パリ~ルーベ2021は欧州チャンピオンのコルブレッリが初優勝

  • photo ©Bettiniphoto / A.S.O.

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)で延期になっていた、第118回パリ~ルーベ(UCIワールドツアー)が10月3日に北フランスで開催され、イタリアチャンピオンでヨーロッパチャンピオンのソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)が、初参加で初優勝を果たした。
 

パリ~ルーベ2021

欧州チャンピオンのコルブレッリがヴェロドロームのゴール勝負を制した(©Bettiniphoto)

イタリア出身の選手がパリ~ルーベで優勝したのは、1999年のアンドレア・タフィ以来だった。2位はベルギーのフロリアン・ヴェルメールシュ(ロット・スーダル)、3位はオランダのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)だった。
 

パリ~ルーベ2021

初参加で初優勝したコルブレッリ。イタリア人が勝ったのは1999年のタフィ以来だった


土砂降りのスタート

パリ~ルーベ2021

土砂降りのコンピエーニュを出発する選手たち

昨年は中止になり、史上初めて秋に開催された今年のパリ~ルーベは、20年ぶりでスタートから土砂降りの悪天候に見舞われた。コースには30カ所の石畳セクターが設定され、その総距離は55kmだった。序盤からアタックが続いた後、47km地点で31人が逃げ出し、58kmで集団に1分差を付けた。落車やパンクで28人に減った先頭集団は、96.3km地点の最初の石畳に到着した時、集団に1分50秒差を付けていた。

ゴールまで残り143kmの石畳セクター27の出口で、先頭集団からルーク・ロウ(イネオス・グレナディアズ)、マックス・ヴァルシャイド(チームクベカ・ネクストハッシュ)、ヴェルメールシュ、ニールス・エーコフ(チームDSM)が抜け出した。彼らはここでメイン集団に2分半のタイム差を付けていた。

石畳セクター24でロウが遅れ、ヴァルシャイドも落車し、先頭はヴェルメールシュとエーコフの2人になった。レース後半は雨も上がり、時折太陽も顔を出したが、石畳にはあちらこちらに大きな水たまりが残り、路面は滑りやすくなっていた。石畳セクター19のアランベールに到着した時、先頭の2人は後続に40秒、メイン集団に1分40秒差を付けていた。
 

パリ~ルーベ2021

47km地点で逃げ出した集団にヴェルメールシュも加わっていた

2.3km続くアランベールの石畳で、10人ほどのメイングループはファンデルプールが引き続けた。後方を走っていたベルギーチャンピオンのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)は、前を走っていた選手の落車で遅れを取ってしまった。アランベールを通過後、メイングループにはファンデルプール、コルブレッリ、カナダチャンピオンのギヨーム・ボワヴァン(イスラエル・スタートアップネーション)が含まれ、ヴァンアールトは20秒ほど遅れていたが、彼はすぐに追いついた。

先頭の2人はゴールまで残り83kmで後続グループに捕まり、先頭は13人になった。メイングループからはコルブレッリがアタックし、合流したジェレミー・ルクロック(B&Bホテルズ・P/B KTM)と一緒に先頭の逃げを追った。ファンデルプールは残り74kmで自転車を交換したが、すぐレースに復帰した。先頭集団は石畳セクターを通過するたびに小さくなっていった。

ゴールまで残り70kmの石畳セクター15でファンデルプールがアタックし、イヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ)だけが反応したが、付いて行く事はできなかった。ファンデルプールは2km先でコルプレッリのグループに合流した。

 
モスコンが独走

パリ~ルーベ2021

レース終盤、独走で逃げ続けたモスコン(©Bettiniphoto)

先頭は残り63kmの石畳セクター14で、ヴェルメールシュ、ジャンニ・モスコン(イネオス・グレナディアズ)、トム・ヴァンアスブロック(イスラエル・スタートアップネーション)の3人になった。ここから残り53kmの石畳セクター12でモスコンがアタックし、独走を開始した。

ゴールまで残り50kmで、先頭はモスコンが独走し、ヴェルメールシュとヴァンアスブロックが追い、1分差でファンデルプール、コルブレッリ、ボワヴァンが続いた。モスコンは難易度の星が5つのモン・サン・ペベールの石畳セクター11も難なく通過し、ゴールまで38kmで、ヴェルメールシュとヴァンアスブロックを捕まえたファンデルプールのグループに1分半のタイム差を付けていた。

このまま逃げ切る可能性もあるのではないかと思われた残り30kmで、モスコンは不運にも後輪のパンクに見舞われてしまい、自転車を交換しなければならなくなった。リズムが崩れ、代車にも不安があったモスコンは、石畳でスリップして転倒し、もう一度自転車を交換しなければならなくなった。

モスコンはわずかなタイム差で逃げ続けたが、ゴールまで残り16kmのカルフール・ダルブルの石畳セクター4でファンデルプールのグループに吸収された。その瞬間にカウンターでコルブレッリがアタックしたが、ファンデルプールはそれを許さなかった。ここでモスコンは遅れ、先頭はファンデルプール、コルブレッリ、そして47km地点から逃げ続けていたヴェルメールシュの3人になった。
 

パリ~ルーベ2021

泥まみれでゴールを目指すコルブレッリ、ファンデルプール、ヴェルメールシュ

ヴァンアールトのグループは1分以上後方で、この3人の誰かが今年のルーベの勝者になる事は確実になった。意外にも彼らは全員、パリ〜ルーベ初参加だった。ゴールのヴェロドロームへと続く残り3kmの直線道路で、ヴェルメールシュがアタックを仕掛けたが、これは決まらなかった。勝負は1.5周するヴェロドロームに持ち込まれ、最後は22歳でまだ大学生のヴェルメールシュが最初にスプリントを開始したが、ベテランのコルブレッリが抜き返し、先頭でフィニッシュラインを通過した。

悪天候に見舞われた第118回大会は、出走194人中、完走できたのは95人だった。

■初参加で初優勝した31歳のコルブレッリのコメント
「これは初めてのパリ〜ルーベだ。雨が降った伝説のパリ~ルーベだったから、とても嬉しい。モスコンは200km先頭に居て、ものすごく強かった。アランベールの後で、ボクはファンデルプールに付いて行った。とても難しかった。最初の石畳セクターでの落車の後、ボクは自分が居たグループの前に居続けた。最後は素晴らしいスプリントをやった。ロット・スーダルの選手には驚かされたが、ボクは最後の25mでジャンプしたと思う。物凄い僅差だった。自分の夢のレースでは、ロンド・バン・ブラーンデレンが1番で、パリ〜ルーベが2番なんだ。今年はボクの年だ。とても嬉しいよ」
 

パリ~ルーベ2021

パリ〜ルーベ2021の表彰台。左から2位のヴェルメールシュ、優勝したコルブレッリ、3位のファンデルプール。全員が初参加だった

第118回パリ~ルーベ 結果
[10月3日/UCIワールドツアー/フランス/257.7km]

1. SONNY COLBRELLI (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) 06H 01′ 57”
2. FLORIAN VERMEERSCH (LOTTO SOUDAL /BEL)
3. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN – FENIX /NED)
4. GIANNI MOSCON (INEOS GRENADIERS/ ITA) + 00′ 44”
5. YVES LAMPAERT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / BEL) + 01′ 16”
6. CHRISTOPHE LAPORTE (COFIDIS / FRA) + 01′ 16”
7. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) + 01′ 16”
8. TOM VAN ASBROECK (ISRAEL START-UP NATION /BEL)+ 01′ 16”
9. GUILLAUME BOIVIN (ISRAEL START-UP NATION /CAN)+ 01′ 16”
10. HEINRICH HAUSSLER (BAHRAIN VICTORIOUS /AUS) + 01′ 16”
 

パリ~ルーベ2021

雨にも関わらず、アランベールには大勢の観客が詰めかけていた

パリ~ルーベ公式サイト