ストラーデ・ビアンケ2025は世界チャンピオンのポガチャルが３度目の優勝

2025.03.09
レース

text sasachini
photo RCS Sport

3月8日にイタリア中部トスカーナ地方の丘陵地帯で、白いグラベル（未舗装路）の道を走る第19回ストラーデ・ビアンケ（ＵＣＩワールドツアー）が開催され、ディフェンディングチャンピオンで世界チャンピオンのタデイ・ポガチャル（ＵＡＥチーム・エミレーツ／スロベニア）が独走で優勝し、2022年、昨年に続いて3度目の勝利を果たした。

ポガチャルはアルカンシエルを着てストラーデ・ビアンケを制した最初の選手になった (photo : RCS Sport)

ストラーデ・ビアンケは2007年に創始したまだ歴史の浅いレースであり、アルカンシエルを着た世界チャンピオンが優勝したのは初めての事で、２年連続の優勝も史上初だった。しかもポガチャルはゴールまで残り50kmのカーブで転倒し、左側の肩、腕、脚を負傷しながら18.5kmを独走して優勝した。彼は平均時速40.7km/hでゴールし、大会最速記録も塗り替えた。

3度目の勝利を収めたポガチャルは、2008年、2012年、2016年に優勝したスイスのファビアン・カンチェッラーラと並び、最多優勝記録保持者となり、グラベルの１つに彼の名前が付けられる事になった。

2位は1分24秒遅れで英国のトーマス・ピドコック（Q36.5 プロサイクリングチーム）、3位は2分12秒遅れでベルギーのティム・ウェレンス（ＵＡＥチーム・エミレーツ）だった。

白いグラベルの道を疾走するポガチャルとピドコック (photo : RCS Sport)

レースが動いたのは、16カ所あったグラベル区間の、9カ所目だったモンテ・サンテ・マリエの丘だった。ＵＡＥチーム・エミレーツが集団を引き続けた後、ゴールまで残り78.5kmでピドコックがアタックし、すぐにポガチャルが反応した。

2人はモンテ・サンテ・マリエのグラベルで逃げていた選手たちを次々と追い抜き、先頭を独走していた英国のコナー・スウィフト（イネオス・グレナディアズ）を追い抜いた。そこでスウィフトは諦めず、残り73kmでポガチャルとピドコックの2人に追い付く事ができた。

世界チャンピオンが落車

落車で負傷しながら独走で3度目の勝利を果たしたポガチャル (photo : RCS Sport)

3人はすぐ後続に1分以上のタイム差を付け、ゴールを目指してグラベルに挑み続けた。ところが残り50kmを切った左コーナーで、先頭を走っていたポガチャルがスリップして転倒し、沿道の草むらに転げ落ちるアクシデントが発生した。幸い大きな怪我はなく、彼はすぐレースに戻ったが、バイクが故障していたため、交換しなければならなかった。

ポガチャルは2番手を走っていたスウィフトを追い抜いた後、ゴールまで残り46kで先頭のピドコックに追い付く事ができた。そして最後から2番目のコッレ・ピンズートのグラベルの坂で、アタックしたポガチャルにピドコックは付いて行く事ができなかった。ポガチャルはそのまま18.5kmを独走し、1分以上のタイム差を付けてシエナ旧市街地のゴールへと飛び込んだ。

■アルカンシエルを着てストラーデ・ビアンケで勝ったポガチャルのコメント
「優勝は優勝だが、落車していなければより良かっただろう。ここの道はよく知っていたが、判断を誤った。単に速く走りすぎてスリップしたのさ。落車の後もまだ楽しんで走っていたが、フィニッシュラインを越えたら痛みを感じ始めたよ。バイクを交換しなければならなかったし、落車の影響がどう出るのか分からなくて心配だったが、やり遂げる力は十分にあった。この3度目の勝利で、グラベルのセクターに自分の名前が付くと分かったのは素晴らしいね」

左から2位のピドコック、優勝したポガチャル、3位のウェレンス (photo : RCS Sport)

第19回ストラーデ・ビアンケ結果
［3月8日／シエナ～シエナ（イタリア）／ＵＣＩワールドツアー／213km］
1. POGACAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 5:13:58
2. PIDCOCK Thomas (Q36.5 PRO CYCLING TEAM / GBR) 1:24
3. WELLENS Tim (UAE TEAM EMIRATES / BEL) 2:12
4. HEALY Ben (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) 3:23
5. BILBAO Pello (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) 4:20
6. CORT Magnus (UNO-X MOBILITY / DEN) 4:26
7. VERMEERSCH Gianni (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL) 4:29
8. VALGREN Michael (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN) 4:37
9. VAN EETVELT Lennert (LOTTO / BEL) 4:47
10. ADRIA Roger (RED BULL – BORA – HANSGROH / JPN) 5:06