日本学生自転車競技連盟のTTレースがeレース型式で開催

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2020年6月7日(日)、日本学生自転車競技連盟(JICF)によるTTレース「利根川個人タイムトライアルラウンド」がスマートトレーナーとインドアトレーニングアプリを使ったeレース型式で開催された。レースは自宅参加と機材を持たない学生向けの仮設キャンプ(草加市内の自転車関連企業敷地内が会場)からの参加によって行われ、栗村 修さんの実況によるYoutubeでのライブ配信も行われた。

新型コロナウィルス状況下でのレース開催のために

本レースは、新型コロナウィルス禍によって学生レースの多くが中止となっていることを受け、少しでも学生選手がレースに出場できる機会を設けようとして試みられたものだ。全4戦のシリーズ戦「JICF e-レース 2020 nichinao-Tacx-iRC」で、本戦はその第1回目に当たる。

Tacxのトレーニングアプリによるレース画面

使用するアプリはTacxのインドアトレーニングアプリ「Tacx Desktop app」で、コースは学生選手になじみの深い利根川上流域仮設コースをバーチャルで再現した男子31.2km、女子25.2kmのものだ。時間差で出走し、タイムで順位を競う方式だ。

参加方法は、自宅から参加する「おうち参加」と、Tacx(タックス)を取り扱う日直商会(埼玉県草加市)の営業所敷地を利用した「仮設キャンプ」のどちらか。この仮設キャンプに大会本部を置き、参加選手をウェブ会議サービスの「ZOOM(ズーム)」でつないだ。

「仮設キャンプ」の会場となった日直商会の営業所

参加選手はウェブ会議サービスでつながれ、運営が行われた

この「仮設キャンプ」は機材を持たない学生向けのためのもので、Tacxの最高級トレーナー「NEO 2 Smart (ネオツースマート)」が全選手に用意され、大型ディスプレイと扇風機も設置された。なお、本会場から参加できるのは東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県に住む学生に限定された。

Tacx・NEO 2 Smart

「仮設キャンプ」の様子

会場は屋外の風通しの良い所で行われ、ウィルス感染防止のための万全の体制が敷かれた

今回のレースでは全31人の男子選手がエントリーし、そのうち「仮設キャンプ」利用でのエントリーは8人だった。

午後の部はYoutubeでライブ配信も行われた

Youtubeライブ配信では、実況を栗村 修さんが務めた

慣れないeレースならではのトラブルも

当日はネット接続やスマートトレーナーの接続、トレーニングアプリへの接続などで戸惑う選手が多く、うまく出走できずスケジュールがやや前後する場面もちらほら見られた。

スマートフォンから登録作業を行う選手

レースを終えて

小さなトラブルはあったものの、大きな問題は起こらず無事レースは終了した。優勝はEQADS(エカーズ)の川崎三織選手(上位6選手のリザルトは記事の最後に)で、タイムは42分14秒だった。

優勝した川崎三織選手(EQADS)コメント

終盤で追い込む川崎三織選手

「学生が参加できるレースがかなり減っている中、このようなレースの機会を設けてもらえるのはとてもありがたいことです。やはり、eレースとはいえ実践に出ているということは重要ですから。

通常の外で走るレースと違って、精神的に結構ストレスが掛かるなと感じました。完全に自分との戦いで、外のレース以上に集中力を切らさないようにする必要がありますね」。

他の参加選手のコメント(慶応義塾大学・吉田 直選手)

午前の部に出走した、慶応義塾大学・吉田 直選手は、「スマートトレーナーとインドアトレーニングアプリを使ったことがなくて、完全に全てが初めての経験でした。もちろん実走のレースができることに越したことはありませんが、これはこれでレースとしての魅力があると感じました。やはり、eレース型式でも参加できるレースがあるというのはうれしいです」と話した。

苦しい表情を浮かべる吉田 直選手(慶応義塾大学)

「eレースは今後ますます加速するだろう」〜ゲスト・別府 始さんコメント

ゲストとして来場した別府 始さん

当日はレース解説や自転車ジャーナリストとして活躍する別府 始さんも「仮設キャンプ」へ来場。今回のレースについては「レースができないからといって何もせずにいるのではなく、このように“できること”に取り組むというのは、学生にとって非常に有意義なことだと思います。

今後、こうしたeレースは日本国内でもどんどん広まっていくでしょう。新型コロナウィルス禍がそれを加速させる契機となりました。もちろん、事態が終息すれば通常のレースもどんどんまた開催されるでしょうが、その一方でeレースも一つのジャンルとして確立されて発展していくのではないかと思います」とコメントした。

上位6選手リザルト

1位:川崎三織(EQADS) 42分14秒
2位:湯浅博貴(EQADS) 42分21秒
3位:上野颯斗(京都産業大学) 43分16秒
4位:加藤 遼(東京工業大学) 43分35秒
5位:新田涼介(東京大学) 43分44秒
6位:石井悠太郎(慶應義塾大学) 43分45秒

今後のシリーズ戦予定

これ以降で予定されている「JICF e-レース 2020 nichinao-Tacx-iRC」のシリーズは、以下のとおりだ。

●第2戦:6月21日 長野県飯山市「ヒルクライム」コース
●第3戦:7月5日 木曽おんたけ「ヒルクライム」(コース設計中)
●第4戦:7月19日 木祖村「タイムトライアル」コース

詳しくは、JICFの公式サイトを確認しよう。