ジロ・デ・イタリア2021第4ステージはドンブロウスキーが逃げ切り優勝

イタリアで開催中の第104回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月11日にピアチェンツァからセストラまでの187kmで、中級山岳区間の第4ステージを競い、米国のジョゼフロイド・ドンブロウスキー(UAEチーム・エミレーツ)が雨の中を独走で逃げ切り、グランツール初優勝となる区間初優勝を果たした。

ジロ・デ・イタリア

ドンブロウスキーが逃げ切って区間初優勝を果たした(photo : LaPresse)

総合リーダーのマリア・ローザは、13秒遅れで区間2位に入った地元イタリアのアレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・スタートアップネーション)が獲得した。

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区間2位に入ったデマルキがマリア・ローザを獲得(©Bettiniphoto)


雨天のアペニン山脈越え

第4ステージは183選手が出走。一日中冷たい雨に苛まれる厳しいステージになり、山では悪天候で中継が途切れる場面もあった。スタートと同時にアタックしたのは、ベルギーのクインテン・ヘルマンス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)とヴィクトール・カンペナールツ(チームクベカ・アソス)だった。

逃げ続ける2人に追走グループが追いつき、44.5km地点で先頭は25人の集団に膨らみ、メイン集団とのタイム差はすでに5分以上に開いていた。この逃げ集団で最も総合成績が上位だったのは、32秒遅れで総合11位のネルソン・オリヴェイラ(モビスターチーム)で、次が33秒遅れで総合12位のデマルキだった。

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(photo : LaPresse)

レース中盤からアペニン山脈越えがスタートし、先頭集団からは遅れ始める選手も出始めた。111.8km地点の最初のカテゴリー3の峠は、フランチェスコ・ガヴァッツィ(エオロ・コメタ サイクリングチーム)が先頭で通過した。下りでレイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)、ヘルマンス、クリス・ユール イェンセン(チームバイクエクスチェンジ)の3人が先頭集団から抜け出した。

2つ目のカテゴリー3のモンテモリーノ峠でヘルマンスは遅れ、先頭はタラマエとイェンセンになった。メイン集団はマリア・ローザのフィリッポ・ガンナが所属するイネオス・グレナディアズが引いていたが、逃げる2人とのタイム差は8分以上開いていた。ゴールまで残り43.6kmのモンテモリーノ峠山頂は、タラマエが先頭で通過した。その後ろでは1分遅れの追走グループが形成され、そこにドンブロウスキーとデマルキも生き残っていた。

ゴールまで残り6.8kmで、この日最後のコッレ・パッセリーノ峠(カテゴリー2)の登坂がスタート。26人に絞られたメイン集団からは、ジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が遅れてしまった。先頭では、残り4.3kmでドンブロウスキーとデマルキが先頭の2人に追いつき、すぐにドンブロウスキーがアタックして独走を開始した。

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最後の峠で早くも総合争いの闘いが始まっていた(©Bettiniphoto)

メイン集団で最初にアタックしたのはジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)だったが、誰も追走はしなかった。続いてミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)がアタックしてチッコーネに合流すると、エガン・ベルナル(イネオス・クレナディアズ)、ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング・NIPPO)、アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プルミエテック)が追いつき、5人のグループになった。しかし、そこにサイモン・イェーツ(チームバイクエクスチェンジ)の姿はなかった。

ドンブロウスキーはカテゴリー2のコッレ・パッセリーノ峠を先頭で通過し、そのまま逃げ切って区間初優勝を果たした。総合首位のマリア・ローザには22秒差で手が届かなかったが、彼はこの日、山岳賞のマリア・アッズーラも獲得した。

2012年にアンダー23版のジロ・デ・イタリアで総合優勝した経験があるドンブロウスキーは、翌日が30歳の誕生日で、一日早いバースデープレゼントになった。

第4ステージは10選手が集団から逃げ切ってゴールし、ハンガリー出身で22歳のアティラ・ヴァルタ(グルパマ・FDJ)は、総合5位で新人賞1位になり、マリア・ビアンカを獲得した。

■誕生日前日に区間初優勝を成し遂げたドンブロウスキーのコメント
「ハードな一日だった。逃げが成功するのか確信はなかったが、集団に6〜7分差を付けた時、それを信じ始めた。上りでの最後の数kmでは調子が良いと感じた。だからアタックする事を決め、それは報われた」

■34歳で初めてマリア・ローザに袖を通したデマルキのコメント
「2日前からマリア・ローザを取る事を考え始めていたが、誰にも言わなかった。今日は的席な動きを見つけられるかに尽きた。スタートがトリッキーなのは分かっていた。わずかな運に助けられて、ボクたちはここにいる。言葉を失うよ。マリア・ローザは全ての自転車選手、特にイタリア人にとって子供の頃の夢さ」

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逃げ勝ったドンブロウスキーは山岳賞のマリア・アッズーラも獲得した(©Bettiniphoto)

■第4ステージ結果[5月11日/ピアチェンツァ~セストラ/187km]
1. DOMBROWSKI Joseph Lloyd (UAE TEAM EMIRATES / USA) 4:58:38
2. DE MARCHI Alessandro (ISRAEL START-UP NATION / ITA) +13
3. FIORELLI Filippo (BARDIANI CSF FAIZANE’ / ITA) +27
4. VERVAEKE Louis (ALPECIN-FENIX / BEL) +29
5. TRATNIK Jan (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) +29
6. VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN) +44
7. EDET Nicolas (COFIDIS / FRA) +49
8. OLIVEIRA Nelson (MOVISTAR TEAM / POR) +57
9. TAARAMÄE Rein (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / EST) +1:33
10. JENSEN Christopher (TEAM BIKEEXCHANGE / DEN) +1:36

11. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +1:37
12. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +1:37
13. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +1:37
14. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +1:37
15. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +1:37
16. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +1:48
17. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +1:48
18. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +1:48
19. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +1:48
20. FORMOLO Davide (UAE TEAM EMIRATES / ITA) +1:48
27. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +2:11
28. SIVAKOV Pavel (INEOS GRENADIERS / RUS) +2:11
29. HINDLEY Jai (TEAM DSM / AUS) +2:11
49. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK-STEP / POR) +5:58
158. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +23:06

■第4ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. DE MARCHI Alessandro (ISRAEL START-UP NATION / ITA) 13:50:44
2. DOMBROWSKI Joseph Lloyd (UAE TEAM EMIRATES / USA) +22
3. VERVAEKE Louis (ALPECIN-FENIX / BEL) +42
4. OLIVEIRA Nelson (MOVISTAR TEAM / POR) +48
5. VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN) +1:00
6. EDET Nicolas (COFIDIS / FRA) +1:15
7. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +1:24
8. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +1:28
9. BETTIOL Alberto (EF EDUCATION – NIPPO / ITA) +1:37
10. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +1:38

11. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +1:39
15. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +1:49
16. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +1:49
19. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +2:03
21. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +2:08
22. SIVAKOV Pavel (INEOS GRENADIERS / RUS) +2:08
25. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +2:15
27. HINDLEY Jai (TEAM DSM / AUS) +2:20
42. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK-STEP / POR) +5:38
111. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUSMJPN) +23:22

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MERLIER Tim (ALPECIN-FENIX / BEL)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):DOMBROWSKI Joseph Lloyd (UAE TEAM EMIRATES / USA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN)
■チーム成績 : BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)

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22歳のヴァルタが新人賞のマリア・ビアンカを獲得(©Bettiniphoto)

第5ステージはスプリント・ステージ

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●第5ステージのコースプロフィール(MAP :RCS Sport)

5月12日は、エミリア・ロマーニャ州のモデナからアドリア海沿岸のカットーリカまでの177kmで、山岳賞ポイントがない平坦区間の第5ステージが行われる。

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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