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新連載! 安井行生のロードバイク徹底評論 第1回 Cannondale SYNAPSE HI-MOD2 vol.6

2012年、名車スーパーシックスエボを完成させて、レーシングバイクカテゴリでライバルを置き去りにしたキャノンデールが、エンデュランスロードにも本気になった。イタリアで100km、日本で300kmを走り込んだ安井が、シナプスの本質とエンデュランスロードのあり方に迫る。技術者インタビューを交えた全10回、1万文字超の最新ロードバイク論。vol.6。
 
text●安井行生 photo●安井行生/キャノンデール・ジャパン

ただ快適なだけのフレームではない

走行性能の検分に入る。インタビューを終え、エンジニアに礼を言ってホテルのレストランから出ると、事前に伝えておいたポジションにセッティングされた試乗車が手入れの行き届いた庭に並んでいた。コースを教えてもらって走り出す。試乗地であるトスカーナ地方はあのストラーデビアンケがあることで有名で、ホテルの敷地を出るといきなりデカい石がゴロゴロ転がっているダートなのだが、そこでのシナプスの走りに思わず感嘆の声が漏れる。
 
あまりに快適なので驚いた…のではない。快適なだけのフレームはそこいらにたくさん転がっている。新型シナプスは、「振動を綺麗にカットするのに、進む力がほとんど削がれていない」ように感じられるから凄いのだ。最新の電動アシスト自転車で分厚い絨毯の上を走ったらこんな感じかもしれない。
 

基幹と末端の動きがかみ合っている

もちろん、安易に「快適=速い」とは言えない。先述したように、ただ快適なだけのレベルの低いフレームはたくさん存在するからだ。しかし、最新のメソッドで構築されたハイレベルな快適性は、スピードに直結する。速度を殺す要因である振動を排除してくれるからだ。ルーベ、ドマーネ、そしてこのシナプス…現代のハイエンドコンフォートバイクは、刺激にあふれているわけではないため感覚的に「ものすごく速い」とは感じにくいかもしれないが、実質的には間違いなく速い。振動がいかに自転車の「前に進もうとする力」を奪っていたのかを教えてくれるフレームである。
 
ヒルクライム能力にも感心する。フォークとチェーンステーを動かしているので末端はソフトなのだが、ハンガー部の横剛性がかなり高く、ペダリングのロスがほとんど感じられない。双胴シートチューブがいい仕事をしているのだろう。高剛性パワーラインとしなやかな末端の動きがピタリとかみ合って、すさまじいトラクションを持っているのに脚への当たりがまろやか。とんでもなくハイレベルな剛性チューニングである。
 
ハンドリングも素晴らしい。直進安定性は抜群で、荒れた下りでもビシッと安定しているのに、振り回してもちゃんとついてくる。隣を走っていたジャーナリストに「予想以上の出来だ」と言うと、彼は大きくうなずいた。
 
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