ペダル型パワーメーター「ファベロ アシオマ」にシマノペダル対応モデルが登場

精度の高い計測を行えるペダル型のパワーメーターとして高い評価を得たFavero(ファベロ)社製ASSIOMA(アシオマ)。その性能と抜群のコストパフォーマンスが、瞬く間に多くのサイクリストを虜にした。
 
しかしその反面、残念な部分もあった。それは、結果としてユーザーを選んでしまうこと。ASSIOMAはペダル型のパワーメーターだが、メーカーのFavero社が最初に選んだペダルがLOOKタイプであったからだ。世界的にみればLOOKユーザーも多いのだが、同じくらいシマノ製ペダルのユーザーも多い。
 
日直商会がASSIOMAの正規輸入を開始した直後から、市場はシマノタイプを待ち望んでいた。Favero社はこのことも十分に理解しており、着々とシマノペダル対応モデルの開発を進めていたのだ。
 
そして2021年夏、Favero社は世界中のシマノペダルユーザーに対して待望の商品をリリースした。その名も“ASSIOMA DUO-Shi”。このネーミングにFavero社の社風や開発陣の生真面目さが見て取れる。
 
ASSIOMA DUO-Shi
 
Favero社は30年の社歴のなかでスポーツ電子機器を製造してきたが、どちらかといえば社名やブランドを売ることに執着するタイプではなく、良い製品を真面目に作り続けてきた企業。イタリアの企業は性能もデザインも優れたものを作り出すイメージがあるが、Favero社のASSIOMAは、熟練の職人が機能性にこだわり「手作りで仕上げた工業製品」のような香りを、この名前から感じる人は少なくないだろう。
 
このASSIOMA DUO-Shiは、従来モデルのように片側のみのUNOはラインアップせず、両側にセンサーを付けたDUOのみとした。そして大前提として、シマノペダル対応と謳っているが、ペダルボディは付属しない。これはすでにシマノペダルを愛用しているサイクリストが必要以上にコストをかけることなく、ASSIOMAの精度を活かしてパワートレーニングを開始して欲しいとFavero社が考えているから。
 
機能面の特徴では、Qファクターの数値が挙げられる。ASSIOMA DUO-Shiのそれは65mm。一般的な数値は+52~54mm程度なので、とりわけライディングポジションが完全に固定されているサイクリストにとっては気になるかもしれない。
 
むろんFavero社側も開発時点で問題にしていたが、多くのサイクリストを対象にリサーチしたところ、「狭いQファクターこそ正義」ではなく、体格(身長、骨盤幅など)によってQファクターも人それぞれであることが分かってきた。そしてリサーチをかけたサイクリストの大半は65mmのQファクターを受け入れられると結論付けた。テスト終了時には好意的な意見も数多くも寄せられ、ASSIOMA DUO-ShiのプロジェクトにGOサインが出された。
 
ASSIOMA DUO-Shi
 
最後に、ASSIOMA DUO-Shiはなぜ従来モデルと互換性がなく、シマノペダルにのみ対応するか、Favero社の考え方を記しておく。
 
これは一言でいえば専用設計で、Favero社が自社製品としてリリースするにあたり譲れなかった部分でもある。ASSIOMA DUO-ShiのセンサーはLOOK型ペダル対応の従来品と同じように見えるが、実際にはいくつかの変更が施された別物。数多ある変更点のなかでも、ASSIOMA-Shiのセンサーはシマノペダルとの互換性を確保するために、工場出荷時に従来モデルとは異なるキャリブレーション(較正:調整のこと)を行っている。また、オイルリテーナーをペダル軸に接着していることも挙げられる。
 
ASSIOMAは高い計測精度が製品の生命線なので、シマノペダルユーザーの期待を裏切らないようにした結果と言える。当たり前の話だが、これは真面目なFavero社ゆえの措置。それゆえ、安易に従来モデルのユーザーにカートリッジを提供して「シマノも使えますよ」としなかったわけだ。
 
従来品のASSIOMA DUO/UNO、そして最新のASSIOMA DUO-Shi。それぞれ専用設計ではあるが、重要なことは両者に組み込まれたセンサーに使われているコアテクノロジーは共に同じものであり、提供されるデータの質も同じであること。ASSIOMAの製品哲学と、これを作り出す企業の理念をほんの少しでも知っていたら、ASSIOMAを手にしたユーザーは高い満足度とともに、自身のサイクリングライフを昇華させることができるものと確信している。
 
ASSIOMA DUO-Shi
ASSIOMA DUO-Shi
ASSIOMA DUO-Shi
ASSIOMA DUO-Shi
 
ASSIOMA DUO-Shi
両側のアクスルにパワーセンサーを装備
 
販売価格:8万2610円
 
付属品:
バッテリーチャージャー(プラグ込み)、マイクロUSB/USBケーブル(長さ2m・磁気コネクタ2個付き)×2本、取付用アーレンキーとワッシャー4個、ASSIOMAユーザーマニュアル、ASSIOMA DUO-Shiユーザーマニュアル、保証書
 
製品概要と特徴
・Qファクター:
PD-R8000:+ 64.8 mm
PD-R7000:+ 64.2 mm
PD-6800 + 64.6 mm
PD-R550:+ 63.8 mm
PD-R540:+ 64.0 mm
 
・取り付けのためのアダプター素材:アルミニウム合金
 
・組付け・分解には別途17mm/19mmレンチ、TL-PD40または同規格の工具が必要です。
 
・取り付けは、専門知識を持つ販売店やメカニックにご依頼いただく事をお勧めします。
          
仕様:左右ペダル用パワーセンサー(両側パワー計測)
 
無線プロトコル:ANT+ PWR(CT + PO)プロファイル、Bluetooth v4.0
 
転送データ:パワー(watt)、ケイデンス(rpm)、L/Rバランス%(Assioma DUOのみ)、トルク有効性(TE)、ペダル円滑度(PS)、IAVパワーフェーズ、IAVライダーポジション
 
パワー算出システム:IAV(瞬間角度速度ベース)
 
Qファクター:+65mm
 
IAV Cycling Dynamics:対応
 
オーバルチェーンリング:対応
 
最大パワー:3000W
 
L/Rバランス:0~100%
 
最小~最大ケイデンス:30~190rpm(一部サイクルコンピュータでは30~180rpm)
 
パワー計測精度:±1%
 
ケイデンスセンサー:内蔵
 
ジャイロスコープ:内蔵
 
内部バッテリー:充電式リチウムバッテリー、50時間以上
 
USB充電:ダブル充電器(左右同時充電可能)
 
重量:片側99.0g(電池含む)
※シマノペダルの各モデルにASSIOMA DUO-Shiを取り付けた場合の総重量
・PD-R8000ペダルボディ:片側157.0g
・PD-R7000ペダルボディ:片側161.3g
・PD-R6800ペダルボディ:片側161.3g
・PD-R550ペダルボディ:片側176.0g
・PD-R540ペダルボディ:片側186.0g
 
アダプター材質:アルミニウム合金
 
ペダルアクスルねじ切り:9/16″-20 TPI
 
ベアリング:No.3密閉式カートリッジベアリング
 
動作温度:-10 ⁄ +60°C
 
バッテリー充電温度:+5 ⁄ +40°C
 
防水性:IP67
 
認証:CE、FCC、PSE、AUS/NZ、KC、RoHS、ANT+、BLE
 
乗車最大体重:120kg
 
仕様用途:ロード、トレーニング、サイクリング
 
生産国:イタリア
 
保証:2年
 
*デリバリーは2021年8月開始予定。