安心して愛車の整備を任せられるメカニックの基準制度 生まれ変わったSBMの意義

  • photo 吉田悠太

Presented by 自転車産業振興協会

洗車をしたり、バーテープを巻き替えたり、愛車の手入れはスポーツバイクの楽しみの一つ。しかし、機能に関わる部分は信頼のおける専門家に任せたい。プロの中でも評判の高いSBM(スポーツバイクメカニック)検定合格者の魅力とは……

 

木村喜久さん

 

SBMとは?

高度な整備技術と正しい知識を持ち、ユーザーに安全な自転車を提供できるメカニックを育成するため、自転車JIS/ISOの国内審議団体である自転車産業振興協会が主体となって策定した検定制度。メーカーや業界団体、経験豊富なベテランメカニックたちがスポーツ自転車の進化や市場ニーズの変化に対応したさまざまな講座を提供している。

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SBMロゴ

SBM

 

いつもの店で、いつものように修理を頼む。なじみになって、常連たちと仲間になる。充実したバイクライフに、いい店や優れたメカニックは欠かせない。

自らの力で走るスポーツバイクは、エンジン付きのモビリティのように性能を数値化しにくい。同じモデルの自転車でも、手掛けるメカニックの腕次第で性能は大きく違うことぐらい、想像に難くないだろう。そして、優れたメカニックの基準とされている検定がある。

自転車産業振興協会が手掛けているSBM検定は、合格率が低い反面、自転車の業界人やユーザーから、最も高い評価を得ている資格である。機材の性能にとことんこだわるシリアスライダーの間では、メカニック選びの基準として定着しつつあるSBM検定だが、この難関試験の合格者はどのようなメカニックたちなのか、今一つ見えてこないのも事実。そこでSBM検定合格者で、SBM認定講師としてホイール講座を担当する木村喜久さんのパックスサイクルを訪れてみた。

 

木村喜久さん

木村喜久
国内有名クラブチームでロード選手として活躍した後、福島県郡山市にパックスサイクルを設立。MTB&CXチームの監督兼メカニックも務める

 

木村さんの手掛けるホイールは知る人ぞ知る逸品。完組ホイールが主流になった現在も、年間600ペアの手組ホイールを受注している。ハブにスポークを通し、スポークを編んでリムに組み込んでいく。ニップルとリムの接触部に潤滑油を一滴、ニップルとスポークのネジ山を面一に…… 全ての工程はゆっくりと丁寧にではなく、清流のごとく滞ることなく、作業はスムーズに行われる。

 

パックスサイクルのホイール

ロード、CX、MTBはもちろん、競輪のトップ選手からの信頼も厚く、多い年には年間約600本以上のホイール組みを行う

ホイールを組む木村さん

 

「リムは真っすぐに作られていますから、スポークを正しい順番で、均一に張っていけばいい」と、まるで簡単なことのように木村さんは言う。全ての所作に無駄はなく、使用する機材にも一家言ある。ニップル回しは決まった銘柄で、数十年分の予備があり、テンションメーターは作業前と作業後に校正する。品質管理は航空産業と同じ仕組みを採用しているのだ。そんな彼もSBM検定の合格者の一人であり、検定に合格する価値について高く評価している。

「検定合格者に自転車を診てもらう価値は、思う以上に大きいと思います。まず、SBM講座を受ける人は勉強熱心です。受講生や検定合格者同士のコミュニティができるし、日本を代表する講師陣とつながることができる。これはメカニックとして非常に大きな財産です」

 

リム ニップル

ホイール組の工具
ニップル回し
ニップル
ニップル

 

2006年に開始以来、これまで1000人以上が検定に挑んだものの、合格者は255人。合格率は30%という狭き門である。“泳げる”と“溺れない”が違うように、プロのサイクルショップでも、技術力はピンからキリまである。機材は進化し、いくら軽く最新のテクノロジーが導入されたとしても、“誰から買うか”よりも大切なことはない。

 

SBM

 

そしてSBM検定もさらに進化することが決まった。まず従来のSBM検定は“2級、1級スポーツ自転車整備士”の2段階制度に。そして新たにスポーツ自転車の枠を超えた“電動アシスト自転車整備士検定”、“スキルアップ講座”によるSBM+が新設。またユーザーが走行中の機材トラブルに対応できるよう、“セルフメンテナンス検定”も設けられた。安全なバイクライフの充実にぜひ受講してみてはいかがだろうか。

 

新体制になったスポーツバイクメカニック

SBM

SBMプラス

セルフメンテナンス講座