イル・ロンバルディア2025 でポガチャルが前人未到の5連覇を達成

2025年シーズン最後のモニュメント・クラシックとなる第119回イル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)が、10月11日に北イタリアのロンバルディア州で開催され、世界チャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG/スロベニア)が独走で優勝し、前人未到の5連覇を達成した。
 

Lombardia 2025

ポガチャルがロンバルディアで前人未到の5連覇を達成した (photo : LaPresse)

 
これでポガチャルはイタリアのファウスト・コッピが持つ、ロンバルディアの最多優勝記録に並んだ。コッピは1946年から1949年に4連覇した後、1954年にも優勝して5勝になったが、まだ27歳のポガチャルは2021年から2025年までの5連覇でその記録に追いついた。モニュメントと呼ばれる5大クラシックで5回以上勝っているチャンピオンは他にもいるが、5連覇を達成したのはポガチャルが初めてだった。これで彼のモニュメント・クラシックでの勝利は合計10勝になった。

2位は1分48秒遅れでベルギーのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)、3位には3分14秒遅れでオーストラリアのマイケル・ストーラー(チューダー プロサイクリングチーム)が入り、チームに初めてモニュメント・クラシックの表彰台をもたらした。オーストラリアの選手がロンバルディアの表彰台に上がったのは、1986年にフィル・アンダーソンが3位になって以来、実に39年ぶりだった。
 

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イル・ロンバルディア2025の表彰台。左から2位のエヴェネプール、5連覇を果たしたポガチャル、3位のストーラー (photo : LaPresse)

 
スタート前に引退セレモニー

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コモのスタートでは引退する選手たちのセレモニーが行われた (photo : LaPresse)

 
第119回大会は24チームの166選手が出走。コモのスタート地点では、今大会でプロ生活に別れを告げるイタリアのサルヴァトーレ・プッチョ(イネオス・グレナディアズ)とシモーネ・ペティッリ(アンテルマルシェ・ワンティ)、南アフリカのルイス・メインティス(アンテルマルシェ・ワンティ)、ベルギーのピーテル・セリー(スーダル・クイックステップ)、ポーランドのラファウ・マイカ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)の引退セレモニーが行われた。
 

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マドンナ・デル・ギザッロを越える逃げ集団 (photo : LaPresse)

 
オフィシャルスタートの合図と共に飛び出したのは、米国チャンピオンのクイン・シモンズ(リドル・トレック)で、14人の逃げが形成された。集団では最初に越えたマドンナ・デル・ギザッロの下り坂で、英国のトム・ピドコック(Q36.5 プロサイクリングチーム)が落車したが、幸い大した怪我はなく、レースに復帰した。

先頭の逃げ集団では、ゴールまで残り82.3kmのクロチェッタ峠で米国チャンピオンのシモンズがアタックし、独走を開始した。彼は76.2kmの山頂でUAEチーム・エミレーツ・XRGがコントロールする集団に3分以上のタイム差を付けていた。ゴールまで残り40.6kmでガンダ峠の坂が始まった時、その差はまだ2分半以上あった。
 

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ガンダ峠でアタックしたポガチャルには誰も付いていけなかった (photo : LaPresse)

 
ガンダ峠で集団の先頭はマイカが最後の仕事を終えた後、ジェイ・ヴァイン(UAEチーム・エミレーツ・XRG)が引き始め、ポガチャル、イサーク・デルトロ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)、エヴェネプール、ストーラー、ポール・セクサス(デカトロン・AG2Rラモンディアル)の6人になった。ヴァインの働きで、先頭を逃げるシモンズと精鋭グループのタイム差はあっという間に縮まっていった。

そして山頂まで残り6kmで、精鋭グループからポガチャルがアタックすると、付いていける選手は誰も居なかった。世界チャンピオンは山頂まで残り3.2kmでシモンズに追いつき、先頭に立った。シモンズは500mほどチャンピオンの後方を走ったが、それが限界だった。ポガチャルは後続に1分差を付けて山頂を通過し、ゴールを目指した。
 

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先頭を逃げ続けていたシモンズは後方から追いついたポガチャルに付いていけなかった (photo : LaPresse)

 
後方では、いつものようにエヴェネプールが単独で先頭のポガチャルを追い続けたが、タイム差は一向に縮まらなかった。彼はベルガモのゴール間近にあったコッレ・アペルトで、観客に阻まれて止まってしまったバイクに道を阻まれ、更にタイムを失ってしまった。

ポガチャルは独走でベルガモのゴールに到着し、右手を開いて5勝をアピールした。彼はアルカンシエルを着てロンバルディアを2回制した初めての選手になった。これでポガチャルの2025年シーズンの勝利数は20勝になった。
 

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ベルガモのゴールに到着した世界チャンピオンのポガチャル (photo : LaPresse)

 
5つのモニュメント・クラシック全てで表彰台

今季ポガチャルは全てのモニュメント・クラシックに参加し、ロンド・バン・ブラーンデレン(ツール・デ・フランドル/ベルギー)、リエージュ~バストーニュ~リエージュ(ベルギー)、イル・ロンバルディアで優勝し、エディ・メルクス(ベルギー)に続いて1シーズンに3つのモニュメント・クラシックで優勝した2人目の選手になった。更にポガチャルはミラノ~サンレモ(イタリア)で3位パリ~ルーベ(フランス)では2位になり、同じシーズンに全てのモニュメント・クラシックで表彰台に上がった初めての選手になった。メルクスでさえ、この記録を達成する事はできなかった。

■5連覇を達成したポガチャルのコメント
「イル・ロンバルディアで続けて5回勝つ事で、スタートする度に、このレースは本当に自分に合っていると感じている。でも同時に、ボクはこれほど良いチームを持っていて、それで我々は5連覇を達成する事ができ、チームメイトたちには心から感謝している。追走ではノヴァクが素晴らしい仕事をして、それからシヴァコフも今日は本当に印象的だった。最後の上りでは全員がボクを守ってくれて、トップクラスの仕事で、チームメイトたち全員に感銘を受けた。7年連続でこれが自分の最高のシーズンだと言ってるけど、今日もまたそう言えるよ」
 

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27歳のポガチャルは今季も多くの歴史を作った (photo : LaPresse)

 
■第119回イル・ロンバルディア 結果

[10月11日/UCIワールドツアー/イタリア(コモ〜ベルガモ)/241km]
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 5:45:53
2. EVENEPOEL Remco (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) 1:48
3. STORER Michael (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) 3:14
4. SIMMONS Quinn (LIDL-TREK / USA) 3:39
5. DEL TORO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) 4:16
6. PIDCOCK Thomas (Q36.5 PRO CYCLING TEAM / GBR) 4:16
7. SEIXAS Paul (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / FRA) 4:16
8. BERNAL Egan (INEOS GRENADIERS / COL) 4:16
9. VINE Jay (UAE TEAM EMIRATES XRG / AUS) 4:18
10. UIJTDEBROEKS Cian (TEAM VISMA – LEASE A BIKE / BEL) 4:30
 

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(photo : LaPresse)

 

イル・ロンバルディア公式サイト

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