ジロ・デ・イタリア2023 雨天の第10ステージはマウヌス・コートが区間初優勝

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イタリアで開催中の第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、休養日明けの5月16日にスカンディアーノからヴィアレッジョまでの196kmで第10ステージを競い、雨の中を逃げ切った3選手でのゴール勝負を制したデンマークのマウヌス・コート(EFエデュケーション・イージーポスト)が、区間初優勝した。
 

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■悪天候の中を逃げ切った3選手でのゴールスプリントをマウヌス・コートが制した (photo : LaPresse)

 
区間2位はカナダのデレク・ジー(イスラエル・プルミエテック)、3位はイタリアのアレッサンドロ・デマルキ(チームジェイコ・アルウラー)だった。
 

マリア・ローザのエヴェネプールが新型コロナ陽性で棄権

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■エヴェネプールが新型コロナで棄権し、休養日明けの第10ステージはトーマスがマリア・ローザを着た (photo : LaPresse)

 
世界チャンピオンのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)が個人タイムトライアルを制して総合首位のマリア・ローザに返り咲いた第9ステージの夜に、信じられないような事件が起きた。スーダル・クイックステップが行った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定期検査で、エヴェネプールが陽性になってしまったのだ。彼は翌日の休養日に車で帰国し、ジロを棄権した。

この残念なニュースとシンクロするように、休養日明けの第10ステージは朝から冷たい雨が降る厳しい一日になった。エヴェネプールだけでなく、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イスラエル・プルミエテック)、カラム・スコットソン(チームジェイコ・アルウラー)、スヴェンエーリク・ビストラム(アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ)も、新型コロナの検査で陽性になって出走しなかった。新型コロナで今年のジロを棄権した選手は、これで9人になった。

彼らの他にオスカル・リースベーク(アルペシン・ドゥクーニンク)、レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ)、マッズビュルツ・シュミット(イスラエル・プルミエテック)が病気、シュテファン・キュンク(グルパマ・FDJ)が次のレースに向けて休養するためにスタートしなかった。第10ステージは9人が不出走で、154人が出走した。
 

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■エヴェネプールが棄権し、総合首位のマリア・ローザはトーマス、総合2位は2秒差でログリッチになった (photo : LaPresse)

 
8km地点で逃げ出したグループに加わっていたデマルキとジーが逃げ続け、そこにマウヌス・コートと山岳賞のマリア・アッズーラを着たダヴィデ・バイス(エオロ・コメタ サイクリングチーム)が合流した。バイスは87.5km地点のパッソ・デッレ・ラディーチ(カテゴリー2)の頂上を先頭で通過してポイントを稼いだ後、集団に戻った。

後方では、上りで集団から遅れたアレクサンドル・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)がレースを棄権した。彼は総合6位だったが、この日はスタート前から具合が良くなかった。ゴールまで残り79kmの下り坂では、ジェイ・ヴァイン(UAEチーム・エミレーツ)が転倒。彼はこの事故で、結局11分以上遅れてゴールした。

デマルキ、ジー、マウヌス・コートの3人はゴールまで残り50kmで2分半のタイム差を持っていたが、ゴールスプリントに持ち込みたい集団が追い上げ、残り10kmでタイム差は45秒になっていた。しかし、そのままタイム差は縮まらず、最後は逃げ切った3人でのゴール勝負になり、マウヌス・コートが難なく初優勝を手中に収めた。彼はブエルタ・ア・エスパーニャとツール・ド・フランスでも区間優勝していて、これで3大ツアー全てで区間優勝した選手になった。

メイン集団は51秒遅れでゴールし、エヴェネプールの棄権で総合首位になっていた英国のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)が、総合リーダーのマリア・ローザを守った。

■区間初優勝したマウヌス・コートのコメント
「ツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャの後で、ジロ・デ・イタリアで区間優勝し、自分の三部作を達成できて物凄く嬉しい。でも、自転車に乗って過ごした最も過酷な一日だった。最初は前(の逃げ)に行かなければならなかった。その後、雨のせいで無線が働かず、追走する集団が何処にいるのか全く分からなかった。でも、我々は懸命に踏み続けた。それだけの価値はあった。それでもこれが現実に起こったとは、信じがたいよ」

■新しいマリア・ローザになったトーマスのコメント
「素晴らしいが、明らかにジロをリードするのに理想的な状況ではなかった。アタックがたくさんあって手強い一日だった。丘の上はかなり寒かったし、下りはクレイジーだった。このステージを無事に乗り越えられて嬉しい。このレースではとりわけ天候次第で何かが起こる可能性があるからね」
 

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■表彰台で初めてマリア・ローザを受け取った36歳のトーマス (photo : LaPresse)


■第10ステージ結果

[5月16日/スカンディアーノ~ヴィアレッジョ/196km]
1. NIELSEN Magnus Cort (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN) 4:51:15
2. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN)
3. DE MARCHI Alessandro (TEAM JAYCO ALULA / ITA) +0:02
4. PEDERSEN Mads (TREK – SEGAFREDO / DEN) + 0:51
5. ACKERMANN Pascal (UAE TEAM EMIRATES / GER) + 0:51
6. OLDANI Stefano (ALPECIN-DECEUNINCK / ITA) + 0:51
7. MILAN Jonathan (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 0:51
8. CAVENDISH Mark (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / GBR) + 0:51
9. MAESTRI Mirco (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA) + 0:51
10. FIORELLI Filippo (GREEN PROJECT-BARDIANICSF-FAIZANE’/ ITA) + 0:51
147. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) + 26:55

■第10ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) 39:26:33
2. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +0:02
3. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +0:05
4. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +0:22
5. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) +0:35
6. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +1:28
7. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +1:52
8. SIVAKOV Pavel (INEOS GRENADIERS / FRA) +2:15
9. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +2:32
10. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) +2:32
150. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +2:13:17

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MILAN Jonathan (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BAIS Davide (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR)
 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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