ツール・ド・フランス2022 頂上ゴールの第7ステージはマイヨ・ジョーヌのポガチャルが連勝

  • photo A.S.O./Charly Lopez/Hervé Tarrieu / ©SprintCycling

フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月8日にトンブレンヌから標高1140mでカテゴリー1のラ・シュベール・プランシュ・デ・ベルフィーユ頂上までの176.5kmで、今年最初の山岳区間となった第7ステージを競い、マイヨ・ジョーヌを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が、デンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)をゴール勝負で打ち負かし、区間2連勝した。
 

ツール・ド・フランス2022

■マイヨ・ジョーヌのポガチャルがヴィンゲゴーを打ち負かした (©SprintCycling)

 
ポガチャルは区間1位で10秒のボーナスタイムを獲得し、総合2位になったヴィンゲゴーとのタイム差を35秒に広げた。区間3位には12秒遅れでプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)が入った。
 

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■マイヨ・ジョーヌを守ったポガチャル (photo : A.S.O./Hervé Tarrieu)

 


ゲシュケがアタック

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■最初の逃げを決めたゲシュケ (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
第7ステージは172選手が出走。スタートからアタックがかかったが、逃げを決められる選手はなく、高速のレースが続いた。最初の1時間の平均時速は51.6km/hだった。40km地点でシモン・ゲシュケ(コフィディス)が逃げ出したのをきっかけに、51km地点で11人の逃げ集団が形成された。

総合成績が最も上位だったのはマクシミリアン・シャッハマン(ボーラ・ハンスグローエ)で、2分7秒遅れの総合23位だった。その為、逃げのタイム差が2分半になり、シャッハマンがバーチャル・マイヨ・ジョーヌになると、集団はUAEチーム・エミレーツが引き始め、タイム差は2分を切った。

ゴールまで残り72kmのグロス・ピエール峠(カテゴリー3)で、逃げ集団からレナート・ケムナとシャッハマン(ボーラ・ハンスグローエ)がアタックし、ルーク・ダーブリッジ(チームバイクエクスチェンジ・ジェイコ)だけが付いて行った。さらにゲシュケとディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス)が合流し、先頭の逃げは5人になった。
 

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■最初の山岳ステージを逃げる選手たち (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
グロス・ピエール峠の山頂はゲシュケが先頭で通過し、集団とのタイム差は2分40秒に開いていた。残り50kmでシリル・バルト(B&Bホテルズ・KTM)とイマノル・エルビティ(モビスターチーム)が追いつき、逃げは7人になった。残り40kmのクロワ峠(カテゴリー3)もゲシュケが先頭で通過した。

集団はミゲル・ビェアウ(UAEチーム・エミレーツ)が引き、残り20kmでタイム差は2分になった。残り7kmで、ゴールへと続くラ・シュベール・プランシュ・デ・ベルフィーユ(カテゴリー1)の登坂が始まった時、逃げのタイム差は1分半に縮まっていた。

ラ・シュベール・プランシュ・デ・ベルフィーユが始まるとすぐに、逃げグループからゲシュケがアタックし、単独で坂を上り始めた。しかし、彼は残り5.5kmでケムナに追い抜かれてしまった。マイヨ・ジョーヌ集団はブランドン・マクナルティ(UAEチーム・エミレーツ)が引き、1分後方に迫っていた。

UAEチーム・エミレーツが引き続けるマイヨ・ジョーヌ集団は、次々と選手が遅れ、次第に小さくなっていった。先頭はマクナルティからジョージ・ベネット(UAEチーム・エミレーツ)に引き継がれ、残り2.5kmでラファウ・マイカ(UAEチーム・エミレーツ)に代わった。
 

未舗装路の頂上ゴール

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■残り1kmの未舗装路でアタックしたマイヨ・ジョーヌのポガチャル (©SprintCycling)

 
今年、バージョンアップして「ラ・シュベール(スーパー)」が付いたプランシュ・デ・ベルフィーユのゴールは、残り1kmが未舗装路になっていた。そこに差し掛かった時、先頭のケムナとマイヨ・ジョーヌ集団のタイム差は36秒だった。

マイヨ・ジョーヌ集団は、先頭のマイカがフラム・ルージュでゴーサインを送った後、ポガチャルがアタックし、砂埃の道の先にあるゴールを目指した。ゴールまで残り200mで、2番手を走っていたヴィンゲゴーがアタックしてマイヨ・ジョーヌを抜き去り、ゴールまでたった100mで先頭のケムナも追い抜いた。しかし、フィニッシュライン目前でポガチャルがヴィンゲゴーを抜き返し、今大会2勝目を勝ち取った。ゴールでは婚約者でプロ選手のウルシュカ・ジガルトさんが待っており、ポガチャルは彼女と熱い抱擁を交わしていた。
 

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■この日、ガン研究財団を立ち上げたポガチャルは、特別なシューズを用意していた (photo : A.S.O./Hervé Tarrieu)

 
■区間連勝したポガチャルのコメント
「今日は本当に難しいレースだった。特に最後の上りは。ヴィンゲゴーのアタックはそれだけ力強かった。でも、チームの皆が一日中働いた後だったし、ボクはフィニッシュラインに向かってずっと踏まなければならないと、自分自身に言い聞かせた。ウルシュカもフィニッシュラインに居たし、ボクの家族は上りのふもとに居たからね。それに、ボクたちは今日、ガン研究財団を立ち上げて、その為に特別なシューズも履いていた。今日はそれらが勝つ理由だった。

この上りでの2020年に成功してから随分経った。今日勝つのは、ボクにとって大きな目標だった。もちろん、ヴィンゲゴーはボクにとって大きなライバルだよ。彼は現在世界最強のクライマーの1人で、非常に強いチームを持っている。ボクもうまくやっているが、これは自転車競技で、状況は1秒ごとに変わる可能性がある」
 
■第7ステージ結果

[7月8日/トンブレンヌ~ラ・シュベール・プランシュ・デ・ベルフィーユ/176.5 km]
1. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 3h 58’ 40’’
2. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN)
3. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 00′ 12’’
4. LENNARD KÄMNA (BORA – HANSGROHE / GER) + 00′ 14’’
5. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 14’’
6. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 00′ 19’’
7. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 00′ 21’’
8. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 00′ 21’’
9. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 29’’
10. SEPP KUSS (JUMBO – VISMA / USA) + 00′ 41’’

■第7ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 24h 43’ 14’’
2. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 00′ 35’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 01’ 10’’
4. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 01’ 18’’
5. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 01’ 31’’
6. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 01’ 32’’
7. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 01’ 35’’
8. NEILSON POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA) + 01’ 37’’
9. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 01’ 43’’
10. DANIEL MARTINEZ (INEOS GRENADIERS / COL) + 01’ 55’’
11. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 02’ 06’’
13. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 02’ 45’’

[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : MAGNUS CORT NIELSEN (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第8ステージは THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) が着用)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 :SIMON GESCHKE (COFIDIS / GER)
 

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■この日最初の逃げを決めたゲシュケが敢闘賞を獲得した (photo : A.S.O./Hervé Tarrieu)

 

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■最初の山岳ステージでマイヨ・アポワはニルスンが守ったが、総合2位のポガチャルとはたった1ポイント差だ (photo : A.S.O./Hervé Tarrieu)

 

第8ステージはスイスのローザンヌでカテゴリー3のアップヒルゴール

ツール・ド・フランス2022

●第8ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
7月9日はドールをスタートし、隣国スイスに越境してローザンヌのオリンピック・スタジアムの丘でゴールする、丘越え区間の第8ステージが行われる。距離は186.3kmで、途中カテゴリー4と3の丘を3カ所越える。ゴールとなるカテゴリー3のオリンピック・スタジアムの丘は標高604mで、全長4.8km、平均勾配4.6%だ。
 

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(photo : A.S.O./Charly Lopez)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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