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「新朝鮮通信使」が東京にゴール! 日韓市民が友好育んだ22日間

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日韓親善を目的に、10月11日に韓国ソウルを出発した「両輪で走る新朝鮮通信使」(韓国外交部ほか主催)が11月1日昼、東京・新宿の都庁前広場に到着した。海路を含めた総移動距離は1900kmに上る。日韓の参加者は道路事情や文化の違いなどを乗り越え、無事にゴールを果たした。

 
都庁をバックに記念撮影する「新朝鮮通信使」参加者=1日
都庁をバックに記念撮影する「新朝鮮通信使」参加者=1日

日韓首脳会談にタイミングを合わせる

新朝鮮通信使は、江戸時代に派遣された「朝鮮通信使」の道程を自転車でたどるロングライドイベント。江戸時代の朝鮮通信使は豊臣秀吉による朝鮮侵攻の戦後処理として始まり、約200年にわたり合計12回行われた。

両国が相互信頼を基礎に、対等な立場で政治・文化などの分野において交流を育んだ「誠信(せいしん)外交」の歴史は近年再評価され、朝鮮通信使の関連資料を「ユネスコ記憶遺産」に登録しようという動きが起きている。新朝鮮通信使一行は対馬や下関、大阪、京都、静岡など、朝鮮通信使ゆかりの地を訪れた。

 
「朝鮮國通信使之碑」(長崎県対馬市)前で。一行は各地で朝鮮通信使の事績を偲んだ=10月19日
「朝鮮國通信使之碑」(長崎県対馬市)前で。一行は各地で朝鮮通信使の事績を偲んだ=10月19日


今回のイベントは3年半ぶりに開かれる日韓首脳会談にタイミングを合わせる形で企画。都庁前での記念式典で、木原誠二・外務副大臣は、安倍晋三首相の「私の地元の下関でも毎年、朝鮮通信使を再現する行列が行われている。日韓は戦略的利益を共有する隣国だ」などとする祝賀メッセージを読み上げた。

また、韓国の柳興洙(ユ・フンス)駐日大使からも「今回を通じて『平和と善隣』という先人からの知恵を得たことは、両国にとり大きな成果」とのメッセージが届けられた。

 
都庁前広場に移動する一行。前列右は俳優で総団長の柳仁村(ユ・インチョン)さん
都庁前広場に移動する一行。前列右は俳優で総団長の柳仁村(ユ・インチョン)さん


ソウルから出発した大学教授の尹永水(ユン・ヨンス)さんは「参加者同士、互いに助けあったり話したりしながら走った。心の壁が取れて、友達もできた」と22日間を振り返った。同じく全行程に参加したイラストレーターの岩本陽子さんは「両国の首相だけに任せるのではなく、一人ひとりが積極的にコミュニケーションし、交流することで、日韓関係も良好になっていくと思う」と話した。(斉藤円華)

 
記念式典には韓国の女優、ハン・ヒョジュさん(右から2人目)も登場
記念式典には韓国の女優、ハン・ヒョジュさん(右から2人目)も登場