ツール・ド・フランス2022 石畳区間の第5ステージはクラークが初優勝/ログリッチが落車で遅れた

  • photo A.S.O./Pauline BALLET/Charly Lopez / ©SprintCycling

フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月6日にリール・メトロポールからアランベール(ポルト・デュ・エノー)までの157kmで、石畳区間の第5ステージを競い、オーストラリアのサイモン・クラーク(イスラエル・プルミエテック)が、逃げグループでのゴールスプリントを制して区間初優勝を果たし、チームに初のツール区間優勝をもたらした。
 

ツール・ド・フランス2022

■35歳のクラークが逃げグループのゴールスプリントを制し、チームにツール区間初優勝をもたらした (©SprintCycling)

 
区間2位はオランダのタコ・ファンデルホールン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)、3位はノルウエーのエドワルド・ボアッソンハーゲン(トタルエナジーズ)だった。

マイヨ・ジョーヌを着たベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)は、1分4秒遅れの集団でゴールし、総合首位を守った。しかし、チームメートのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)は落車に見舞われ、3分近く遅れてしまった。
 

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■マイヨ・ジョーヌはヴァンアールトが守った (photo : A.S.O./Charly Lopez)


波乱の石畳ステージ

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●第5ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
11カ所の石畳セクターに挑む、ミニ・パリ〜ルーベ区間の第5ステージは、176選手が出走。オフィシャルスタートの合図と同時にアタックが始まり、ファンデルホールン、ボアッソンハーゲン、そしてこの日は山岳賞ポイントはなかったが、マイヨ・アポワのマウヌスコート・ニルスン(EFエデュケーション・イージーポスト)が逃げ出した。

この3人に、21km地点でクラーク、ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)、アレクシー・グジャール(B&Bホテルズ・KTM)が合流し、逃げは6人になった。集団はこの時、1分15秒遅れていた。57km地点でマイヨ・ジョーヌを着たヴァンアールトが落車する事故が発生したが、彼は最初の石畳セクターに入る前に集団に戻った。
 

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■スタートしてすぐに6人が逃げ出した (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
ゴールまで残り77.3kmで、最初のセクター11の石畳がスタートした時、6人の逃げグループと集団のタイム差は3分34秒だった。マイヨ・ジョーヌのヴァンアールトは、集団の後方を走っていた。

残り50kmでベン・オコナー(AG2R・シトロエン チーム)が機材故障に見舞われ、最初に集団から脱落した。さらに、区間優勝候補だったペテル・サガン(トタルエナジーズ)やマテュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)も、セクター9の石畳で遅れていた。

セクター6の石畳が始まる前の残り37kmで、ヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)がパンクで遅れてしまい、マイヨ・ジョーヌのヴァンアールトは彼を待ってサポートに回った。しかし、ユンボ・ヴィスマの不運はそれで終わらなかった。集団に居たログリッチが落車に見舞われてしまったのだ。チーム発表によれば、この時ログリッチは脱臼した肩を自分で直し、レースを再開したという。

ゴールまで残り30kmでセクター5の石畳が始まり、逃げグループはグジャールが遅れて5人になった。1分半遅れていた集団は、この4つ星が付けられた石畳で新人賞のマイヨ・ブランを着たタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)がアタックを開始した。残り23kmで、逃げグループとポガチャルの集団は1分8秒差、マイヨ・ジョーヌのヴァンアールトとヴィンゲゴーの集団は1分48秒差、チームメイト3人に引かれたログリッチは4分差だった。
 

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■ストゥイヴェンのアタックに付いて行くマイヨ・ブランのポガチャル (©SprintCycling)

 
ポガチャルの集団では、ゴールまで残り18.5kmのセクター3の石畳で、ヤスペル・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)がアタックし、ポガチャルが付いていった。2人はそのまま差を付け、先頭の5人を追った。しかし、タイム差は意外に縮まらなかった。

先頭の逃げグループは、残り5.5kmでマイヨ・アポワのニルスンが遅れて5人になった。4人でのゴールスプリントになればボアッソンハーゲンが有利と見たパウレスは、残り1kmのフラム・ルージュの手前でアタック。逃げグループの先頭に居たボアッソンハーゲンは一瞬戸惑ったが、残り400mでパウルスを捕まえる事ができた。しかし、彼にはもうスプリントをする脚は残っていなかった。

最後はスパートしてボアッソンハーゲンを抜き去ったファンデルホールンを、ベテランのクラークがフィニッシュラインで差し、区間初優勝をもぎ取った。彼は7月18日の休養日に、36歳の誕生日を迎える。

逃げグループで最も総合が上位で、1分13秒差だったパウレスは、このステージで総合首位に立ち、マイヨ・ジョーヌを獲得する可能性があった。しかし、一時は2分半遅れていたヴァンアールトの集団は、結局1分4秒遅れでゴールしたため、パウレスは13秒差でマイヨ・ジョーヌを逃してしまった。
 

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■石畳が始まる前に落車したヴァンアールトは、チームのアシストに徹した (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
■35歳でツール区間初優勝を果たしたクラークのコメント
「冬が終わった後、ボクはチームがなかった。それからイスラエル・プルミエテックが電話をくれて、チャンスを与えられた。今日は機会を得れば何だって起こり得るという、現実の確認だ。このツールの最初の数日間、ボクはチームの仕事をしていた。でも今朝、監督が「クラーキー、今日は逃げの日だぞ!」って言ったんだ。

ブエルタでの区間優勝やジロでのマリア・ローザは、全て最初の1週間に得ていた。だから今日はおそらくその日だって思ったんだ。でも、それでもまだ信じられないよ。ファンデルホールンを追い越したのは、50m未満だった。自転車を可能な限り投げ出した。ブエルタでの区間優勝は似たようなゴールだった。後ろで待って、他の選手たちが前で力尽きる事を願った。

レースをするために、16歳でヨーロッパに移住した。ツールの2度目の休養日には36歳になる。20年が経過して、今、この夢が実現した。(TVカメラに向き直って)やあ、オーストラリアのみんな、長年に渡るサポートに感謝しているよ!」
 

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■チームメイトと勝利の喜びを分かち合うクラーク (photo : A.S.O./Pauline BALLET)


■第5ステージ結果

[7月6日/リール・メトロポール~アランベール/ポルト・デュ・エノー/157 km]
1. SIMON CLARKE (ISRAEL-PREMIER TECH / AUS) 03h 13′ 35”
2. TACO VAN DER HOORN (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / NED)
3. EDVALD BOASSON HAGEN (TOTALENERGIES / NOR) + 00′ 02”
4. NEILSON POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA) + 00′ 04’’
5. MAGNUS CORT NIELSEN (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN) + 00′ 30”
6. JASPER STUYVEN (TREK – SEGAFREDO / BEL) + 00′ 51’’
7. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 00′ 51’’
8. JASPER PHILIPSEN (ALPECIN – DECEUNINCK / BEL) + 01′ 04”
9. FABIO JAKOBSEN (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / NED) + 01′ 04”
10. LUCA MOZZATO (B&B HOTELS – KTM / ITA) + 01′ 04”
16. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) + 01′ 04”
61. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 02’ 59’’
81. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN – DECEUNINCK / NED) + 03’ 48’’

■第5ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) 16h 17’ 22’’
2. NEILSON POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA) + 00′ 13’’
3. EDVALD BOASSON HAGEN (TOTALENERGIES / NOR) + 00′ 14’’
4. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 00′ 19’’
5. YVES LAMPAERT (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / BEL) + 00′ 25’’
6. MADS PEDERSEN (TREK – SEGAFREDO / DEN) + 00′ 36’’
7. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 00′ 40’’
8. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 48’’
9. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 49’’
10. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 50’’
44. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 02’ 36’’

[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
(※第6ステージは FABIO JAKOBSEN (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / NED) が着用)
■山岳賞 : MAGNUS CORT NIELSEN (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : MAGNUS CORT NIELSEN (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN)
 

第6ステージは隣国ベルギーからスタート

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●第6ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
7月7日はベルギー南部ワロン圏のバンシュをスタートし、フランスに戻ってロンウィにゴールする220kmで、丘越え区間の第6ステージが行われる。
 

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(photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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