ツール・ド・フランス2022 超級頂上ゴールの第18ステージはマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーが区間2勝目

  • photo A.S.O./Pauline BALLET/Charly Lopez / ©SprintCycling

フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月21日にルルドからカテゴリー超級のオタカム頂上までの143.5kmで、ピレネー山岳最終区間の第18ステージを競い、マイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)が独走で優勝し、第11ステージに続いて今大会区間2勝目を上げた。
 

ツール・ド・フランス2022

■マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーが独走でピレネー最終決戦を制した (©SprintCycling)

 
区間2位は1分4秒遅れでマイヨ・ブランを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)、区間3位は2分10秒遅れでマイヨ・ベールを着たベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)だった。
 

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■ピレネー最終日に総合で大きなリードを得たマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴー (photo : A.S.O./Pauline BALLET)


フルームが新型コロナで不出走

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●第18ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
今年最後の山岳ステージだった第18ステージは140選手が出走。英国のクリストファー・フルーム(イスラエル・プルミエテック)、イタリアのダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)、スペインのイマノル・エルビティ(モビスターチーム)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性になり、スタートできなかった。

このステージは大会総合ディレクターのクリスティアン・プリュドムが乗車するオフィシャルカーに、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が同乗し、レースを観戦した。

オフィシャルスタートの合図でアタックしたのはマイヨ・ベールのヴァンアールトだった。彼は何度もアタックし、47km地点で先行した大きな逃げ集団に加わった。そこにはマイヨ・アポワを着たシモン・ゲシュケ(コフィディス)の姿はなかった。58.5kmの中間スプリントは、ヴァンアールトが先頭で通過した。

最初のオービスク峠(カテゴリー超級)の、16.4km続く登坂が始まると、先頭の逃げ集団は20人ほどになった。集団からはルイ・メインティス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)がアタックし、逃げ集団を追った。76.7km地点の山頂はジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)が先頭で通過し、ティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)、ヴァンアールトが続いた。ここでメインティスは45秒遅れ、マイヨ・ジョーヌ集団は3分20秒遅れだった。
 

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(photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
ゴールまで43.5kmで、2つ目のスパンデル峠(カテゴリー1)越えが始まり、山頂まで残り5kmで先頭はマイヨ・ベールのヴァンアールト、ピノー、ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアズ)の3人になった。ブランドン・マクナルティ(UAEチーム・エミレーツ)が引くマイヨ・ジョーヌ集団では、マイヨ・ブランのポガチャルが攻撃を開始したが、マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーは応戦し続けた。

スパンデル峠の山頂はマイヨ・ベールのヴァンアールトが先頭で通過。逃げる3人は総合争いを続けるヴィンゲゴーとポガチャルに1分39秒差を付けていた。下りに入り、ヴィンゲゴーがパランスを崩す危うい場面があった後、先頭を交代しようとコーナーでスピードを落としたポガチャルが、路肩の草むらで滑って転倒した。彼はすぐ自転車に乗ってレースを再開。先行していたヴィンゲゴーはポガチャルを待ち、追いついたポガチャルは握手を求めた。
 

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■スパンデル峠でポガチャルは何度もアタックしたが、マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーは決して遅れなかった (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
下りで遅れていた選手たちが合流し、マイヨ・ジョーヌ集団は8人になった。そこにはこの日の逃げに加わっていたティシュ・ベノート(ユンボ・ヴィスマ)とセップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)も含まれていた。ゴールまで残り13.6kmで、最後のオタカム(カテゴリー超級)がスタートした時、逃げる3人とマイヨ・ジョーヌ集団のタイム差は2分25秒あった。


マイヨ・ベールがマイヨ・ジョーヌを牽引

オタカムの上り坂が始まると、逃げではピノが加速したが、抜け出す事はできなかった。しかし、残り9.2kmでマイヨ・ベールのヴァンアールトがアタックすると、ピノーは付いて行けず、そのまま後退した。マイヨ・ジョーヌ集団はクスが引き、ヴィンゲゴーとポガチャルだけになっていた。

ゴールまで残り5.3kmで、先頭のヴァンアールトに追いつくとクースは仕事を終え、今度はヴァンアールトがマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーを引き始めた。その鬼のようなスピードに付いて行けず、残り4.4kmでマイヨ・ブランのポガチャルが遅れてしまった。超級山岳でマイヨ・ベールがマイヨ・ジョーヌを牽引するという、奇妙な光景が続いた後、残り3.7kmでヴァンアールトは仕事を終え、ヴィンゲゴーは単独でゴールを目指した。その時、ポガチャルはすでに17秒遅れていた。
 

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■最後のオタカムでマイヨ・ジョーヌを牽引したのはマイヨ・ベールのヴァンアールトだった (©SprintCycling)

 
マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーはそのまま独走で区間2勝目を上げ、山岳賞でも総合首位に立ち、マイヨ・アポワも手中に収めてしまった。彼は土曜日に予定されている40.7kmの個人タイムトライアルを前に、総合2位のポガチャルとのタイム差を3分26秒にまで開く事ができた。

■区間2勝目を上げたマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーのコメント
「信じられない、今朝ボクはガールフレンドと娘に、このステージを彼女たちのために勝ちたいと話していたんだ。彼女たちのために勝てて嬉しいし、誇らしいよ。ポガチャルが落車した時、彼はちょっとコーナーをミスってグラベルに入ってしまった。ボクは彼を待った。

チームメイト全員に感謝しなければならない。今日も皆素晴らしかった。ボクは集中し続ける必要があり、日々それを続けなければならない。このツールの優勝についてはまだ話したくない。それは2日後にしよう」
 

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■ヴィンゲゴーは山岳賞総合でもトップに立った (photo : A.S.O./Pauline BALLET)


■第18ステージ結果

[7月21日/ルルド~オタカム/143.5km]
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 3h 59’ 50’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 01’ 04’’
3. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) + 02’ 10’’
4. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 02’ 54’’
5. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 02’ 58’’
6. ALEXEY LUTSENKO (ASTANA – QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 03’ 09’’
7. DANIEL MARTINEZ (INEOS GRENADIERS / COL) + 03’ 09’’
8. SEPP KUSS (JUMBO – VISMA / USA) + 03’ 27’’
9. LEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS) + 04’ 04’’
10. THIBAUT PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 04’ 09’’

■第18ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 71h 53’ 34’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 03’ 26’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 08’ 00’’
4. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 11’ 05’’
5. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 13’ 35’’
6. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 13’ 43’’
7. ALEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS) + 14’ 10’’
8. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 16’ 11’’
9. ALEXEY LUTSENKO (ASTANA – QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 20’ 09’’
10. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 20’ 17’’

[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
 


第19ステージは平坦区間

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●第19ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
7月22日はカステルノー・マニョアックからカオールまでの188.5 kmで、平坦区間の第19ステージが行われる。
 

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(photo : A.S.O./Charly Lopez)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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