TTバー(エアロバー)って必要? トライアスロン初心者が知っておきたいメリットとやさしい導入ガイド

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  • text 中谷亮太
  • photo Cycle Sports/カワシマサイクルサプライ

トライアスロンを始めると気になるのが「TTバー(エアロバー)は本当に必要なのか?」という疑問です。見た目は本格的でハードルが高そうですが、実はロードバイクに取り付けるだけで導入でき、初心者にもメリットの大きいアイテム。今回は定番パーツブランドであるプロファイルデザインの開発担当者への取材をもとに、選び方や導入方法をわかりやすく解説します。

 

TTバー導入のメリットとは? スピードだけじゃないプラスの効果

トライアスロンの大会に出場すると、多くの選手がハンドルの中央に突き出た「TTバー(エアロバー)」を使用しているのを目にします。その理由はずばり、中央のバーを握ることで空気抵抗の少ないフォームになり、速くてラクに走れるから。ハイテンポな長距離ライドとも相性が良く、ロングライド愛好家の間でも定番のアイテムです。

最初のうちは「自分にはまだ早い」と思いがちですが、実は初心者こそ導入を検討すべき明確な理由があります。今回は、トライアスロン系パーツでは世界的なブランド「プロファイルデザイン」より、プロダクトマネージャーのイアンさんに話を聞きました。

今回のアドバイザー:プロファイルデザイン プロダクトマネージャー/イアン・スコットさん

Q:初心者がTTバーを使う一番のメリットは何ですか?

1番わかりやすいのはスピードです。通常のドロップハンドルで腕を広げて乗るよりも、TTバーを使って体を小さく畳んだリラックスしたポジションをとることで、風の抵抗を劇的に減らせます。トライアスロンについて言えば、バイク40kmのスタンダードなレースであれば、約4分もの時間を短縮できるのです。アイアンマン(バイク180km)なら、25分もの差になることもあります。それだけのエネルギーを節約できるということですね」とイアンさん。

続いて、イアンさんは「バイクの後のランニング」へのメリットも強調します。

「ロードバイクのハンドルポジションで深い前傾をとると、体幹の筋肉への負担が大きく、バイクを降りた後のランにスムーズに移行できません。TTバーを導入し、適切なセッティング(サドルを少し上げ、前に出すなど)を行うことで、上半身をリラックスさせて走ることができます。股関節の角度も最適化され、バイク後のランが驚くほど楽に、自然に走れるようになるのです」。

 

怖い・難しそうは本当? 初心者が感じる不安について

一方で、初心者が導入をためらう理由に「操作性への不安」があります。ブレーキレバーから手が離れるため、とっさのときに怖いと感じるのも無理はありません。恐怖心については、練習と慣れで克服できるとイアンさんは話します。

Q:操作が難しそうで不安なのですが、どのくらい練習が必要でしょうか?

「確かに、通常のハンドル操作とは感覚が異なります。まっすぐ走るときは問題ないですが、TTバーを握ったままコーナーを曲がるのは難しく、適切な切り替えが必要です。少なくとも1か月間は、日常的なライドで練習することをおすすめします。いきなり大会で使うことは絶対にやめましょう」。

イアンさんは安全のためのアドバイスとして、以下の3つのポイントを挙げています。

 

慎重さを忘れない!

コースに慣れていない場合や、信号の多い場所、交通量の多い道では、無理にエアロバーを握らず、通常のハンドル部分を持つようにしてください。

 

ビンディングペダルと同じ感覚!

信号の手前では早めにエアロバーから手を離し、停止の準備をしておくことが大切です。これはビンディングペダルを早めに外すのと同じ感覚です。

 

下り坂やコーナーでは使わない!

慣れないうちは、下り坂や急なコーナーでは使用を控えましょう。風が強い日やガタガタな路面など、ふだんと違うシチュエーションにも注意が必要です。

 

失敗しないTTバー選びのポイント

ショップに行くと、さまざまな形状のエアロバーが並んでいて、どれを選べばいいか迷ってしまいます。イアンさんは、通販で適当に買うのではなく、実物を置いているショップで相談することを強く推奨しています。

Q:初心者にはどのような形状のバーがおすすめですか?

「人によって体格は千差万別で、好みの手の角度もまったく異なります。プロファイルデザインでは、バーの跳ね上がり角度(26A、39A、52Aなど)を複数用意しています。ポイントは、バーを強く握りしめないこと。私たちはよく「ピアノを弾くようなリラックスした手つきで」と言います。加えて、体重は手のひらではなく、肘に近いパッドに乗せるのが正しいフォームです」。

「パッドの位置は、肘の骨の少し手前の前腕部分で支えるのがベスト。最近のモデルはパッドが長くなっており、より広い面で前腕をサポートできるようになっています」。

 

プロファイルデザインが考える、初心者に最適なモデル

プロファイルデザイン・ソニック エルゴ 52A 価格:2万3300円

数あるラインナップの中で、イアンさんが初心者へ自信を持って勧めるのが「Sonic Ergo(ソニック エルゴ)」シリーズです。

Q:特におすすめのモデルを教えてください。

「私のイチオシは、ソニック エルゴ 52Aです。52Aという角度は、手が比較的起きた状態になり前腕へのストレスが少なく、初心者でもリラックスしたポジションが作りやすいのが特徴です。このモデルの魅力は、“信頼性と調整幅の広さ”にあります。以下が主な特徴です」。

ライザーキットの導入

最大130mmまで高さを調整できる別売のライザーキットがあり、体が硬い初心者はまずは高い位置から始めて、徐々に低くしていくといった調整が可能です。

 

前後左右の調整

パッドの位置やバーの長さ、角度や幅を細かく変えられるため、自分の体型にぴったりの位置が見つかります。

 

高い信頼性

アルミ製のパーツは耐久性に優れ、長期間に渡って使えます。飛行機での遠征でバイクを分解する場合も、工具1つで簡単に脱着ができます。

 

TTバーはどうやって取り付ける? 導入のステップ

最後に、導入にあたっての注意点とステップを確認しましょう。

 

ステップ① ハンドルバーの種類を確認する

ここが最も重要なポイントです。カーボン製のハンドルバーは強度の問題で破損する恐れがあるため、クリップオン(後付け)タイプのTTバーを取り付けられない場合がほとんどです。したがって、丸断面のアルミハンドルバーへの装着が基本となります。自分のハンドルが対応しているか、必ずプロに確認してください。

 

ステップ② プロに相談・フィッティングを行う

TTバーは「ただ付ければいい」というわけではありません。イアンさんは、「必ずプロのショップスタッフやフィッターに相談してほしい」と言います。エアロバーを付けると、前述のとおりサドルの位置(高さや前後)も微調整する必要があるからです。プロファイルデザインを取り扱っているショップの多くは、なぜそのバーがベストか、安全な取り付け方はどうするかを熟知しており、適切なアドバイスをもらえます。

 

ステップ③ 練習あるのみ!

取り付けが終わったら、安全な場所で練習を始めましょう。スピードメーターを見て、同じ力でも速度が上がっていることを実感できれば、モチベーションも高まるはずです。

 

【まとめ】エアロバーはラクに遠くへ行くための相棒

初心者だから…と遠慮する必要はありません。むしろ、効率よく走って体力を残したい初心者にこそ、TTバーは強力な武器になります。今回の締めに、イアンさんのコメントを紹介します。

「初めてのトライアスロン大会はTTバーなしで出場する人も多いですが、レースで周りの選手にどんどん抜かされて、次の大会にはTTバーが欲しくなっている……そんなケースを数多く見てきました。まずは信頼できるショップへ行き、自分に合うモデルを相談することから始めてみてください!」