山岳区間のブエルタ・ア・エスパーニャ2019第7ステージは世界チャンピオンのバルベルデが区間優勝/ロペスが総合首位
目次
スペインで開催中の第74回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、2019年8月30日にオンダからマス・デ・ラ・コスタまでの183.2kmで今年最初の山岳区間だった第7ステージを競い、世界チャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)が、カテゴリー1の頂上ゴールを制して区間優勝した。これで彼のブエルタでの区間優勝は通算12勝になった。
区間2位はプリモシュ・ログリッチェ(チームユンボ・ビスマ)で、6秒遅れの区間3位に入ったコロンビアのミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)が三度総合首位に立った。
ジルベールとエナオが最後の坂まで逃げ続けた
第7ステージは168選手が出走。前日に落車して負傷したイタリアチャンピオンのダヴィデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグローエ)がスタートしなかった。オフィシャルスタートからアタックが続いたが、抜け出せる選手は出ず、最初の1時間の平均時速は49.8km/hになった。
この過酷なレース展開で、前日に落車した米国のティージェイ・ヴァンガードレン(EFエデュケーションファースト)もレースを途中リタイアしてしまった。
60kmの過酷なレースの後、やっと8人が集団から逃げ出すことに成功した。メンバーはイェーレ・ワライス(ロット・スーダル)、フィリップ・ジルベール(ドゥクーニンク・クイックステップ)、セルヒオ・エナオ(UAEチーム・エミレーツ)、ステファヌ・ロセット(コフィディス)、カンタン・ジョレギ(AG2R・ラモンディアル)、ジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレード)、マイケル・ストーラー(チームサンウェブ)、セバスティアン・エナオ(チームイネオス)だった。
83km地点でトマシュ・マルチンスキー(ロット・スーダル)とシリル・バルト(エウスカディバスクカントリー・ムリアス)が合流し、先頭は10人の逃げグループになった。中盤に越えた3つの峠は全てセルヒオ・エナオが先頭で通過し、山岳賞ポイントを稼いだ。集団はバーレーン・メリダがコントロールしていたが、残り65km地点で逃げのタイム差が5分に近づくと、モビスターチームが先頭を引き始めた。
ゴールまで残り32kmで、10.4km続くカテゴリー2のプエルト・デル・サルトの上り坂がスタート。ここで逃げグループからジルベールとセルヒオ・エナオがアタックし、マルチンスキーが追いついて先頭は3人になった。マルチンスキーはすぐに脱落したが、ジルベールとエナオは逃げ続けた。集団ではプエルト・デル・サルトが始まると、総合リーダーのラ・ロハを着たディラン・トゥーンス(バーレーン・メリダ)が遅れ始めた。
先頭は山頂の手前でブランビッラとセバスティアン・エナオが追いついて4人になった。ゴールまで残り22kmの山頂もセルヒオ・エナオが先頭で通過したが、山岳賞総合リーダーのアンヘル・マドラソ(ブルゴス・BH)にはまだ追いつけなかった。山頂で集団は1分半遅れていた。
ゴールまで残り13kmを切ったところで、先頭からジルベールがアタック。しかし、セルヒオ・エナオだけは振り切ることができなかった。メイン集団はアスタナプロチームが先頭を引き始め、タイム差はじわじわと縮まっていった。
残り4.1kmでゴールへと続くアルト・マス・デ・ラ・コスタの上り坂が始まった時、ジルベールとエナオのアドバンテージはたった22秒しかなかった。2人は400m上った所でチームユンボ・ビスマが引くメイン集団に吸収されてしまった。
アルト・マス・デ・ラ・コスタの上り坂で、先頭のメイン集団はすでに10数人に絞られていた。残り3kmでキンタナがアタックし、ついて行けたのはログリッチェ、バルベルデ、ロペスだけだった。20%という勾配の坂でキンタナはアタックを繰り返し、ライバルたちのエネルギーを削っていった。
そして残り300mで、満を持してアルカンシエルのバルベルデが先頭に出ると、そのままフィニッシュラインまで誰にも先頭を譲ることはなかった。
ラ・ロハを着ていたトゥーンスは10分近く遅れてゴールし、前日まで総合2位だったダビ・デラクルス(チームイネオス)も15分以上遅れてしまった。今年のブエルタで初日にラ・ロハを着たロペスは再び総合首位に戻った。
今年最初の山岳区間を終えて、総合成績はラ・ロハのロペスにログリッチェが6秒遅れ、バルベルデが16秒遅れ、キンタナが27秒遅れという展開になった。
■39歳で12回目のブエルタ区間優勝を果たした世界チャンピオンのバルベルデのコメント
「まず第一に、チームの素晴らしい働きに感謝したい。特にキンタナの最後の上りでの手助けに。我々はログリッチェとロペスを脱落させたかったが、彼らもとても強く、不可能だった。我々はずっと良いペースを保ち、それがこの勝利を得るのに役立った。
ボクはこのレースでベスト4の1人だと思うから、勝てると確信していた。おそらくボクにはこの勝利が必要だった。勝っても勝たなくても、どちらでもOKだったが、ボクには勝てる脚があり、今日は勝ちたかった。アルカンシエルを着ていると、さらに特別だ。このブエルタはまだ(区間が)たくさん残っているが、今日のトップ4が現時点で最強だろう」
■第7ステージ結果[8月30日/オンダ~マス・デ・ラ・コスタ/183.2km]
1. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) 04H 34′ 11”
2. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO)
3. MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL) + 06”
4. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) + 06”
5. RAFAL MAJKA (BORA – HANSGROHE / POL) + 42”
6. ION IZAGUIRRE INSAUSTI (ASTANA PRO TEAM / ESP) + 48’’
7. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 51”
8. FABIO ARU (UAE TEAM EMIRATES / ITA) + 51”
9. GEORGE BENNETT (TEAM JUMBO – VISMA / NZL) + 01′ 07”
10. OSCAR RODRIGUEZ GARAICOECHEA (EUSKADI BASQUE COUNTRY – MURIAS / ESP) + 01′ 20”
42. DYLAN TEUNS (BAHRAIN – MERIDA / BEL) + 09′ 46”
71. DAVID DE LA CRUZ MELGAREJO (TEAM INEOS / ESP) + 15′ 41”
159. YUKIYA ARASHIRO (BAHRAIN – MERIDA / JPN) + 28′ 42”
■第7ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL) 28H 19′ 13”
2. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) + 06’’
3. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) + 16’’
4. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) + 27’’
5. RAFAL MAJKA (BORA – HANSGROHE / POL) + 01’58’’
6. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 02’ 36’’
7. JHOAN ESTEBAN CHAVES RUBIO (MITCHELTON – SCOTT / COL) + 02’ 52’’
8. GEORGE BENNETT (TEAM JUMBO – VISMA / NZL) + 03’ 34’’
9. WILCO KELDERMAN (TEAM SUNWEB / NED) + 03’ 36’’
10. FABIO ARU (UAE TEAM EMIRATES / ITA) + 03’ 36’’
130. YUKIYA ARASHIRO (BAHRAIN – MERIDA / JPN) + 01H 07′ 32”
[各賞]
■ポイント賞 : NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL)
■山岳賞 : ANGEL MADRAZO RUIZ (BURGOS BH / ESP)
■新人賞 : MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL)
※第8ステージはTADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)が着用
■チーム成績 : MOVISTAR TEAM
■敢闘賞 : SERGIO LUIS HENAO MONTOYA (UAE TEAM EMIRATES / COL)