【折りたたみ自転車で行く東京を感じるサイクリングコース】島をめぐって羽田空港へ
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誰もが一度は訪れたい観光名所、歴史を動かしてきた旧街道の数々、自然を感じられるたくさんの公園、水面と橋が爽やかに共演する河川沿い、街の日常に出会える商店街、そして東京には洋上の離島もある。そこで、折りたたみ自転車で行くサイクリングに魅力的な東京のコースを提案。今回は、自転車で羽田空港に行けるのか? その答えを探しながら、品川区と大田区の人工島を走る!
第1&第2ターミナルへたどり着くのは難しい?
環八通りの先端で歩道を通行する区間を除けば、スムーズに距離を延ばすことができる。埋立地なので、橋の前後を除けばアップダウンはない。

品川区と大田区の人工島をめぐるコース。コンテナ埠頭が並ぶ物流エリアだが、意外なほど公園が多くて緑豊か。運河に沿った区間は見晴らしも上々だ。車道はトラックが多いので、自転車レーンが整備された歩道を進もう
今回使用したバイク KHS F-20R
価格:18万7000円
問 ケイ・エイチ・エス・ジャパン
ロングライドの心強きパートナー
KHSはアメリカの総合バイクブランドだが、折りたたみ自転車は日本国内発の企画としてスタート。2001年から続くロングセラーモデル、F-20のコンセプトは「折りたたみと走行性能の両立」。快適性に優れたスチールフレームを採用し、車輪は小径車としては大きな451サイズの20インチ。これによって基本性能を確保しつつ、前傾姿勢が取れるブルホーンバーを装備。折りたたみ自転車としては珍しくフロンドダブルの駆動系を採用しており、ロングライドやヒルクライムでもまったく不安がない走行性能を発揮してくれる。ワンピボットシステム・ソフトテールと呼ぶリアサスペンションがあるので、乗り心地も滑らかだ。
歩道を押し歩いて空の玄関口へ
東京湾に大きく張り出した羽田空港は、自転車では訪れにくい空港として有名だ。長い自転車歩行者道がある多摩川の河口という立地でありながら、羽田空港には行かせまいとするように自転車の行手はさえぎられてしまい、周辺の道路は自動車専用になってしまう。実際のところ、東京モノレールと京急空港線が通じているので、それらで輪行すれば問題ないのだが、せっかくなら空港まで走りたい……と考える人もいるだろう。ヒコーキ輪行するわけでなくても、羽田空港はショップやレストランが多い一つの街でもあるので、自転車で行けるものなら行ってみたい……と思うかもしれない。
羽田空港の第3ターミナル(国際ターミナル)は環状八号線にほぼ隣接しているので、何の問題もない。問題は、国内線で利用する機会が多い第1および第2ターミナルだ。さっさと結論を書いてしまえば、環八通りの羽田空港トンネルを「歩道」で抜け、出た先も押し歩きを要する歩道を通行すれば、第1および第2ターミナルにたどり着くことができる。
しかし、それだけでは単なる苦行なので、品川区と大田区の洋上に浮かぶ人工島を結んで羽田空港をめざすというコースを紹介する。「そんなところが走れるの?」と思われるような意外性のあるコースを組むことができる。北から順に、品川ふ頭、大井ふ頭、城南島、京浜島、昭和島を結ぶのだが、品川ふ頭と昭和島を除けば、緑道や海上公園が整備されており、思いのほか自転車の走行環境は良好だ。進むほどに羽田空港を離発着する旅客機の姿が大きくなり、次第に手が届きそうなほど近づいていく……という非日常的なサイクリングが体験できる。多くの人にとって、まだ知らない東京の景色に出合えるはずだ。
品川駅の港南口から走りだすと、すぐに京浜運河だ。橋を渡った先が最初の人工島となる品川ふ頭。日本初のコンテナターミナルであり、1967年から使われている。かなり無機質な景観だが、この先の大井ふ頭にある東海道新幹線や貨物列車の基地に向かって、多くの列車が通過していく。
大井ふ頭に入ると、車道沿いに緑道公園が現れ、自転車も走行可能だ。運河の対岸には東京モノレールが見える。緑道を抜けると環七通りに突き当たる。トラックが非常に多いので、歩道を進ませてもらおう。ほどなくして環七を逸れ、先端の城南島へ向かう。人工ではあるが美しい砂浜が広がり、キャンプ場や釣りエリアもある。
次の京浜島にも公園と緑道が整備されており、ストレスフリーで走行できる区間がある。もう空港は目の前だ。ただし、京浜島から空港への道は自動車専用なので、昭和島を経由していったん大田区本土に戻り、天空橋から環八通りで空港へ向かう。
空港沿いの環八通りには、多摩川に沿って「ソラムナード」という緑地が整備されている。しかし、残念ながら自転車の進入は不可。ここが走れれば、羽田空港をめざすサイクリングはもっと面白くなるのだが……。緑地の一画に多摩川のゼロ㎞地点を示す碑があるので、徒歩で探してみたい。2022年に開通した多摩川スカイブリッジもよく見える。
ソラムナード側の歩道から羽田空港トンネルに入る(反対車線から入ってもオッケー)。トンネル区間の車道は自転車通行禁止。歩道は狭いので、押し歩いたほうが安心だ。長さ700mほどのトンネルを抜けると、航空会社の整備地区に出る。湾岸道に沿った歩道を進めば、待望のターミナルだ。復路は素直に輪行しよう。京急空港線は実質的に地下鉄なので車窓の楽しみはないが、東京モノレールに乗れば、走ってきたコースの大半を見下ろすことができる。
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