中級山岳区間のジロ・デ・イタリア2020 第5ステージはガンナが逃げ切り優勝

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イタリアで開催中の第103回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、10月7日にミレートからカミリアテッロ・シラノまでの225kmで中級山岳区間の第5ステージを競い、TT世界チャンピオンのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)が独走で雨の中を逃げ切り、第1ステージに続いて今大会2勝目を上げた。

ジロ・デ・イタリア2020

TTスペシャリストのガンナが雨の中級山岳区間を独走で制した

34秒遅れでゴールしたメイン集団はゴールスプリントを競い、オーストリアのパトリック・コンラード(ボーラ・ハンスグローエ)が区間2位になったが、区間3位には総合リーダーのマリア・ローザを着たポルトガルのジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が入り、総合首位の座を守っただけでなく、4秒のボーナスタイムを獲得した。

ジロ・デ・イタリア2020

アルメイダは3枚目のマリア・ローザを獲得し、ポルトガル出身選手としてアカシオ・ダシルバ(2枚)の記録を更新した


前日事故に遭ったワッケルマンが不出走

第5ステージは171選手が出走。前日にゴール目前で事故に遭ったルーカ・ヴァケルマン(ヴィーニザブ・KTM)がスタートしなかった。TV中継用のヘリコプターが低空飛行してなぎ倒したフェンスに衝突したヴァケルマンは頭部を負傷し、鼻の骨を骨折。仙骨骨折の疑いもあるとチームは発表している。

この日はなかなか逃げが決まらず、ガンナが加わった8人の逃げグループが形成されたのは、すでに42km走った後だった。逃げは残り91kmで最大5分13秒差を付けた。終盤に設定されていたカテゴリー1のバリコ・ディ・モンテスクーロ峠で、メイン集団からはトマス・デヘント(ロット・スーダル)がアタックし、エイネルアウグスト・ルビオ(モビスターチーム)が付いて行った。

雨になったバリコ・ディ・モンテスクーロ峠で先頭の逃げはエクトル・カレテロ(モビスターチーム)、ガンナ、エドアルド・ザナルディ(ヴィーニザブ・KTM)の3人になり、ゴールまで残り19kmでデヘントとルビオが追いついた。その時、メイン集団はまだ1分40秒後方に居た。

ジロ・デ・イタリア2020

デヘント(左)は集団からアタックして逃げに追いついたが、ガンナに付いて行けなかった(©Bettiniphoto)

ガンナはゴールまで残り16.5kmでアタックして独走を開始。デヘントはルビノと追走したが、協力し合うことはできず、集団に吸収された。カテゴリー1のバリコ・ディ・モンテスクーロ峠を単独で越えた時、ガンナは集団にまだ55秒差を付けていた。彼はそのまま下りを逃げ切り、区間優勝を勝ち取った。

総合上位の選手たちは34秒遅れのマイヨ・ジョーヌ集団でゴールしたが、この日マリア・アッズーラを着ていたジョナタン・カイセド(EFプロサイクリング)は16分34秒遅れでゴールし、総合2位から39位にまで転落してしまった。

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マリア・ローザのアルメイダはゴールスプリントで区間3位に入り、4秒のボーナスタイムを獲得した(©Bettiniphoto)

■今大会で区間2勝目を上げたガンナのコメント
「逃げには強い選手たちがいて、総合成績でもさほど下位ではない選手すら入っていた。今日の我々の最初の計画は、ボクが逃げる事ではなかったが、サルヴァトーレ・プッチョとアタックして、何とか逃げることができた。彼は一日中助言してくれた。彼は自分でレースに勝つことはないが、チームの真のリーダーだ。ボクにとっては兄弟のような存在だ。

昨日、トーマスから逃げろとメッセージが来た。峠の頂上で持っていたアドバンテージを生かし、大きなリスクは犯さないように努力したが、ダウンヒルのいくつかのカーブでは、壁がものすごく近くにあるように見えたよ」

ジロ・デ・イタリア2020

TT世界チャンピオンのガンナは山岳賞のマリア・アッズーラを獲得した


■第5ステージ結果[10月7日/ミレート~カミリアテッロ・シラノ/225km]

1. GANNA Filippo (INEOS GRENADIERS / ITA) 5:59:17
2. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +34
3. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) +34
4. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +34
5. HAMILTON Lucas (MITCHELTON – SCOTT / AUS) +34
6. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +34
7. VANHOUCKE Harm (LOTTO SOUDAL / BEL) +34
8. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +34
9. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +34
10. MASNADA Fausto (DECEUNINCK – QUICK – STEP / ITA) +34
11. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +34
12. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +34
13. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +34
83. CAICEDO Jonathan (EF PRO CYCLING / ECU) +16:34
93. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +21:18

■第5ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) 17:06:23
2. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +43
3. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +48
4. VANHOUCKE Harm (LOTTO SOUDAL / BEL) +59
5. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +1:01
6. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +1:05
7. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +1:19
8. KRUIJSWIJK Steven (TEAM JUMBO – VISMA / NED) +1:21
9. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +1:26
10. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +1:32
39. CAICEDO Jonathan (EF PRO CYCLING / ECU) +16:06
104. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +46:39

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):SAGAN Peter (BORA – HANSGROHE . SVK)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):GANNA Filippo (INEOS GRENADIERS / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR)
(※第6ステージはVANHOUCKE Harm (LOTTO SOUDAL / BEL)が着用)
■チーム成績 : DECEUNINCK – QUICK – STEP (BEL)

ジロ・デ・イタリア2020

区間優勝したガンナを祝福するイネオス・グレナディアズのチームメートたち

ジロ・デ・イタリア公式サイト