新連載! 安井行生のロードバイク徹底評論 第1回 Cannondale SYNAPSE HI-MOD2 vol.5
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2012年、名車スーパーシックスエボを完成させて、レーシングバイクカテゴリでライバルを置き去りにしたキャノンデールが、エンデュランスロードにも本気になった。イタリアで100km、日本で300kmを走り込んだ安井が、シナプスの本質とエンデュランスロードのあり方に迫る。技術者インタビューを交えた全10回、1万文字超の最新ロードバイク論。vol.5。
フレーム末端を複雑に動かす設計思想
まとめると、フォーク、チェーンステー、シートステーというフレーム末端を「基本的には横には強く・縦には柔らかく」として路面からの衝撃に対して動く作りとし、BB幅の拡張や双胴シートチューブなどによってペダリングパワーには強く作る。それだけでなく、剛性チューニングによってホイールが凹凸を左右にいなすような動きも盛り込む。
作り手は、新型シナプスをこのように走らせたかったのだ。いかにもディスクブレーキとの相性が悪そうなフレームである。開発陣はシナプスのディスク化に四苦八苦している頃だろう(と思ったら、本国HPにはシナプス・ハイモッド・ディスクがもう掲載されていた。仕事が早い。どんな仕上がりになっているのか楽しみである)。では、フレームのディティールを見ていく。

シートステーは螺旋状にねじれている。この複雑な形状も快適性のため。パイプの外形を螺旋状とすることで、カーボン繊維をシートステーの実長より長く使うことができ、振動をより効率よく減衰させることができるのだという
フレームを外側からだけではなく内側からも検分
ファイバースコープを使ってフレームの内部の状態をチェックしてみる。この連載では、全てのフレームの内部の画像を掲載する予定である。フレーム内部の綺麗さと走りのよさは全くリンクしないだろうが、製法や構造など分かることも多いはずだ。新型シナプスの場合、トップチューブ後端にはブラダーが残っていたが、チューブ内壁は非常に綺麗に仕上がっている。チューブ接合部の接着剤も必要最小限だ。