ジャイアントのエアロロード「プロペル」最新型、これが“買いな完成車”か!?

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Presented by GIANT

第4世代となり話題を集めているジャイアントのエアロロード「プロペル」。今回紹介するのはセカンドグレードとなる「プロ」のアルテグラ版で、新作の軽量カーボンホイールと一体型コックピット、そしてパワーメーターまで装備したレディ・トゥ・レース仕様が100万円を切って登場した。リーディングカンパニーの本気が伝わる秀逸なパッケージングだ。

 

ジャイアント・プロペル アドバンスド プロ 0-Di2とは

ジャイアント・プロペル アドバンスド プロ 0-Di2 ●試乗車サイズ:M ●試乗車カラー:アビスティール

ジャイアントの初代プロペルが発表されたのは2013年のこと。2017年にはディスクブレーキを採用した第2世代が登場。そして2022年に誕生した第3世代では、さらなるエアロダイナミクス化と軽量化を推し進めた。この第3世代は平地での速さに加えてオールラウンダーとしての顔も持つようになり、「誰もが乗りやすいエアロロード」として高く評価されるようになった。

今年発表された新型は、この第3世代のコンセプトを引き継ぎつつ、さらにパフォーマンスに磨きをかけてきた。すでにUCIワールドチームのジェイコ・アルウラーがトップモデルの「アドバンスドSL」でシーズンを戦っているのはご存じのとおり。ここに紹介するのは、新型プロペルシリーズのセカンドグレードとなる「アドバンスド プロ」だ。フレームは、空力特性に優れるSLのスタイリングをベースに、シートポストをフレーム一体式から別体式に変更。カーボンのグレードをアドバンスドSLからアドバンスドに変更したもので、フォークはSLと共通となっている。ちなみにフレームセットは36万3000円で販売されており、Mサイズでの単体重量はフレームが980g、フォークが375gを公称する。

今回試乗した「0-Di2」は、コンポーネントにシマノ・アルテグラを採用。ホイールは新開発のジャイアント・SLR 0 DBで、このフックレスリムに完璧にマッチするカデックス・エアロタイヤが標準装着される。ホイールセットの重量(リムテープ/バルブを除く)が前後で1370gと聞けば、このバイクが本当にセカンドグレードなのかと疑う人も出てくるだろう。

現在、第4世代プロペルの発売記念として、ステム一体型コックピットのサイズ無料交換キャンペーンを実施中だ。期間は2026年6月30日(火)までで、このアドバンスド プロ 0-Di2も対象車種となっている。購入を検討されている方はこのタイミングを狙うべきだろう。

コンタクトSLR 0 エアロ インテグレーテッド

ジャイアント・コンタクトSLR 0 エアロ インテグレーテッドと名付けられたステム一体型コックピットを採用。上ハンを薄くシェイプすることで空気抵抗を軽減している。単品価格は11万円だ。独自のD型コラムと専用コラムスペーサー、そして開口部を広くしたステム根本のケーブルポートなどにより、整備性を高めている

リヤ三角

2013年に発表された初代からドロップドシートステーを採用するプロペル。最新の第4世代では最大タイヤクリアランスが30mmから32mmに拡幅された。BBの規格はプレスフィットのBB86を継続する。リヤディレーラーハンガーはUDHに

専用シートポストとフリートSL

軽さとエアロダイナミクス、そして快適性のバランスを追求したプロペル専用のフルカーボンシートポスト。サドルはジャイアント・フリート SLで、テールランプなどをスマートに装着できるユニクリップシステムを採用する

専用ボトルケージ

トータルでのエアロダイナミクスに貢献する専用ボトルケージを標準装備。一般的な74mm径のサイクルボトルに対応している。素材はカーボンコンポジットで、単品価格はダウンチューブ側:3300円、シートチューブ側:3850円だ

パワープロ

アルテグラのクランクセットにはジャイアント・パワープロが標準装着される。左右バランスやパワーフェーズなども分かる高機能なパワーメーターで、自動温度補正(ATC)も備えている

SLR 0 DB

標準装着ホイールは新開発のジャイアント・SLR 0 50 カーボン ホイールシステムで、フックレスのカーボンリムのハイトは50mm、内幅22.4mmとなっている。エアロハブにカーボンスポークを組み合わせ、前後で1370gという軽さを実現している。単品価格はフロント:13万7500円、リヤ:19万2500円だ。タイヤはカデックス・エアロの700×28Cで、トレッド面のショルダーグルーブが空気抵抗を、240TPIのケーシングが転がり抵抗を最小化する

 

ジャイアント・プロペル アドバンスド プロ 0-Di2 スペック

●価格:99万円

●フォーク:アドバンスド SL カーボン

●フレーム:アドバンスド カーボン

●メインコンポーネント:シマノ・アルテグラ Di2

●ホイール:ジャイアント・SLR 0 50 カーボン ホイールシステム

●タイヤ:カデックス・エアロ 700×28C

●ハンドルステム:ジャイアント・コンタクト SLR 0 エアロ インテグレーテッド

●サドル:ジャイアント・フリート SL

●シートポスト:ジャイアント・ベクター コンポジット

●パワーメーター:ジャイアント・パワー プロ パワーメーター

●サイズ:XS、S、M、M/L

●カラー:オブシディアンパルス、アビスティール

 

ジャイアント・プロペル アドバンスド プロ 0-Di2を試乗〜パッケージとしての完成度で群を抜く存在

プロペル アドバンスド プロ 0-Di2に乗る大屋さん

インプレッションライダー/自転車ジャーナリスト・大屋雄一 モーターサイクルにも造詣が深いフリーランスライター。ロードレース、ヒルクライム、エンデューロ、ブルベ、シクロクロス、MTBレース、ママチャリ耐久、仮装レース、バイクパッキングなど、自転車遊びを一通り経験して現在に至る

まずは新開発のステム一体型コックピットに手を添える。6.5°のフロントスイープ角が与えられた上ハンは、肘をやや開き気味にした自然なフォームにおいてしっくりと収まる。また、ドロップ部は絶妙なカーブを描いており、握り方ひとつで入力のニュアンスを自在にコントロールできそうだ。公称重量は286g(420×100mm)で、このカテゴリーでは非常に軽量な部類に入る。同じ製品がトップグレードのSLの完成車にもインストールされていることから、その完成度の高さと自信のほどがうかがえよう。

走り出してすぐに感じるのは、フレームの精度が高いであろうということだ。ペダリングを止めた瞬間からの惰性走行で、スピードの落ちにくさが印象的である。カデックスのエアロタイヤによる転がり抵抗の低さも無視できないが、その根底には前後ホイールのセンターがぴたりと揃った、正確なアライメントがあるはずだ。カーボンフレームが主流となって以降、あまり語られなくなった“精度”という要素。しかしジャイアントの完成車に乗るたびに、その正確さが走りの質に直結していることを実感させられる。これは紛れもなく、絶対的な安心感の源だ。

ペダリングフィールは、一言で表現するなら「澄み切っている」だ。まるでハイエンドモデルに乗っているかのような、雑味のない感触である。30万円台中盤というフレーム価格からは想像しがたいほど上質で、ひと踏みごとに脚が自然と上死点へ引き戻される“フォロースルー”のような感覚が心地良い。そして、そのエネルギーはロスなく推進力へと変換されていく。実際、ペダルからドライブトレイン、そして後輪へと至るシステムとしての剛性レベルは、先代のアドバンスド SL グレードと同値にまで引き上げられているという。加えてカーボンホイールの鋭いレスポンスも相まって、どの速度域からでも加速のキレは鮮烈だ。もしブラインドテストができたなら、これをセカンドグレードだと見抜ける人はそう多くないだろう。

そして何より印象的だったのが、上りでの軽快感だ。ダンシング時の車体の振りは驚くほど軽く、ペダリングに合わせてリズミカルにスッ、スッと車体が前に出る。その感覚は、同社のオールラウンドレーサーであるTCRを思わせるほどだ。サドルやシートポスト、コックピットといった高い位置にあるパーツの重量が効いているのは確かだが、それ以上に車体全体のまとまりがいい。平均勾配5%前後のロングクライム、つまり富士ヒルのようなコースプロフィールであれば、優れた空力性能も相まって、TCRよりプロペルの方が速く走れるはずだ。

さらに感心したのが快適性の高さだ。荒れた路面をハイスピードで駆け抜けても突き上げは穏やかで、タイヤは常に路面をしっかりと捉え続ける。再設計されたリヤ三角、垂直方向に柔軟なベクターシートポスト、そしてTLRタイヤが見事に調和しているのだろう。その優れた乗り心地はエンデュランスロードに匹敵するレベルにあり、「レースには出ないが、速くて美しいバイクで長距離を楽しみたい」というニーズにすら応えてしまう懐の深さを持っている。

欧米ブランドのハイエンドに迫るパフォーマンスを備えつつ、コストパフォーマンスで台頭する中国ブランドに対しては、精度・品質・安心感で明確な優位性を示す。それがプロペル アドバンスド プロの立ち位置だ。フレームセット、前後ホイール、一体型コックピットの合計だけでも80万円を超えることを思えば、パワーメーター付きアルテグラを備えた「0-Di2」が99万円という価格は、もはや戦略的とすら言える。

この完成度でこの価格。その事実こそが、このバイクの価値を何より雄弁に物語っている。

 

Brand Info〜GIANT(ジャイアント)について

台湾に本社を置くジャイアントは、自転車業界のリーディングカンパニーだ。1972年の創業以来、他社のOEM生産で培った高い技術力を武器に、自社ブランドを展開。軽量なアルミフレームや、現代ロードバイクの標準となったスローピングフレーム(コンパクトロード)の開発など、業界に革新をもたらしてきた。最大の強みは、「自社工場での一貫生産」による圧倒的なコストパフォーマンス。同価格帯であれば他社ブランドよりも1つ上のグレードのコンポを搭載することが多く、初心者からベテラン、そしてプロにまで幅広い層に支持されている。