ロードバイク女子の悩みを解決する「フェムテック」とは? JAPAN SPORTS WEEK2022へ行ってみた <みみみ通信Web Vol.4>

目次

スポーツチーム・アスリート向けの展示会「Japan Sports Week2022」が、2022年5月11日〜13日に東京ビックサイトで開催されました。その中で注目したのが、女性の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック(Femtech)」ブース。

女性サイクリストを代表して本誌およびwebで連載中の「みみみ通信」の女王(石垣美帆)と報道官(大城実結)が現地を取材しました。

 

女性の健康課題を技術で解決する「フェムテック」

フェムテックとは

フィメール(Female)テクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語です。主に月経(生理)や産後の不調、更年期など、女性特有の身体にまつわる悩みを技術で解決する製品を指し、この数年で世界的にも大きく注目されています。 

特にスポーツ面においては、生理中のアスリートをサポートするアイテムが登場。アスリートによるフェムテック製品活用に加え、性別の垣根を越えてチームとして「生理」を理解しようという動きが活発になっています。

サイクルスポーツも例外ではありません。競技やホビーなど幅広いユーザーが居ながらも、サイクリスト人口の全体を考えると、女性サイクリストの数はごく少数です。そのため、今まで生理の悩みを相談できず、一人で抱え込んでしまう環境にありました。そのためフェムテック製品の普及や、生理を正しく理解しようとする価値観が、女性サイクリストにも影響を与えると考えられています。

 

生理における女子アスリートの悩みとは

アスリート向け吸水ショーツを開発する(azuki)によると、多くのアスリートが生理について悩みを抱えているといいます。実際に実施したアンケートによると、このような結果が得られました。

Q1, 大きな試合や肝心な試合と生理が重なったことがある。
yes:88.9%
Q2, 練習中や試合中に生理用品で困った、不快だった経験がある。
yes:85.1%
 主な理由:蒸れ、ズレ、漏れ、かぶれ

引用:「吸水ショーツPlayS」パンフレットより

特に自転車では、サドルで直接陰部を圧迫することから、蒸れやかぶれ、臭いなどの不快感を感じやすい傾向にあります。ナプキンを頻繁に交換しなければならない時でも、近くにトイレがなかったり、仲間が男性ばかりで言い出しづらかったりと、自転車というスポーツ特有の悩みがありました。

 

生理でもスポーツを楽しむための最新アイテム

生理の悩みを抱える時代に、変化が訪れているようです。Japan Sports Week2022のフェムテックゾーンで展示されていたのは、従来の紙ナプキンによる蒸れやズレ、漏れ、かぶれという悩みから解き放ってくれる新世代の生理用品でした。

履くだけで快適な「吸水ショーツ」

『PlayS』を開発したazukiでは、学校で女子アスリートの卵たちに吸水ショーツの有用性を紹介するイベントを開催するなど、生理に対する理解を広める活動にも力を入れている

生理用「吸水ショーツ」は国内外の幅広いメーカーが研究開発を進める製品です。従来のサニタリー用ショーツとは異なり、ショーツ自体が経血を吸収してくれるため、ナプキンが不要となります。そのためナプキンによる蒸れやかぶれなどのトラブルが避けられたり、お尻周りがもたつかず普段通りに動けたりと、生理中のパフォーマンス向上を期待できるアイテムです。

クラウドファンディングからスタートした吸収型ボクサーパンツ『OPT』。

普段履きとしても使える形や柄が選べる吸収型サニタリーショーツ『エヴァウェア』

 

 

 

 

 

 

 

近年では吸水量や吸水後の速乾性、肌触りなどより快適な使用感を目指して、各メーカーがスポーツチームと協力しながら改良を進めています。そのため展示会では、想像以上に高機能な吸水ショーツが一堂に会しました。

 

ドイツ発・近年注目を集める「月経カップ」

カラーやサイズ、つまみ部の形状などさまざまなシルエットが揃う『メルーナ』の月経カップ

月経カップは挿入型の生理用品です。医療用シリコンでできたカップを膣内に挿入し、内部に経血を溜める構造となっています。膣内の無感覚ゾーンに装着するため違和感を感じず、普段通り過ごせるのが魅力です。カップに溜まった経血は外気に触れることがないため酸化せず、特有の嫌な臭いも発生しません。

自転車のライドでも経血カップはかなり便利なアイテムです。普段と同じインナーで出かけられたり、泊まりのライドであっても少ない量の荷物で済んだり、皆と同じようにお風呂に入れたりと、多くのメリットがあります。

まだ日本での歴史は浅いアイテムですが、利便性と快適性からユーザーが増えていくであろう注目の生理用品です。

月経カップが挿入されたときのイメージ断面図

月経カップメーカー『エヴァカップ』、『スーパージェニー』のサンプルも展示された

 

 

 

 

 

 

変わりつつある生理への向き合い方

「生理に対する印象が変わった」と、展示を見終えた女王は語ります。

「今まで生理については不快でも我慢しなくちゃいけなかった。けれど、今はナプキン以外にもさまざまな選択肢が増えて、一人ひとりが好きなアイテムや方法を選べる時代になったんだね」

女王が言うとおり、これまで生理は公言することがタブー視される生理現象でもありました。しかし、必ず周期的に起こるもの、そして周期的に”起こるべきもの”です。アスリートはもちろんスポーツを楽しむすべての女性にとって、どんなときも快適に、最高のパフォーマンスを発揮できるよう生理用品は日進月歩をしています。

女性サイクリストにとっても追い風がすぐそこまで来ているようです。報道官たる筆者もいち女性サイクリストとして、フェムテック製品に注目していきます。

 

みみみ通信とは?
サイクルスポーツ本誌で好評連載中のコラム。ファッションモデル石垣美帆(女王)とライター大城実結(報道官)が、女性や初心者に役立つ情報や気になるネタをとことん調査します!  調査してほしいこと、話してほしいこと、2人への応援メッセージなどあれば、こちらのフォームまで。

(イベント情報)
主催/RXジャパン 特別後援/日本トップリーグ連携機構
期間/2022年5月11日(水)〜13日(金)
会場/東京ビックサイト