全日本選手権ロードレース2025 男子U23は森田叶夢、女子エリートは小林あか里が優勝
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6月21日(土)、日本サイクルスポーツセンターにて全日本選手権ロードレース2025の男子U23カテゴリー、女子エリート&U23カテゴリーのレースが行われた。男子U23は森田叶夢、女子エリートは小林あか里が制した。
男子U23から全日本選手権がスタート

男子U23は119人が出走
6月21日(土)、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターにて全日本自転車競技選手大会・ロードが行われた。今回は、タイムトライアルが来週、渡良瀬遊水地での開催となったために、金曜日からではなく、土曜日の男子U23のロードレースから始まった。

スタートしてすぐできあがった逃げグループ
朝から気温も高く、快晴の中、男子U23のレースが8時にスタートを切った。距離は8kmコース14周の112km。早々に7人の逃げグループができあがり、3周目を終える頃には逃げも5人に減らしながらも、集団とは2分ほどまでタイム差を開いていく。

上りでペースを上げる橋川
4周目の上り区間では、集団で橋川丈(愛三工業レーシングチーム)らが中心にペースを上げ、逃げとのタイム差を一気に40秒ほどまで縮めたが、人数をさらに4人に減らした逃げは捕まらず、再びタイム差が開いていった。
「レース展開を3周目ぐらいから自分で作って、前半から動き始めたんですけど、なかなか周りの協力がもらえなくて。何人かヨーロッパで積極的に走っている選手たちは一緒に回ってくれて、そういう選手たちと今日勝負したいと思っていました。ちょっと思い通りにはいかず」橋川はこう振り返る。

逃げ吸収後、神谷が単独でアタック

絞られた集団
再びタイム差が徐々に縮まり、8周目を完了する頃に集団は一つに。今度はそこから神谷啓人(京都産業大学)が単独でアタック。同チームの森田叶夢は、チームメイトのこの逃げがその後の展開に生きたと話す。
「愛三工業レーシングチームが交互にアタックをし始めて、(ペースが)上がって休んでを繰り返していて、京産はそんなに積極的に対処していませんでした。でも、途中から神谷が1人で逃げてくれて、それが周りのチームにいい打撃を与えられて、たぶん追走に脚を使ってくれた。そういったところでチームメイトのおかげで今日は愛三らに対してもうまいこと対処できたかなと思っています」
2人に絞られた優勝争い
神谷も吸収されると、残り3周に入る前に橋川の抜け出しに対して森田が付き、2人で抜け出す。後ろからは松井丈治(愛三工業レーシングチーム)と阿部源(VC FUKUOKA)がそれぞれ単独で前を追った。

橋川と森田が抜け出す
先頭2人はラスト3周を協調しながらこなしていったが、橋川はラスト1周で森田を引き離そうと考えていた。
「上りで森田くんだけ力で後ろから追いついてきてくれたので、彼と協力して最後3周を回って。自分的にはラスト1周で千切れればいいかなと思っていて、最後はペースで上りを踏んだりしたんですけど、なかなか千切れなかったです」
スプリント勝負での自信が「本当になかった」という森田もまた、上り区間で橋川を引き離そうとしたがうまくはいかなかった。
「上りで千切れなかったら、スプリントでもうやられてしまうと思っていたんですけど、いい感じに脚が回復してくれました」

ラスト1周に入る森田と橋川
ラスト1周に入ると、先頭2人は牽制をしながら、最後のフィニッシュラインが見える直線に現れる。
ラスト200mほどから先頭にいた森田が先に仕掛けた。「早かったかなと思ったんですけど、長いスプリントの方が勝算あると思っていたので、そのくらいからかけちゃいました」
一方の橋川は、「どこからかけていいのかなという悩みもあって、(上り返しの)下から行くというのは自分的にもきつかったので、もうギリギリまで、150mぐらいまで待とうと思ったんですけど、彼が先に(スプリントを)かけて。そこはもう、前に出られなかったので悔しいですね」
フィニッシュライン前で橋川はハンドルを叩き、森田は右拳を握りしめた。

雄叫びをあげながらフィニッシュした森田。完走者は22人だった

京都産業大学のメンバーがタイトル獲得に喜びを見せた
今年、ナショナルチームの遠征やツアー・オブ・ジャパンなどにも参戦した森田は、チーム戦術などを京産大の活動にもしっかりと落とし込めていると話す。
また、森田にとって今回の全日本U23の位置付けについてこう語った。
「自分の中では、今シーズン一番勝ちたいレースっていうのが本音で。上り基調のコースだし、最後まで少人数で絞られたら勝算があると思っていたから、この全日本とTOJでしっかり照準を合わせて、勝てたことはすごくうれしいですね。でも、信じられないです」
惜しくもスプリント勝負に敗れた橋川もこう語った。
「まだまだシーズンはこれで終わっていないですし、自分にとってこれは自転車選手への道の全然始まってもいない途中なので。自分が本当に目標としている後半戦もまだあって、本当の大事なレースで、ワールドツアーとかチームとかにアピールできるところでしっかりいい走りをしていきたいので、今回は最後にスプリントになってしまって負けたのは仕方ないですし、ここで終わるというわけではないので、もっともっと強くなっていきたいです」
女子エリート+U23

エリートとU23の混走で34人がスタートした女子
気温が上がり切った12時30分に女子エリートとU23の混走がスタートしたが、あまりの高温多湿下のため、周回数が3周減らされ、11周から8周での戦いとなった。
序盤は、集団一つのまま、様子見の展開が続いた。

一人抜け出した小林

後続は4人に
レースが動いたのは半分の残り4周。小林あか里(Mtd Ladies)が、上り区間で周りの脚を見ようと仕掛けるとそのまま抜け出してしまった。直前で周回数が変わったことで元々立てていた作戦とは変えたと話す小林だが、それも想定外だったそうだ。
「今回、前年のチャンピオンの與那嶺(恵理)選手たちもいなかったので、みんながみんな様子を見るという感じでした。動かすとしたら自分かなとは思っていました。どんどん仕掛けて、人数絞っていって、最後脚を見ながらアタック合戦になるかなと思っていたんですけど、思った以上に早く1人逃げになってしまったので、ちょっと作戦とは違ったんですけど、もうやるしかないと思って自分を信じて走り続けていました」

ボトルの水をかけながら暑さをしのぐ小林
厳しい暑さの中、小林は補給ゾーンで氷と水分を毎周回もらいながら独走を続けた。
「今までで一番暑く感じて、結構体にも堪えて。ただ、みんな同じだと思うので、そこはあんまり考えずに。脚が攣って走れないとかにはならないように、自分の体と相談しながら、うまく補給を使いながら走りました。1人で逃げて、(タイム差が)2分差がついていたので、脚が攣ってもその2分をうまく使いながらペース配分して最後走りきれたかなと思います」
4人の追走集団からは河田朱里(Infinity style)と石井嘉子(honeyB BIKEBAJU)がそれぞれ単独で抜け出したが、タイム差を1分以上保ったまま小林が先頭でフィニッシュを切った。

独走勝利を挙げた小林
これまでMTBやシクロクロスでも活躍を見せてきた小林だが、今シーズンはロードレースに重きを置いて、オランダのホームステイ先に紹介してもらったクラブチームでロードレースを走っているという。
「一応、オランダで一番強いクラブチームに入れてもらえています。UCIレースもワイルドカードで出られたりするので、ワールドツアーの選手らとも走る機会がすごく多くて、本当にロードレース楽しいなと思いながら今は走れています」と、笑顔を見せる。
今後についてはこう語った。
「今はロードレースに集中して、ゆくゆくはロードレースの最高峰と言われるツール・ド・フランスで走れる選手になりたいというのが本当に目標です。まずはそこに行くためにワールドツアーのチームに入らなきゃいけないので、一つずつステップを踏んで。時間はないと思うんですけど、確実に行けるように頑張っていこうと思っています」
男子U23 リザルト
1位 森田叶夢(京都産業大学) 3時間20分55秒
2位 橋川 丈(愛三工業レーシングチーム) +0秒
3位 松井丈治(愛三工業レーシングチーム) +1分12秒
女子エリート リザルト
1位 小林あか里(Mtd Ladies) 2時間15分18秒
2位 河田朱里(Infinity style) +1分16秒
3位 石井嘉子(honeyB BIKEBAJU) +2分30秒
U23 リザルト
1位 山下歩希(弱虫ペダルサイクリングチーム)2時間19分26秒
第93回 全日本自転車競技選手権大会ロードレース
開催地:静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンター
開催日:2025年6月21日(土) 〜 22日(日)
6月21日(土)個人ロードレース WE+WU23、MU23
6月22日(日)個人ロードレース MM、WM、ME