富士山南麓の送電線下を走るMTBトレイル「フジヤマパワーライントレイル」がオープン

2020.07.31
その他

2020年7月23日（木・祝）、この日オープンとなるMTB常設トレイル「Fujiyama Power-line Trail（フジヤマパワーライントレイル）」にて、そのオープニングセレモニーと初日の無料走行会が行われた。走行会では100名を超える参加者が、アップダウンの続く下り基調7kmのMTBトレイルを楽しんだ。

富士山南麓の山中、送電線の下を走る

走りながら鉄塔の番号を数えていくと気分が盛り上がる

送電線をつなぐ巡視路をMTB常設トレイルに

フジヤマパワーライントレイルは、富士山の静岡県側の裾野を東西に走るMTBのトレイルだ。東京電力パワーグリッドが管理運営し、同社の敷地内である鉄塔と送電線の下を通る巡視路をMTBのコースとして整備を行いオープンした。一年を通し営業する予約制トレイルとして広く開放される。

7月23日のオープン日に限り走行は無料として、ホームページで行なった事前告知に応募した150人のうち、来場した116人のマウンテンバイカーが、富士山南麓に新たにできたMTBトレイルを楽しんだ。

９時からのオープニングセレモニーには乗り手を含む多くの人が参加

富士市の小長井義正市長も登壇。コースの活用を激励する言葉を述べた

9人の来賓と、事業主となる東京電力パワーグリッド静岡総支社長らによるテープカット

号砲一下でフジヤマパワーライントレイルがオープン。ライダーの走り初め

送電線下の巡視路をMTBトレイルにして事業化

コースのトレイル部は大まかに、富士山の南側にある静岡県富士市内を、送電線の鉄塔沿いに東西へ下る。山梨県南巨摩郡早川町から静岡県駿東郡小山町まで伸びる「田代幹線」の、鉄塔19本分の巡視路を大幅に整備し、MTBで走りやすいトレイルに作り替えた。

7kmのトレイルは19本の送電線の脇を通っていく

トレイルは、大きく真っ直ぐ7kmの距離、標高差185mを走るプロフィールだ。実際に走ると、細かなターンや岩のセクションが多いコースが主なもの。急勾配の上り斜面にはつづら折りのコーナーがつくが、そのまま真っ直ぐ下るセクションもある。

コース内の急斜面は看板で前もって告知している

急斜面は可能な限りつづら折りにして、100％の乗車率を可能にしている

トレイルにすると決定した巡視路はもともと急登の多いルートだったが、事業化にあたりこのルートに大幅に手を入れ走りやすくした。地元のショップに集まった有志での作業から始まり、のちに地元ショップの店長がコースのアドバイスをする形で東京電力グループ内の送電部門がコース増設のために動き、一気にトレイルになった。

しっかりと強度のあるコースづくりで、乗り手をスムーズに走らせる

自然の地形を生かした中級者向けトレイル

コースレベルは「MTB走行にある程度慣れた中級以上向けのトレイルである」と無料走行会を走った人は口々に言った。参加したXCレーサーからは、「心拍を上げるMTBトレーニングに最適だ」という声も聞かれた。

中級者以上の乗車技術があると楽しめるコース設定

走りの起点となるのは、静岡県富士市にある「富士山こどもの国」内駐車場。トイレ、シャワー、レストランといった施設は、トレイル利用者は園内のものを利用できる。受付を行い走行開始。トレイルのスタートまで1kmほど舗装路を走る。

まずはトレイルのスタート地点まで、舗装路を1kmほど走る

スタートからは、広く幅のあるトレイルから岩を乗り越えるようなところまでバリエーションに富んだコースを走る。手を入れ走りやすくしたとはいえ、元は富士山の火山地質、ラインを選んで通るような場所もある。MTBに乗り慣れた人ならその技術を存分に使える、自然の地形を存分に利用したコース設計だ。

シングルトラックからダブルトラックまで多彩なコース状況

中にはこんな沢越えもある。押して渡れば何てことはない

時には足をついてクリアする場面にも遭遇するだろう

路面には木片を細かく刻んだウッドチップが敷かれ、高いグリップで走りやすくなっている。何度も通る真っ直ぐにトレイルが伸びる開けた場所では景色を楽しめる。途中少し休みながらトレイル部を走ると、1時間ほどでゴールにつく。

夏場には緑のトンネルのようになる神秘的なセクションも通る

送電線の脇は広くなっており、憩いの休憩場となる

最後に上り返してループ、1周2時間ほどが目安

ゴールから駐車場までは、舗装路12km強を1時間ほど上り返し駐車場に戻る。一周のループをすべて走って掛かる時間は中級者で2時間ほど。最後の上り返しは、事前連絡での要望に応じて搬送シャトルが用意されるので、体力に自信のない人はこれを利用するのがいいだろう。

トレイルの走行には10日前までの予約、3日前までの料金振込が必要だ。走行は2名以上から、フジヤマパワーライントレイルのホームページからメールで予約する仕組みになっている。

4月のオープン予定が7月へと延期

このトレイルは当初2020年4月のオープンを予定していたが、新型コロナウイルス感染予防の観点から7月へとオープンを延期していた。また走行会当日に際しても、事前に静岡県より指導が入り、「東京都在住の方の来場をご再考いただく」という案内を行っていた。その結果、116名の参加となった。

送電線の下を走り、鉄塔をいくつも通り越していく

途中にいくつかゲートを作り、モーターサイクルなどが迷い込むことのないように配慮

無断立ち入りの抑制のため、スタート、ゴールには監視カメラを設置している

ゴール地点には洗車場も用意されている

走行会参加者の声

中林雄介さん
大きな印象としてはXCコースです。爽快に下るのではなく、途中で登り返しながら走っていくという印象が強かったです。意外に楽しめるかなと思ったのが、ロードバイクもやる人です。トレイル内の上りも、ゴールから駐車場までの上りも、上りが得意な人はぐいぐい上ってきていて、楽しんでいましたね。

鈴木佑典さん
最近あまり乗っていないので、一番最初の登り坂からインパクトがあって、最後まで行けるかなというのがありました。今日は路面が濡れていたので、特に所々自転車から降りながら、行けそうな坂を自分なりに攻めた感じです。僕はあまり乗りこなせなかかったので、もう1、2回、むしろ体力づくりにいいかなと思って、また来ようかなと思っています。最初は家族を連れてこようかと思ったんですが、やっぱり自転車仲間と来たいですね。

Fujiyama Power-line Trail

利用期間（通年）：
4～9月/9:00～17:00 ※最終スタート目安時 15:00
10～3月/9:00～16:00 ※最終スタート目安時 14:00

走行料金：
1人1日 4000円（3日前までに事前振込）
2人以上より走行可能、メールにて申し込み（利用10日前まで）

アクセス（車での距離と所要時間）：
富士I.Cから約15km（23分）
新富士I.Cから約14km（20分）
裾野I.Cから約15km（20分）
須走I.Cから約25km（36分）