ツール・ド・フランス2022 第8ステージはマイヨ・ベールのヴァンアールトが今大会2勝目

  • photo A.S.O./Pauline BALLET/Charly Lopez / ©SprintCycling

フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月9日にドールからスイスのローザンヌまでの186.3kmで、カテゴリー3アップヒルゴールの第8ステージを競い、ポイント賞のマイヨ・ベールを着たベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)がゴールスプリントを制し、第4ステージに続いて今大会2勝目を上げた。
 

ツール・ド・フランス2022

■マイヨ・ベールのヴァンアールトが今大会2勝目を上げた (©SprintCycling)

 
区間2位はオーストラリアのマイケル・マシューズ(チームバイクエクスチェンジ・ジェイコ)で、3位にはマイヨ・ジョーヌを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が入り、4秒のボーナスタイムを獲得した。
 

ツール・ド・フランス2022

■区間3位でマイヨ・ジョーヌを守ったポガチャル (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
ポガチャルのチームメイトが新型コロナ陽性

第8ステージは170選手が出走。ノルウエーのヴェーガースターケ・ラーンゲン(UAEチーム・エミレーツ)とフランスのジョフレ・ブシャール(AG2R・シトロエン チーム)が出走しなかった。

チーム発表によると、ラーンゲンは8日朝にチームが行った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定期検査で陰性だったが、夜遅くに喉の痛みを訴えた。9日朝、彼は新型コロナの抗原検査で陽性になり、PCR検査でも陽性になったため、ツールを去る事になった。ラーンゲンは第7ステージで逃げに加わっていた。これでマイヨ・ジョーヌのポガチャルは、平地で働くチームメイトを1人失ってしまった。

ブシャールも第7ステージ終了後に行われた新型コロナの抗原検査で陽性になり、ツールを去らなければならなくなった。
 

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(photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
スイスに越境し、IOC(国際オリンピック委員会)の本部があるローザンヌの「オリンピック・スタジアムの丘」がゴールとなった第8ステージは、スタートからアタックがかかり、7km地点でマッティーア・カッタネオ(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)、フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)、フレデリク・フリゾン(ロット・スーダル)の3人が逃げ出した。

集団では9km地点でケヴィン・フェルメアリック(チームDSM)が落車する事故が発生し、マイヨ・ジョーヌを着たポガチャルやペテル・サガン(トタルエナジーズ)が巻き込まれてしまった。この落車でフェルメアリックはレースを棄権した。集団はペースを落とし、遅れた選手たちを待った。

65km地点で逃げのタイム差は3分になったが、カッタネオが3分58秒遅れの総合19位だった為、それ以上には開かなかった。75kmのカテゴリー4の丘は、フリゾンが先頭で通過した。集団の後方では、イタリアのジャンニ・モスコン(アスタナ・カザフスタン チーム)がレースを棄権した。チーム発表によれば、彼は新型コロナの後遺症である疲労感に悩まされていた。
 

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■スイス越境区間は3選手が逃げた (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
101.3km地点のルスの丘(カテゴリー3)はカッタネオが先頭で通過。その後、ゴールまで残り75kmでツール一行はスイス国境を越えた。残り55kmでフリゾンは遅れ、先頭はカッタネオとライトの2人になった。ゴールまで残り49kmのペトラ・フェリック峠(カテゴリー4)をカッタネオが先頭で越えた時、タイム差はまだ2分あった。

集団ではペトラ・フェリック峠で、ティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)が落車した。彼はすぐレースに復帰したが、その直後に他チームのマッサージャーが補給の為に差し出していた腕に、顔を打ち付けてしまった。このアクシデントで彼は一時遅れたが、残り34kmで集団に戻る事ができた。

ローザンヌ市街地に入り、残り8kmでライトがアタックし、単独でオリンピック・スタジアムの5km続く丘を上り始めたが、パトリック・コンラート(ボーラ・ハンスグローエ)が引く集団に残り3.5kmで捕まってしまった。コンラートは残り1.5kmで仕事を終え、すぐ後方を走っていたラファウ・マイカ(UAEチーム・エミレーツ)が先頭を引き始めた。
 

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■オリンピック・スタジアムの丘を逃げ続けるライト (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
残り1kmのフラム・ルージュを通過後、マイカに代わってブランドン・マクナルティ(UAEチーム・エミレーツ)がポガチャルを引いて丘を上がり続けた。残り350mでギヨーム・マルタン(コフィディス)がアタックを試みたが失敗した。最後はマシューズがスプリントを開始したが、マイヨ・ベールを着たヴァンアールトが残り150mでスパートして圧勝した。これで彼のツール通算区間優勝数は8勝になった。

■今大会2勝目を上げたヴァンアールトのコメント
「もちろん、今日の勝利はとても嬉しい。今日はマイヨ・ベールのために獲得できるポイントがたくさんあって、ライバルたちに差をつけるには良い機会だった。逃げを捕まえてくれたチームメイトたちに感謝したい。最後は本当にタフな上りだった。ポガチャルとチームメイトの後ろに留まるために戦わなければならなかった。

スプリントはちょっと平坦で、自分に向いているだろうと知っていた。オリンピックの街で勝つのは特別だが、単にツール・ド・フランスでまた別のステージを勝つのは素晴らしい事だ」
 

■第8ステージ結果
[7月9日/ドール~ローザンヌ(スイス)/186.3km]
1. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) 4h 13’ 06’’
2. MICHAEL MATTHEWS (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / AUS)
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
4. ANDREAS KRON (LOTTO SOUDAL / DEN)
5. ALBERTO BETTIOL (EF EDUCATION – EASYPOST / ITA)
6. ALEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS)
7. BENJAMIN THOMAS (COFIDIS / FRA)
8. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN)
9. BOB JUNGELS (AG2R CITROEN TEAM / LUX)
10. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR)

■第8ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 28h 56’ 16’’
2. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 00′ 39’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 01’ 14’’
4. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 01’ 22’’
5. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 01’ 35’’
6. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 01’ 36’’
7. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 01’ 39’’
8. NEILSON POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA) + 01’ 41’’
9. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 01’ 47’’
10. DANIEL MARTINEZ (INEOS GRENADIERS / COL) + 01’ 59’’
11. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 02’ 10’’
13. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 02’ 49’’

[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : MAGNUS CORT NIELSEN (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第9ステージは THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) が着用)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : MATTIA CATTANEO (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / ITA)
 

ツール・ド・フランス2022

■逃げたカッタネオが敢闘賞を獲得した (photo : A.S.O./Pauline BALLET)


最初の一週間を締めくくる、山岳区間の第9ステージ

ツール・ド・フランス2022

●第9ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
7月10日は国際自転車競技連合(UCI)の本部があるスイスのエーグルをスタートし、スイス国内で2つの峠を越えた後、終盤フランスのオート・サヴォア圏に戻り、シャテル・レ・ポルテ・デュ・ソレイユにゴールする山岳区間の第9ステージが行われる。

距離は192.9km。スイスとフランスの国境にあり、最後に越えるカテゴリー1のパ・ド・モルジャン峠は全長15.4kmで標高1377m、平均勾配は6.1%だ。残り9.8kmでこの峠を越えてフランスに戻った後、一度は下るが、残り4kmはカテゴリーの付いていない上り坂になる。
 

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(photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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