クップ・ドュ・ジャポンMTB2025開幕戦は沢田時と川口うららが勝利

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国内マウンテンバイクXCレースの最高峰、クップ・ドュ・ジャポンMTBが菖蒲谷森林公園(兵庫県たつの市)で2025年4月12、13日に開幕。今年の全日本選手権XCC・XCOに向けこれまでとは異なるコースレイアウトで行なわれた。

 

世界挑戦へのスタートライン、クップ・ドュ・ジャポンMTB

JCF(日本自転車競技連盟)が主催する大会として2015年から始まったクップ・ドュ・ジャポンMTBは、オリンピック、世界選手権大会、MTBワールドカップなどへの参加枠獲得や、国内競技者の競技力向上を目指し、UCI(国際自転車競技連合)の競技規則をベースに開催されるエンデュランス系競技大会で、XCC(男子エリートのみ)とXCOの2種目が行なわれる。

11年目の今シーズンは全9戦が予定され、そのうち5大会がUCI公認レースとなる。

さらにその中の2大会は、今季からスタートしたアジアコンチネンタルシリーズ(注)となっている。

注:2026年より上位入賞者にワールドカップ参加資格が付与される

 

13歳から登録とエントリーが可能

UCIカテゴリーのエリート(U23含む)、ジュニア(17、18歳)に、JCFカテゴリーのマスターズ(35歳以上)、ユース(13~16歳)という年齢別と、実力別のアドバンス、チャレンジがあり、大会ごとの上位入賞や獲得ポイントに応じて昇格することができる。

 

日本を代表するエリートライダーたちと注目の若手

このシリーズの獲得ポイントに全日本選手権の成績を加え、ナショナルランキングが決定する。

男子エリートは、昨年のアジア大陸選手権の覇者、沢田時と副島達海(U23)。ベルギーのUCIチームに所属する北林力、スキーの日本代表経験もある平林安里が鎬を削る。また野嵜然新、中仙道侑毅といった新しい世代が急成長。エリートクラスに匹敵する速さを身につけてきている。

女子は、パリ五輪日本代表の川口うらら、昨年の全日本XCOチャンピオン小林あか里に、同ナショナルランキング1位の竹村舞葉、2位の石田唯(U23)、アジアのレジェンド山本幸平率いるAsia Union TCS Racing Team(アジアユニオンTCSレーシングチーム)に加入した日吉彩華(ユース)らが参戦。

 

クップ・ドュ・ジャポンMTB2025開幕戦XCO

オリンピック種目のXCOは、13歳から60歳代まで幅広く参加でき、国際ランキングにも反映される公式大会

クップ・ドュ・ジャポンMTB2025開幕戦XCC

ワールドカップでは独立した種目となるショートトラック。クップ・ドュ・ジャポンではXCOのスタートポジションを決めるレースとなっている

 

XCショートトラック 松本一成が沢田との最終ラップの攻防を制して初優勝

全日本選手権に向け、新しいレイアウトを採した今大会。約1.2kmのコースで競われたショートトラックは、最後まで気が抜けないスリリングなレースとなった。

スタートから飛び出したのは松本一成と竹内遼。これを鈴木来人と沢田時が追う。竹内を抜いて松本に追いついた沢田が間髪を入れずに先頭に立つが、松本も離れず何度か首位を入替える。迎えた最終ラップ。沢田のアタックに反応した松本が残り数百メートルで首位に立つとそのまま逃げ切って、エリート初勝利を挙げた。

 

松本一成

「U23でも勝てなかったので、ホントの初優勝です。きつかったけど時さんと勝負できて楽しかった」という松本

クップ・ドュ・ジャポンMTB2025開幕戦XC C男子エリート

スタート直後、イン側に位置した高橋翔が後続を巻き込み転倒。その後追い上げて7位でフィニッシュ

 

XCC男子エリート
1 松本一成/チームライドマシュン 18:22.93
2 沢田時/宇都宮ブリッツェン +9.36
3 竹内遼/メリダバイキングチーム +35.78

 

女子XCO エリートは地元の川口うららが独走で優勝

12日の15時にスタートした女子カテゴリー(エリート、ジュニア、ユース、マスター)。2年ぶりに参戦となったたつの市出身の川口がスタートから一気に先行すると完全な独走状態に持ち込み、2位の日吉に9分07秒差をつけ優勝。「ユースやジュニアと混走だったので、レースを引っ張るようにオーバーペースで走って、自分自身もどれだけ耐えられるかというレースでした」というように、周回数こそ少ないものの、女子ユースの日吉彩華、有松鈴々菜。さらには女子ジュニアの石川七海がエリートに先行するシーンもあり、次世代の成長ぶりもレースを盛り上げた。

 

スタート後10数mで後続を引き離す川口

スタート後10数mで後続を引き離す川口

川口うらら

たつの市長や所属企業、友人らの前で圧巻のレースを披露

末政実緒

練習中に負った左腕の神経損傷から復活した末政実緒。「まだまだトレーニング不足」と言いながらも4位でフィニッシュ

有松鈴々菜

ユースながら、川口に次ぐスピードをみせた有松。日吉彩華とともに今後な楽しみな選手

 

XCO女子エリート
1 川口うらら/チーム龍野 1:13:07.83
2 日吉愛華/中京大学/チームまるいち +09:06.86
3 大蔵こころ/AX MTBチームエリート +12:17.32

 

男子XCO 泥と雨の戦いを「シクロクロススタイル」の沢田時が制する

予報どおり、朝から雨となり気温も11~2℃と肌寒い状況のなか、周回数を減算(エリート7→6、ジュニア5→4)してレースはスタート。果たして1コーナー直後の上りから乗車できずに押す選手が続出。スタートダッシュを決めた沢田や松本、平林も次第に重くなるバイクを押して歩くようになる。

3周目には竹内遼、沢田そしてエリートの後からスタートしたジュニアの野嵜然新がトップグループを形成。過去の大会で優勝経験をもつ竹内がリードするが、沢田も上りでバイクを担ぐなど竹内を逃がさず、5周目にペースの落ちてきた竹内を捉えると逆にリードを広げ、最終ラップに序盤の転倒から追い上げた松本の追走にもペースを乱すことなく優勝。3位には鈴木来人が入った。

 

XCOエリート/ジュニア男子のスタート

水しぶきを上げながら平林安里と松本一成を先頭に、エリート/ジュニア男子がスタート

第1フィード手前の逆バンクは泥が溜って乗車困難に

第1フィード手前の逆バンクは泥が溜って乗車困難に。1周目にしてジュニアの野嵜が3番手につける

沢田時

「過去イチしんどいレースでした」という沢田だが、重くなる路面でのライン取りやバイク担いでの登坂などフィジカルの強さと引き出しの多さが勝負を決めた

野崎然新

2位に入った松山海司や海外留学中の垣原弘明らジュニア世代をリードする野嵜が独走で優勝

岡本紘幸

土曜日に行なわれた男子マスターズXCOは、岡本紘幸が2位に3分30秒差をつけ優勝。「世界マスターズ優勝を狙ってきます」

 

XCO男子エリート
1 沢田時/宇都宮ブリッツェン 1:25:34.08
2 松本一成/チームライドマシュン +02:17.66 
3 鈴⽊来⼈/アヴニールサイクリング⼭梨 +03:48.05

XCO男子ジュニア
1 野嵜然新/レーシングトルク 56:46.37
2 松山海司/ソニックレーシング +02:12.92
3 中仙道侑毅/フカヤレーシング +06:40.80

XCO男子マスターズ
1 岡本紘幸/ネストファクトリーレーシング 1:10:20.47
2 藤田耕志/チーム輪娯ロード +03:34.19
3 皿谷宏人/マウンテン☆ポテト +04:31.96

 

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