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『新朝鮮通信使」がプサンに到着! 自転車から見た韓国の道路事情

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日韓国交正常化50年を記念する自転車ロングライドで、東京を目指して11日に首都ソウルを出発した「両輪で走る新朝鮮通信使」(韓国外交部ほか主催)が17日、韓国第2の都市・釜山(プサン)に到着した。同ライドの日本側参加者が口を揃えて指摘するのは、韓国の道路の走りやすさだ。

 
プサン市内を走る新朝鮮通信使一行=17日(写真提供:朝鮮日報)
プサン市内を走る新朝鮮通信使一行=17日(写真提供:朝鮮日報)
プサン市関係者から一行に花束が手渡された(写真提供:朝鮮日報)
プサン市関係者から一行に花束が手渡された(写真提供:朝鮮日報)

市関係者や日本総領事らが出迎え

一行は17日昼、プサン中心部の市民公園に到着。市関係者や松井貞夫・在プサン日本総領事らが出迎え、花束を渡して道中の労をねぎらった。
韓国内の総移動距離は約560km。自転車道(サイクリングロード)や地方道路を自転車で走り、交通量が多い幹線道路は安全上の配慮からバスで移動した。コース最大の難所、梨花嶺(イファリョン)峠(標高548m)では、高齢の日本側参加者の背中を韓国の若者が支えてアシストするなど、日韓双方で協力しながら走った。

プサンまで参加した会社員の新井誠さんは「後半はバス移動が多かったのが心残りだが、日程が進むにつれて韓国の参加者とも交流を深めることができた。それだけでも『新朝鮮通信使』に参加した意味があると思う」と振り返った。松井総領事は「老若男女が一緒に走り、互いに心が通じるのは素晴らしいこと。両国間には課題もあるが、こうした取り組みが一つずつ積み重なることで日韓が良い方向に向かうことを願いたい」と述べた。
一行は19日に対馬入り。その後、下関や大阪、京都などを経て11月1日に都庁前へゴールする予定だ。
 
朝鮮時代の宿場町だったという慶尚北道・永生(ユンチョン)市に残る井戸の遺構。かつて朝鮮通信使が11回この地を通過した=16日
朝鮮時代の宿場町だったという慶尚北道・永生(ユンチョン)市に残る井戸の遺構。かつて朝鮮通信使が11回この地を通過した=16日
井戸跡そばの民家の壁には朝鮮通信使の行列の一部が描かれている
井戸跡そばの民家の壁には朝鮮通信使の行列の一部が描かれている

日本人参加者に好評だった韓国の道路


仕事で度々ソウルを訪れるという新井さんだが、韓国内のロングライドは今回が初めて。コースを走った印象について「平地が多く、道幅も広く感じた。幹線道路が整備される一方で旧道は交通量が少なく、総じて日本よりも自転車で走りやすい」と話す。
「確かに一般道は走りやすかったが、コース先導など主催者の努力による面も大きかったのでは」と話すのは、早大サイクリングクラブ所属の男性。そんな彼も自転車道に対しては「長い区間にわたり、連続的に整備されている。段差やポールなどの障害も少なく、少ないストレスで長時間サイクリングを楽しめた」と高く評価する。

韓国でのサイクリングは2度目という自営業の久保博美さんは「プサンを除いて自動車のマナーが良い。自転車を1台の車両として認めていて好感が持てた。地方を走っていると農家の人が挨拶してくれて、心が通い合う感じがした」と話した。

 
自転車道の脇に稲穂が広がる。聞慶(ムンギョン)ー安東(アンドン)間で=14日
自転車道の脇に稲穂が広がる。聞慶(ムンギョン)ー安東(アンドン)間で=14日

ソウル市内では中心部の道路に自転車レーンが設けられ、地方道路でも車道の端に自転車のマークが描かれていた。その一方で、歩道上を走る自転車も時折見かけた。またプサン市内は交通量が多い上に路面が荒く、自転車レーンや自転車のマークを目にすることはなかった。
記者は車道での自転車通行環境に関して、日韓で大きな差があるとは感じなかった。しかし道端にほとんどゴミが落ちていない地方道路の清潔さには目を見張った。また、充実した自転車道の素晴らしさという点では早大生と同意見だ。韓国では国内を流れる四大河川に沿って自転車道を長大に整備し、連結させる計画が進む。新井さんは「いつか四大河自転車道を制覇したい」と意気込む。
さらに特筆すべきは、遠くまで広がるのどかな農村風景だ。稲穂が陽の光を浴びて黄金色に輝く景色は、新朝鮮通信使の一行に強い印象を残したに違いない。(斉藤円華)