群馬CSCロードday2&3 連戦二日目の短いレースを兒島が制す
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9月25日(土)、前日に続き群馬サイクルスポーツセンターにてJプロツアーのレースが行われた。前日とは違い、6kmのコースを12周の72kmという短い距離で勝負を展開させたのは、またしてもチームブリヂストンサイクリングだった。
スプリントに持ち込んだブリヂストンが兒島直樹を発射し、勝ち切った。
7人の逃げと集団
夜のうちに降った雨がアスファルトの色を変え、20℃前後の気温に一気に季節の変わり目を感じるほどであった。
前日と同じく6kmのコースを12周、逆回りする72kmのレースが行われた。
午前中にも少し雨が降ったが、Jプロツアーがスタートする12時30分に雨は止んでおり、雲が上空を厚く覆いながらも午前中よりも明るさが出てきていた。
スタートを切ると、前日と同じくアタック合戦が始まる。2周目で早速、中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)、中井唯晶(シマノレーシング)、床井亮太(同チーム)、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)、安原大貴(同チーム)、山本哲夫(チームブリヂストンサイクリング)、大前翔(愛三工業レーシングチーム)、當原隼人(同チーム)の8人の逃げグループができあがったが、次の周回で當原がドロップし、逃げは7人となった。
コントロールするブリヂストン
「うちは今日は若い子で行きます」
スタート後、そう話したチームブリヂストンサイクリングの宮崎景涼監督は、特定の選手をエースとして置かず、経験を積ませるために多くのメンバーにエースを任せた。今回のレースのエースは、兒島直樹と河野翔耀の大学生2人に託していた。
逃げとのタイム差は30秒ほど。集団では、前日に勝利した今村駿介を中心として、チームブリヂストンサイクリングが先頭を固め、前を追った。
6周目で一度タイム差は20秒ほどに縮まるが、また30秒〜40秒ほどまで開く。
そのまま逃げグループは順調に回っていくが、8周目には大前が集団へと戻った。逃げグループは6人となる。
ラスト3周、チームブリヂストンサイクリングのメンバーに愛三工業レーシングチームの中川拳が加わり、牽引を行うメイン集団とのタイム差は15秒ほどまでに縮まった。
10周目になると、マンセボが逃げグループから単独で飛び出す。
マンセボと共に逃げグループにいた床井は、同じく逃げにいたスプリンターの中井を温存させるべく立ち回っていたが、この飛び出しには付けなかった。
「追おうと思ったんですけど、もうマンセボさんの脚が違いすぎて」
床井はそう話した。
途中、下り区間でU23ジャージを着用する山本の落車もあり、マンセボ以外の逃げグループにはストップがかかり、集団へと戻ることとなった。
前を追っていたチームブリヂストンサイクリングとしては、マンセボが単騎で飛び出したことは想定外だったが、それでも追い続けた。ブリヂストンの橋本英也はこう振り返る。
「他のメンバーがパラパラ落ちてきたところで、マンセボだけは同じようなペースでずっと踏んでいたので、やはり強いなと思いましたね。でもそこで止まらずに、マンセボが逃げてるってことを共有して、アクセルを緩めなかったのがよかったと思います」
11周目に入る頃、集団がマンセボを目視できる位置まで詰めた。
上り区間で、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)、渡邉歩(愛三工業レーシングチーム)、大町健斗(エンシェアレーシングチーム)、尾形尚彦(シマノレーシング)が集団から飛び出し、マンセボをパスするが、それもラスト1周に入るコントロールライン付近で吸収された。
ラスト1周、下りきったところで織田聖がアタック。
「BS(チームブリヂストンサイクリング)とスプリントするのは分が悪いので。あそこ(上り)でアタックかかるのは普通なんで、それだったらちょっと違うところでやろうと思って、下り切って一番下でアタックしたんですけど。マトリックスの小森(亮平)さんがちょっと最初前にいたんですよ。それが見えて、降ってきたんで、発射台にして使ったんですけど、BSにうまくまとめられちゃいました。思いのほか自分が伸びなかったのと、集団が止まらなかったです」
最後の上りに入るところで織田も吸収された。
最後のバックストレートを湯浅博貴(エカーズ)を連れた松田祥位(エカーズ)を先頭にして、チームブリヂストンサイクリングのメンバーが連なる。その後ろには、このレースでマトリックスパワータグのエースを任されていた吉田隼人や、愛三工業レーシングチームの草場啓吾や岡本隼が続く。
吉田はスプリントに向けての位置取りの難しさを改めて噛み締めていた。
「割り込んでも一個一個脚使うんで、そこで番手取っても、それまでが30秒〜1分ぐらい位置取りに使ってるから、もうもがく脚はなかったですね。僕は結果的に、それを一歩引いて見てる愛三のアシストみたいな形になりましたね。調子自体は悪くなかったですけど、今まで本当に守られてきてるなっていうが分かりました。あれだけしんどいの、位置は取れてももがけなかったです」
各チームが位置取りをする中、枚数を揃えたチームブリヂストンサイクリングの橋本がフィニッシュへと向かう最終コーナーを先頭で入り、後ろにつけた河野と兒島を発射。橋本が「本当に絵に描いたような展開」と話すように、フィニッシュラインから見えるラスト100mで河野からさらに発射された兒島がスプリントを開始した。
その時点で一人前に出ている状態で、その後ろには草場、横山航太(シマノレーシング)が続いたが、兒島に並ぶことはできず。ラスト数mを振り返りつつ、勝利を確信した兒島は、両手を掲げ、叫んだ。
初勝利の喜び
Jプロツアーはもちろん、ロードレースでの勝利が初めてだったと話す兒島は、「全然叫ぶことなんかないんですけど、ゴールした瞬間すごいうれしくて叫んじゃいました」と笑顔を見せた。
「距離も短くて、エース任せてもらったので、最後はもう全力でいこうと思っていて。勝てて良かったです。最初の方から最後の方までずっとBSがコントロールしてた中、最後の残り2〜3周とかで周りの選手も結構前に上がってきたので、結構自分の中でプレッシャーはあったんですけど、先輩たちが最後まで僕をお膳立てしてくれたので、勝つしかないと思って全力でもがきました」
トラック競技やMTBなど他競技でも活躍する選手ばかりのチームブリヂストンサイクリングがレースごとにエースをかえながらスプリントに向けて動くと、やはり他チームとしては厳しいものがあるとマトリックスの吉田は話す。
「しかも今村とかで(勝負に)来られたら楽なんですけど、今村を使うから。普通じゃないことをしてくるから、今BSは、余計それがうまいことハマってますね。普通だったら今村エースで来るじゃないですか。一番脚ある人間を使ってくるから。あれはすごいですよ」
集団をコントロールする、エースを任せられるなど、さまざまな経験ができることはチームの強みでもある。今回初優勝した小島も、「このチームは本当にいろんな役割をいただけています。僕、ロードレースの経験浅い方なので、すごい経験になります」と話した。
JBCF 群馬CSCロードレース 9月 Day2 リザルト
1位 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)1時間43分51秒
2位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)+0秒
3位 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)+0秒
4位 湯浅博貴(エカーズ)+0秒
5位 横山航太(シマノレーシング)+0秒
三日間、ブリヂストンの三連勝
雨が降り、気温が大幅に下がった9月26日(日)の三日目は、正まわりのコース20周、120kmで争われた。レース序盤でできた11人の逃げは人数を減らしながらラスト1周で捕まり、集団をコントロールしたチームブリヂストンサイクリングの今村が集団スプリントを制した。初日に続き、強さを見せつけた。
3日間の総合首位は、初日6位、二日目2位、三日目3位という結果を残した岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が獲得している。
JBCF 群馬CSCロードレース 9月 Day3 リザルト
1位 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)3時間3分9秒
2位 天野壮悠(シマノレーシング)+0秒
3位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)+0秒
4位 香山飛龍(弱虫ペダルサイクリングチーム)+0秒
5位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)+0秒