードを製作

ラバネロ

1974年にタカムラサイクルを開業。1977年に誕生したブランドがラバネロだ。タンデム用のロードおよびトラックレーサーのほか、ディスクブレーキの付いたロードバイクも。グラベルライドも視野に入れたツーリングモデルで、コロンブスのエアプレーンチューブを使用。アフィラータ・ディスクと名付けられ、この仕様で8.9kgだ。

ラバネロ

 

 

東京サイクルデザイン専門学校 すでに販売できるレベルの作品がズラリ

東京サイクルデザイン専門学校
東京サイクルデザイン専門学校

自転車に特化した東京サイクルデザイン専門学校。ブースには今年も在校生の意欲作が展示されていた。サンドカラーのバイクは135mmQRと142mmTAのほか、ブレーキはカンチとディスクの両方に対応。さらに有段化も可能だ。赤いフルサスMTBはリヤサスのピボットにスレッドBBを採用。手軽にオーバーホールできるのが最大の魅力だ。

東京サイクルデザイン専門学校
東京サイクルデザイン専門学校

 

 

ライトサイクル ディスクロードの最新仕様にいち早く対応

ライトサイクル

2005年からチタンフレームをプロデュースしているライトサイクル。現在、ジオメトリーをはじめチューブ径から各種工作まで細かく指定できるフルオーダー体制に。ディスクブレーキモデルはフラットマウント規格で、12mmスルーアクスル仕様も選択できる。さらに長さとライズ角が指定できるチタンのオーダーステムもラインナップ。

ライトサイクル

 

 

KLCプロダクツ 細身のフレームに似合う各種レザーアイテム

KLCレザー
KLCレザー

横浜市元町にある革製品メーカーが自転車関連のアイテム用に立ち上げたブランドが〝マワレ〟だ。肌触りが良くて丈夫なピッグスエードを使用したフレームバッグやサドルバッグは、細身のクロモリフレームとの相性抜群。また、同じくピッグスキンを使用したバーテープは撥水加工を施しており、同素材のバーエンドを付属する。

 

 

ビクシズ 傑作SLXチューブ採用のニューモデルを発表

ビクシズ・エボペア

ドリアーノ・デローザが手掛けるビクシズから、イタリア語で叙事詩を意味するエポペアが新登場。このモデル名には父ウーゴの功績を語り継ぐという意味が込められており、コロンバスの復刻版SLXチューブを美しいラグにて組み合わせている。クラシカルなスタイリングだが、精度の高さと塗装の美しさは他のラインナップと同様だ。

 

 

細山製作所 クロモリは長く乗れる。その一例を展示

細山製作所
細山製作所

小柄な方が乗っているであろうこのバイク。アッセンブルされているコンポからもかなりの年月が経っていることが容易に想像できるが、よく見るとディスクブレーキを採用している。これは以前作ったフレームに改造を加えたとのことで、細山製作所ではこうした追加工やチューブの差し替え、フレームサイズ変更なども行っている。

 

 

サンライズサイクルズ 独自の世界を構築するサンライズサイクルズ

サンライズサイクルズ

2010年に創業。2014年にはNAHBSに初出展し、来場者を驚かせたサンライズサイクルズ。その独創性はさらに加速したと言えるだろう。ディスクブレーキのピストフレームは、ブレーキホースがトップチューブ後方から一度出て再びシートステーに内装されるという特殊な取り回しで、これによってシートポストを回避することに成功。

サンライズサイクルズ
サンライズサイクルズ

 

 

Mマキノサイクルファクトリー 大径チューブによるラグレスロードフレーム

Mマキノ

王道のトラックレーサーのほか、未塗装のロードフレームを展示。ダウンチューブにエアロ断面のコロンブス・FLFA12670を使用したこのフレーム、サイズが小さいことによる過剛性を鑑みて細身のトップチューブ(コロンブス・スピリットケイリン)を使うなど、バランスを重視した設計となっている。見た目以上に軽いのも特徴だ。

 

 

ゴキソ TLRタイヤ対応のカーボンリムが間もなく登場か

ゴキソ

GOKISOハブで知られる近藤機械製作所はプロトタイプのフルカーボンクリンチャーリムを公開。プリプレグの繊維の角度を工夫することで、従来品より厚みを20%増やして剛性をアップしつつも24mmハイトで約30gの軽量化に成功したという。リム外幅を2.0mm広げたほか、チューブレスレディでの使用が可能というのも朗報だろう。

ゴキソ

 

 

シルク絹自転車製作所 ダウンチューブはヒモで十分という新発想

シルク

ジャイアントのフォールディングバイクMR4など数々の独創的な自転車を設計した奇才、荒井正さんが今年の1月にシルクサイクルをオープン。テンションシルク号はダウンチューブをヒモ(高強力ポリエチレン繊維)とした意欲作で、昨年のJBTでは2位に入賞している。なお、今夏にはアルミフレームの量産型を発売予定という。

シルク
シルク

シフトワイヤアウター受けに見えるが、このノッチでリヤディレーラーを制御する変速装置を兼ねている

 

 

ビチスポーツモリアイ 会場で唯一か、ディスクブレーキのピスト車

昨年10月、台風19号の影響で床上浸水の被害に遭ったビチスポーツモリアイだが、現在は作業を再開できるまでに復活。展示車両は前三角にグラファイトデザインのカーボンチューブを使用したピスト車。オーバーサイズのヘッドチューブを使いながら1インチのスレッドヘッドパーツを使うなど、盛合さんならではの工夫が随所に。