試乗車で本格ライドができて阿蘇を満喫できる激レア自転車イベントを開催
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2025年4月12日(土)〜13日(日)、サイクリストに人気の熊本県阿蘇エリアにて、九州最大級の規模を誇るスポーツ自転車展示・試乗イベント「第3回 春のDemo Day in 阿蘇」が開催された。最新モデルのロードバイクやグラベルバイクを自由に試乗できるのはもちろんのこと、さまざまなライドイベントや講習会など充実のコンテンツで多くの来場者を喜ばせた。2日間にわたりにぎわいをみせたイベントの様子をお届けする。
「春のDemo Day in 阿蘇」とは

「春のDemo Day in 阿蘇」の会場は道の駅阿蘇の第2駐車場。完成車メーカーを中心に26ブランドが出展した。最新モデルのバイクの試乗を目当てに多くのサイクリストが集結した
「春のDemo Day in 阿蘇」の会場は阿蘇サイクリングの起点として多くのサイクリストに親しまれている「道の駅阿蘇」。会場内には完成車ブランドを中心にパーツやケミカル、アクセサリーなど自転車関連ブランドのテントが並んだ。各ブースでは、プロダクトの性能やブランドの特徴などについて熱心に質問する来場者の姿が多く見られた。
広大な試乗コースもこのイベントの魅力のひとつ。会場の周囲をぐるりと一周する平坦なコースと坂道を基調とした約3kmに及ぶ公道を利用したコースが用意された。気になるバイクの性能が思う存分試せると、来場者の多くはイキイキとした表情で公道コースへと駆け出していった。
試乗会で既定の台数に試乗するとハズレくじのないガラポン抽選会に参加できるユニークな企画も行われた。これはふだん乗らない種類のスポーツ自転車にも興味を持ってほしいという主催者の想いから生まれたアイデアなのだとか。単なる試乗会に留まらず、スポーツ自転車の魅力を再発見する絶好の機会でもあった。

各ブースではメーカー担当者と熱心に話し合う来場者の姿が多く見られた。ブランドによってはプロダクトの開発秘話や苦労話なども聞くこともできたのだとか

公道を使用した3kmにも及ぶ広大な試乗コースがこの試乗会の特徴の一つ。鋭く加速したりハンドリングを確認したりと実際の走行性能を体感できると来場者から好評であった
試乗車を借りて参加できるライドイベントも
事前予約をすれば気になる試乗車で本格的なライドイベントに参加できるのもこのイベントならでは。今回はグラベルコースとヒルクライムコースで行われたライドイベントの様子をお届けしよう。
「グラベルコース」

スタート直後のグラベル区間の様子。まっすぐ伸びる農道を颯爽と走る背後には雄大な阿蘇五岳が。天候にも恵まれ阿蘇を囲う特徴的なカルデラ地形を確認することができた
グラベルコースをアテンドするのは道の駅阿蘇のサイクルアドバイザー、COLNAGO部長こと中尾公一さん。阿蘇サイクリングの魅力を熟知しているのでどのようなライドになるのか出発前から楽しみだ。会場を出発するとすぐにグラベル区間へ突入する。グラベルライド特有の適度な振動と景色が楽しめる快適なスピードが心地良い。道中、阿蘇五岳を正面に拝むスポットや一面に広がる菜の花畑、趣のある豊後街道など中尾さんおすすめの絶景スポットに立ち寄り阿蘇の魅力を堪能することができた。
参加者の中には「グラベルバイクを買ってはみたもののどこで遊べば良いのか困っていたのでこのライドイベントを楽しみにしていた。今度は友人を連れて阿蘇でグラベルライドをする」といった声も聞くことができた。
最初は緊張気味だった参加者同士もイベント後半になるとすっかり打ち解けて和気あいあいとした雰囲気に。約半日のグラベルライドは大満足のうちに終了したのであった。

グラベルライドの中盤は参勤交代の際に使われていたという由緒正しき豊後街道を通過。凛とした空気が心地良い。ちなみに石畳区間もあるがこちらは文化財のため乗車禁止

砂利道や芝生などさまざまなサーフェスを気兼ねなく進めるのもグラベルライドの魅力。絶景ポイントで立ち止まって記念撮影を楽しみつつ、集団はゆっくり進む

皆お待ちかねのおやつタイム。地元のパティシエが即席エイドステーションを用意してくれた。上品な甘さのスイーツが身に染みる。おかわりした参加者もちらほら

グラベルライドに参加した皆さん
“山の神”森本誠さんによる「ヒルクライムコース」

先頭を走る森本さん(写真一番左)。その走りが間近で見られると多くのヒルクライム愛好家が集結した
“山の神”の異名で知られる強豪ヒルクライマーで、近藤機械製作所の森本誠さんと一緒にヒルクライムができると、九州一円から脚自慢のサイクリストが集結した。今回は阿蘇岳屈指の景勝地「米塚」を目指す距離10km、獲得標高約500mのヒルクライムだ。意気揚々とスタートするとすぐに登坂区間へ突入する。森本さんは一番速い参加者のペースに合わせて集団をグイグイと牽引。力を入れている雰囲気はしないのに驚くほどスイスイと進んでいく姿に思わず見惚れてしまう。あっという間に森本さんの姿ははるか前方。まさに山の神だ。
必死に登り続けると林道区間を抜けて周囲が開けてきた。眼下には阿蘇の街が広がり、所々で可愛らしい放牧牛や放牧馬の姿に癒される。美しくひらけた景観こそ阿蘇ヒルクライムの醍醐味。多くのサイクリストを魅了する理由が理解できた。
参加者の中には「来月開催されるフジヒルに向けて最高の練習になった。阿蘇の絶景はもちろん、森本さんの走りを間近で見ることができて刺激的なヒルクライムだった」という声も。皆充実した表情で無事に登りきることができた。

上り序盤の様子。まだ皆さん笑顔があり余裕な表情。森本さんはときおり縦長になった集団の最後尾まで移動して全ての参加者に声かけをしていて、その姿が印象的であった

ヒルクライム終盤の様子。野焼きをした後ということもあり猛々しい山肌が印象的な阿蘇岳を横目に集団は進む。山頂まであと少し、自然と脚に力が入る

上った後は麓に降り、阿蘇中央公園内にあるモニュメントと「くまモンカップルベンチ」で記念撮影。休憩中は自然と森本さんを中心に輪ができて質問が飛び交うなんていうことも。皆、森本さんと走ることができて大満足の様子。 写真提供:道の駅 阿蘇
他に「マウンテンコース」「ミニベロコース」「街道コース」が

マウンテンコースは「二べ塚」でヒルクライム&ダウンヒルにチャレンジした

ミニベロコースは阿蘇市内の観光名所を巡るポタリングを楽しんだ。こちらは阿蘇神社。 写真提供:道の駅 阿蘇
激坂のヒルクライム&ダウンヒルに挑戦するマウンテンコースや市内の観光名所を巡るミニベロコース、さらには阿蘇の歴史的スポットを訪ね参勤交代の時代に想いを馳せる街道コースなど、趣向を凝らしたライドイベントも開催された。その全てが魅力的なコンテンツであったためほとんどが満員御礼であったようだ。自転車遊びの奥の深さを再認識させられるライドイベントばかりであった。
あなたも“阿蘇ライド”体験を!
今回で3回目の開催となった「春のDemo Day in 阿蘇」。その魅力は九州エリア最大級の試乗会(公道でガッツリ試乗可能なのがうれしい!)であるのはもちろんのこと、阿蘇の魅力を堪能できる充実のライドイベントにもあるのではないか。今回はグラベルコースとヒルクライムコースに帯同したが、ライドイベント終了後、参加者は押し並べて充実した表情を浮かべながら「やっぱり自転車って最高!」と自転車遊びの楽しさを改めて認識していた。
さらにそのライドの舞台が阿蘇であることも見逃せない。特徴的なカルデラ地形や阿蘇五岳の雄大な景観、バリエーション豊かなグラベルコースなど、ロード、オフロード問わず自転車遊びをするうえで最高の条件がそろっているのだ。一度訪れたらまた遊びに来たいと思わせる阿蘇。ライドイベントの参加を通じてそう思った人は私だけではないはずだ。
主催者側はさらなる魅力的なコンテンツを生み出そうと既に思案しているそうだ。次回の「春のDemo Day in 阿蘇」の開催が今から待ちきれない。

MUULERのブランドマネージャー ザック・レイノルズさんによるトークショーでは、オーストラリア出身の彼が日本の街道に魅せられた理由や街道を巡る旅の楽しみ方を聞くことができた。軽快なトークに皆自然と聞き入っていた模様

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