新たなトラックリーグ、ピストシックスが10月2日よりスタート!

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9月8日、東京・原宿クエストホールにてPIST6 Championship(ピストシックス チャンピオンシップ:以下ピストシックス)開幕に関する記者会見が行われた。
このピストシックスは、千葉競輪場跡地に新たに建設された木製250mバンク「千葉JPFドーム」を使用して行われる全く新しいトラックトーナメントだ。
 
静岡県にある伊豆ベロドローム、日本競輪選手養成所内にあるJKA250バンクに続き、日本で3つ目の木製250mバンクとなる千葉JPFドームは、JKA250と同じピーター・ジュネック氏の設計で「世界最高のスピードが出るように」と作られた。
 

新たな250mバンク

 
千葉JPFドームの外観

千葉JPFドームの外観

 
 
 
250m木製走路は日本で3つ目

250m木製走路は日本で3つ目

 
千葉JPFドームがある千葉市の市長、神谷俊一氏は、オンラインで会見に登場し、こう話した。
「戦災復興のために昭和24年に始まった千葉競輪が250競走として生まれ変わり、新たな歴史を刻み始めることになりました。記念すべきスタートは10月2日と3日の土日からです。1周250mの木製バンクを舞台に、オリンピックや世界選手権などの国際ルールに基づいて行われる国際スポーツと公営競技を融合させた世界初の取り組みです。競輪や自転車競技の新しい魅力を感じていただけるのではないかと思っています。
 
国際的に活躍できる選手の育成や国際大会も開催可能となります。練習環境を作るほか、新たなファン層の獲得で、競輪事業の発展をさせていければと思います。また、”観るスポーツ”としての意味を高めつつ、競輪の魅力を高めていきたいと思います。
 
徹底した感染対策のもと、まずは無観客での開催となりますが、新型コロナウイルスが落ち着いた後は、新たなスポーツを楽しんでもらい、新しい千葉公園を実感してもらいたいと思います」
 

ピストシックス概要

年間チャンピオンに与えられるトロフィーは、ニューヨークに拠点を置く松山智一氏がデザイン

年間チャンピオンに与えられるトロフィーは、ニューヨークに拠点を置く松山智一氏がデザイン

 
オリンピック種目にもなっているトラック競技の「ケイリン」は、もともとは日本の「競輪」が発祥だが、現在ではルールも使用機材も環境も大きく異なる。(例えば、競輪ではスチールフレーム、ケイリンではカーボンフレームを使用。ケイリンでは完全個人戦、競輪はラインと呼ばれるある種チーム戦の要素があったりする。)
 
このピストシックスでは、トラック競技のケイリンに基づくUCIルールで行われ、カーボンフレームに乗った6人の選手が6周で争う個人戦となる。なお、競輪と同じく公営競技として賭ける対象となるため、日本の公営競技法に準じた形で行うという。
 
新田と脇本がトロフィーを囲う

新田と脇本がトロフィーを囲う

 
土日を中心に開催され、昼夜2部制の1日あたり12レースが行われる予定だ。年間では1200レースを予定する。
さらに、来年からは1年間を4シーズンに分け、それぞれのシーズンのファイナリストが年間ファイナルであるピストシックスチャンピオンシップに進出。そこでの優勝者が年間チャンピオンとしての称号を与えられる。
 

競輪とトラック競技の最大化へ

左からミクシィ代表取締役社長木村弘毅氏、脇本雄太選手、新田雄大選手、PIST6代表取締役鈴木千樹氏、JPF代表取締役渡辺俊太郎氏が会見に登壇した

左からミクシィ代表取締役社長木村弘毅氏、脇本雄太選手、新田雄大選手、PIST6代表取締役鈴木千樹氏、JPF代表取締役渡辺俊太郎氏が会見に登壇した

 
ピストシックスを開催する狙いとしては、「競輪」の新規ファン獲得、ならびにオリンピックや世界選手権など、国際大会で活躍する日本人選手の育成によって、日本における自転車競技界の発展させることだ。
 
JPF代表取締役の渡辺俊太郎氏は、「競輪選手のステータスを上げて、日本を自転車大国にすることが我々JPFの思いです」と語った。日本の競輪選手たちは、実力的にも獲得賞金を見ても日本トップのアスリートと言えるはずだ。しかし、競輪を知っている人あるいはトラック競技を知っている人にしか競輪選手の価値が伝わりにくい側面も多くある。
 
観客と走路との間には仕切りがないため、スピード感を直に感じることができる

観客と走路との間には仕切りがないため、スピード感を直に感じることができる

 
千葉駅から徒歩15分とアクセスも良い場所に250mバンクができたことにより、選手たちは日頃から国際大会と同じ規格のトラックで強化ができるさらには子供から年配者まで一般サイクリストたちの交流の場にもしていきたいと渡辺氏は話す。
「将来的には、千葉JPFドームで世界のトップ選手と日本のトップ選手が争うレースを開催したい。ロードレースならツール・ド・フランス、トラックはピストシックスと言われるようにしていければ」と語った。
 
なお、普及という観点から、子供たちや若者にもこのピストシックスを多く見てもらうため、千葉JPFドーム内に車券を購入する車券売り場を設けないことを決めた。しかも走路と観客席には仕切りがなく、選手たちが走るスピード感を間近に感じることができる。
車券に関しては、ミクシィが運営する「TIPSTAR」にてキャッシュレスで購入する仕組みとした。また、場内の飲食店でも払戻金で支払いができるなど、キャッシュレスに対応するサービスを導入する。
 
出場するのは、日本の競輪選手だけではない。(ちなみに競輪選手の級班も混合。)デニス・ドミトリエフ(ロシア)など、トラック競技の国際大会を走るような海外選手たちも出場を予定している。
トラック競技は興味があるけど、競輪には馴染みがないという人にとってはうってつけのレースとなるはずだ。
 

新田コメント

 
ピストシックスに出場を予定しているオリンピックを走り終えたばかりの新田祐大、脇本雄太も会見に登壇した。
新田は、このトーナメントについて、そしてもたらすであろうものをこう語った。
 
「新しい形の自転車競技という形になっていくと思うんですけど、まずエンターテイメントとしての競輪、自転車競技としてのケイリンが新しい世代にも注目されるような大会になるのではないかなと期待しています。
 
世界のトップライダーたちが日本に集まり、その先にある世界の頂を目指すきっかけになる大会になると思います。日本で行われるということは、日本人に対してもすごく強みになると思いますし、今後、自転車であったり、スポーツに興味を持つきっかけにもなると思います」
 
さらに、世界を目指すにあたって、ピストシックスが行われることによるメリットを話す。
「イメージですけど、毎週末国際大会が行われるような感じだと思います。自転車競技は、大会自体がそう多く行われていないのが現状でした。
僕たち競輪選手は、日本の競輪のルールの中で走ることはあったんですが、これが国際ルールでの戦いとなるとなると、機材の違いがあったり、必然的にスピードが上がったりするんじゃないかなと思います。
 
あとは、木製250mバンクでベッティングをされる機会がなかったので、今後、大きな賞金もあるということで、世界を目指す選手たちが本気で戦える状況になるのではないかなと思います。高みを目指すことによって資金も調達できるということで、さらに上を目指し続けられる環境ができるのではないかなと感じています
 

脇本コメント

 
脇本もこのピストシックス開催についてこう語った。
「今まで公営競技であった競輪と、競技のケイリンは別のものと認識していて、オリンピックにルールも準拠すると聞いているので、よりレベルを向上させるために僕はいい形だと思っています。
 
トップクラスの選手たちが日本に来る機会があるということで、オリンピックとはまた別の意味で盛り上がるレースが行われることは、僕自身も期待でいっぱいです。
オリンピックがあったので、参加資格をまだ取得していないんですが、機会があれば参加して、こういう競技の方でも盛り上がっていけたらなと思っています。
 
今まで(競技の)国際大会が日本で行われる機会は、あっても年に1回か2回でした。その機会が増えることによって、全く同じルールではないにせよ、日本の競技レベルが向上することを期待しています。僕自身も競技を経験して、世界で戦ってきた中で、レベルの向上を感じたので、それだけ大きな影響があると思っています」
 
初戦は10月2日から。出場選手などはまだ決まっていないが、ピストシックスのHP(https://www.pist6.com/)や公式ツイッター(https://twitter.com/pist6_official/などで情報更新を待ちたい。