2025全日本選手権ダウンヒル 羽口鉄馬が初優勝/末政実緒が9年ぶり優勝

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ウエット&マディの戦いを制したのは?

6月14、15日に、岐阜県郡上市白鳥町のウイングヒルズ白鳥リゾートにて、第38回全日本自転車競技選手権大会・マウンテンバイク ダウンヒル・インディビジュアル(DHI)が開催。

天気予報どおり、金曜までの好天とは打って変わり、日曜の午後まで雨の中での競技となった。

2025全日本選手権ダウンヒル

エリートでも「飛んだ後の減速が難しい」というジャンプをクリアする羽口

 

刻々と変化するコースで、幾田悠雅が最速タイムをたたき出す

土曜朝から降りだした雨により、ウイングヒルズのコースは試走開始の時点で全面ウエット。スタート付近の気温は15°前後と3月並みの気温。

テックエリアでは、タイヤ交換や泥対策を施すなど慌ただしい動きが見られた。

午後に行なわれたタイムドセッションは、明日までにコース状況がさらに悪化すると判断した選手達が出走を取りやめるなか、エリート男子の幾田悠雅が3分01秒231を記録。これに九島勇気が1秒041遅れで続く。以下、清水一輝、井手川直樹、井本はじめと全日本チャンピオン経験者が並んだ。

エリート女子は、左腕のケガから回復途中の末政実緒が4分07秒096。ディフェンディングチャンピオンの原つばさは、コースチェックに主眼を置いて6分52秒 484の二番時計。

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前週のコースオープンから走り込んだ幾田。タイムドセッションでマークしたタイムは誰にも破られなかった

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泥に加えてスタート付近の気温13℃という寒さがライダー達を苦しめた

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コース上にできた泥沼でコントロールを失うと大きなタイムロスにつながる

 

「迷わず攻めた」羽口が、念願の全日本タイトル獲得!

会場付近は、土曜深夜から明け方にかけて1時間に30mmという降雨量を記録。コースのいたるところに深い水たまりができ、比較的平坦な区間も「走るたびにラインが変わる」という、気の抜けないコンディションの中、午前11時、ユース女子から予選がスタート。

12時15分にスタートしたエリート女子は、末政が4分26秒372と、エリート男子予選24位に相当するタイムをマーク。

46名が出走したエリート男子は、幾田が3分04秒903で1位通過。10秒170遅れで、エリート29シーズン目の井手川。そして清水、田中航太という順。

決勝開始の午後2時頃には雨もほとんど上がったものの、今度は水が抜け始めてまとわりつくようになった路面との戦いとなる。 そんなコースでも末政の安定感は変わらず4分45秒780をマーク。原つばさに26秒109差で、9年ぶり通算18回目のチャンピオンを獲得。

30人がスタートしたエリート男子。最初に4分を切ったのは予選15位の是枝陽翔。続いて同10位の宇津孝太郎が予選タイムを8秒更新すると、予選6位の羽口鉄馬が3分07秒633でホットシートに座る。続く井本も3分1ケタ台のペースでメインゲレンデに姿を現わすが、最後の直線で大転倒。清水、井手川も羽口に届かず、最終走者の幾田を待つが、序盤での転倒がありタイムを更新することはできず、羽口の全日本初優勝が決まった。

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「無理せず、迷わず、丁寧に」コースを攻略した末政。全日本DHの勝利数を18まで伸ばした

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「予選まで思い通りに走れなかったので、決勝は思い切って突っ込んでいきました」という羽口。他者とは違ったタイヤチョイスも功を奏したという

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末政のメカサポートはYRSの山本明氏。2000年(ジュニア)以来のコンビ復活となった

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ユース女子は唯一5分台を記録した藤森実空が昨年に続き優勝

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現在カナダを拠点に活動する平栗嶺が「慣れないコンディションで苦戦した」といいながらも、2位に10秒近い差をつけ優勝

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ジュニア女子は原つばさのみの出走となった

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エリート優勝は逃したものの、4位入賞。ジュニアクラス優勝の幾田

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マスターズ30歳以上優勝の松本優人

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マスターズ40優勝の小沢秀也と2位の小野浩二のタイム差は0.518秒!

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マスターズ50優勝の本村貴之は「大島君(2位)に勝てて嬉しい」

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マスターズ世界選でも表彰台の斉藤晃弘がマスターズ60優勝

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荒れた路面になるほど安定感の高さが光った末政が優勝。原も26秒差まで詰めたが一歩届かず

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20歳の羽口を中心に45歳の井手川と33歳の清水が登壇。異なる世代がぶつかり合った好レースとなった

 

 

2025全日本自転車競技選手権大会マウンテンバイク DHI 結果

女子エリート
1 末政 実緒    SANTA CRUZ
2 原 つばさ  iRC/Hakuba Hospitality Group
3 篠原 彩緒  morinekiよろづやレーシング

男子エリート
1 羽口 鉄馬    洛和会音羽病院/アールズサイクル
2 井手川直樹  Bicycle Academy/STRIDER
3 清水 一輝  BLAZE A TRAIL

女子ジュニア
1 原 つばさ      iRC/Hakuba Hospitality Group

男子ジュニア
1 幾田 悠雅        輪娯館/vittoria
2 井出 勇希        MERSH/DKMC
3 名小路丈太郎

女子ユース
1 藤森 美空   KAMIHAGI cycle
2 嘉村 玲亜   Limited Team 846
3 中山 怜    RIDE COMMUNITY

男子ユース
1 平栗 嶺    THE GRAVITY ACADEMY / COMMENCAL
2 佐藤龍之介     TEAM A&F
3 横山 海空   BLAZE A TRAIL/ジャイアントストア大阪

男子マスターズ 30~39
1 松本 優人     PinBokRacing

男子マスターズ 40~49
1 小沢 秀也   玄武/一鱗/柏原鐵工所
2 小野 浩二   M’s/興津螺旋/NTN
3 岡 修平      MARSH/DKMC

男子マスターズ 50~59
1 本村 貴之   delsol/cleat
2 大島 礼治   RAGE69
3 下川 俊介   Swankys

男子マスターズ 60+
1 斉藤 晃弘   DKMC

正式リザルト
https://mtb-l.jp/results/results2025/

 

大会名:第38回全日本自転車競技選手権大会マウンテンバイク DHI

テクニカルデータ
コース長:1720m
標高差:306m

主催:公益財団法人日本自転車競技連盟

主管:第38回全日本自転車競技選手権大会マウンテンバイク DHI 実行委員会

後援:公益財団法人JKA